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第129話
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アイリスさんは、それには答えず我慢出来なくなったように、椅子から立ち上がった。
「もう良い?私は忙しいの。話は済んだでしょう?」
と言うアイリスさんに私は、
「もう、貴女にお金を融通してくれる者はおりませんよ?それに……もしかするとアルベルトと貴女の関係に陛下が気付けば、最悪、貴女もお咎めなし……とはいかなくなるかもしれません。
せめて今は屋敷で大人しくしていて下さい」
と声を掛ける。
「なんで!?私は兄さんが何をしていたかなんて知らないし、関係ないわ!」
「それは陛下が判断される事です。それに、犯罪で得たお金を貴女も使っていたのだとしたら無罪で済むのかわかりません」
「はぁ?!あれは私のお金って説明したでしょう!?」
そう反論するアイリスさんに、テオは、
「まだ気づかないのか?あんたとその男が兄妹ってだけで不味いんだよ。それは、俺にも関係してる。最悪……この家の未来に関わるんだ」
と今度は声を荒げる事なく、ゆっくりとアイリスさんに話して聞かせる。
テオの手は強く握りしめられていて、アイリスさんへの怒りを伺わせた。
そう言うテオではなく、隣に座る私をアイリスさんは睨んで、
「ディーンだけじゃなく、テオドールも手懐けて……私から全部を奪っていこうとでも思ってるの?
でも、あなたはテオドールの母親じゃない。母親は私。最後に選ばれるのは私よ。精々テオドールがこの家を継げるように力を尽くせば良いわ。テオドールがこの家を継いだ暁には、あなたは用無しなんだから」
と言って背を向けた。ここで話は終わりか…。
私のその背中に、
「テオの事もこのオーネット公爵家の事も何としても守るつもりでおります。それが私に自信を与えてくれた公爵様への恩返しです」
と声を掛けたが、アイリスさんは振り返らずに部屋を出て行った。
すると、入れ替わる様に屋敷の護衛が現れて、
「奥様、国王陛下からお呼び出しです。非公式でお会いしたいと……」
と封書を持って来た。
私は小さな声で、
「案外早かったわね。さて、何を訊かれるかしら」
と呟くと、隣のテオは、
「……俺も付いて行ってはいけませんか?馬車で大人しく待っておきますから」
と私にそう言った。
「さぁ、着いたわ。どんな話が飛び出すのか……正直恐ろしいわね」
と馬車の中でため息をつく私の手をテオは握りしめた。
「ステラ様には、本当に俺達親子の事で迷惑を掛けて……申し訳ありません」
と頭を下げるテオの手を、私は反対側の手でポンポンと軽く叩いて、
「貴方が継ぐまでオーネット公爵家を任されたのは私だし、それはきっと公爵様からの挑戦状だと思ってるの。『やれるものならやってみろ』ってね。
売られた喧嘩は買う主義よ。だから、テオも見守っていて頂戴」
と微笑んで、私はその手を離した。
「もう良い?私は忙しいの。話は済んだでしょう?」
と言うアイリスさんに私は、
「もう、貴女にお金を融通してくれる者はおりませんよ?それに……もしかするとアルベルトと貴女の関係に陛下が気付けば、最悪、貴女もお咎めなし……とはいかなくなるかもしれません。
せめて今は屋敷で大人しくしていて下さい」
と声を掛ける。
「なんで!?私は兄さんが何をしていたかなんて知らないし、関係ないわ!」
「それは陛下が判断される事です。それに、犯罪で得たお金を貴女も使っていたのだとしたら無罪で済むのかわかりません」
「はぁ?!あれは私のお金って説明したでしょう!?」
そう反論するアイリスさんに、テオは、
「まだ気づかないのか?あんたとその男が兄妹ってだけで不味いんだよ。それは、俺にも関係してる。最悪……この家の未来に関わるんだ」
と今度は声を荒げる事なく、ゆっくりとアイリスさんに話して聞かせる。
テオの手は強く握りしめられていて、アイリスさんへの怒りを伺わせた。
そう言うテオではなく、隣に座る私をアイリスさんは睨んで、
「ディーンだけじゃなく、テオドールも手懐けて……私から全部を奪っていこうとでも思ってるの?
でも、あなたはテオドールの母親じゃない。母親は私。最後に選ばれるのは私よ。精々テオドールがこの家を継げるように力を尽くせば良いわ。テオドールがこの家を継いだ暁には、あなたは用無しなんだから」
と言って背を向けた。ここで話は終わりか…。
私のその背中に、
「テオの事もこのオーネット公爵家の事も何としても守るつもりでおります。それが私に自信を与えてくれた公爵様への恩返しです」
と声を掛けたが、アイリスさんは振り返らずに部屋を出て行った。
すると、入れ替わる様に屋敷の護衛が現れて、
「奥様、国王陛下からお呼び出しです。非公式でお会いしたいと……」
と封書を持って来た。
私は小さな声で、
「案外早かったわね。さて、何を訊かれるかしら」
と呟くと、隣のテオは、
「……俺も付いて行ってはいけませんか?馬車で大人しく待っておきますから」
と私にそう言った。
「さぁ、着いたわ。どんな話が飛び出すのか……正直恐ろしいわね」
と馬車の中でため息をつく私の手をテオは握りしめた。
「ステラ様には、本当に俺達親子の事で迷惑を掛けて……申し訳ありません」
と頭を下げるテオの手を、私は反対側の手でポンポンと軽く叩いて、
「貴方が継ぐまでオーネット公爵家を任されたのは私だし、それはきっと公爵様からの挑戦状だと思ってるの。『やれるものならやってみろ』ってね。
売られた喧嘩は買う主義よ。だから、テオも見守っていて頂戴」
と微笑んで、私はその手を離した。
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