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第145話
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「奥様……少しよろしいでしょうか?」
ムスカが珍しく私の執務室を訪ねて来た。
アイリスさんが領地へ帰った事により、テオもフランクも屋敷の方へと居を移した。ムスカの見張りもお役御免となり、ソニアもムスカも本来の仕事……私の専属に戻ったというわけだ。
いつもムスカは私が執務室へ籠もっている時間は自分の鍛錬に使っているのだが、そのムスカが私に用とは何だろうか。
ムスカの顔は何時になく暗い。
いや、他の人が見たら気づかないくらいの違いなのだが。
「どうしたの?何かあった?」
「はい。どうも母の具合が悪いようで」
とムスカは1通の手紙を私に見せた。
「まぁ。それは大変ね。……ねぇ、ムスカ。私が嫁いで8年。貴方殆ど休んでいないでしょう?この際、少し長い休暇を取ったらどう?」
手紙に目を通した私はムスカにそう言った。いつも、休めと言っているのだが、その度にムスカは『奥様にも休みはないでしょう?年中無休で公爵夫人じゃないですか』と言われて、黙るしかなくなるのだったが、
「……1度顔を見に帰っても?」
とムスカは私に尋ねた。
「もちろんよ。お母様もきっと喜ぶわ」
と言う私に、
「故郷まで片道5日程かかるので……2週間程お休みを頂けると有難いのですが……」
とムスカは控え目に言う。
「2週間なんてケチ臭いこと言わないの!2ヶ月ぐらい、ゆっくりしてらっしゃいな」
と言う私に、
「奥様を長く自由にさせている方が不安です」
とムスカは無表情でそう言った。……失礼ね。
結局ムスカは折衷案により1ヶ月の休暇を取り故郷へと帰る事になった。
ご両親と既に嫁いでいるお姉様への手土産を渡す私にムスカは、
「……こんなに持てませんよ」
と苦笑いした。そして、馬に乗ると
「くれぐれもご無理なさらない様に」
としっかり釘を刺す事も忘れなかった。
ムスカが王都を離れて3日程した頃。
「ん?」
と私は書類を持って来たテオの言葉を聞き返した。
「鉄鉱石の単価は変わっていないのですが、ここ2ヶ月の売上が減少しています。実は……前々から少しずつ減っていたのですが、ここ2ヶ月は特に……」
と言うテオに、
「産出量が減ったのかしら?」
と私が尋ねる。
「確かに、多少の変動はありますが、平均するとあまり変化はありません」
「本当ね……どうしたのかしら?」
ここ最近は色々とあって、そこまで気が回っていなかった。テオの指摘が有難い。
「ギルバートさんに状況を確認してみましょう」
と言うテオに私は、
「じゃあ、お願い出来る?」
と任せてみる事にした。すっかり頼もしくなったものだ。
ムスカが珍しく私の執務室を訪ねて来た。
アイリスさんが領地へ帰った事により、テオもフランクも屋敷の方へと居を移した。ムスカの見張りもお役御免となり、ソニアもムスカも本来の仕事……私の専属に戻ったというわけだ。
いつもムスカは私が執務室へ籠もっている時間は自分の鍛錬に使っているのだが、そのムスカが私に用とは何だろうか。
ムスカの顔は何時になく暗い。
いや、他の人が見たら気づかないくらいの違いなのだが。
「どうしたの?何かあった?」
「はい。どうも母の具合が悪いようで」
とムスカは1通の手紙を私に見せた。
「まぁ。それは大変ね。……ねぇ、ムスカ。私が嫁いで8年。貴方殆ど休んでいないでしょう?この際、少し長い休暇を取ったらどう?」
手紙に目を通した私はムスカにそう言った。いつも、休めと言っているのだが、その度にムスカは『奥様にも休みはないでしょう?年中無休で公爵夫人じゃないですか』と言われて、黙るしかなくなるのだったが、
「……1度顔を見に帰っても?」
とムスカは私に尋ねた。
「もちろんよ。お母様もきっと喜ぶわ」
と言う私に、
「故郷まで片道5日程かかるので……2週間程お休みを頂けると有難いのですが……」
とムスカは控え目に言う。
「2週間なんてケチ臭いこと言わないの!2ヶ月ぐらい、ゆっくりしてらっしゃいな」
と言う私に、
「奥様を長く自由にさせている方が不安です」
とムスカは無表情でそう言った。……失礼ね。
結局ムスカは折衷案により1ヶ月の休暇を取り故郷へと帰る事になった。
ご両親と既に嫁いでいるお姉様への手土産を渡す私にムスカは、
「……こんなに持てませんよ」
と苦笑いした。そして、馬に乗ると
「くれぐれもご無理なさらない様に」
としっかり釘を刺す事も忘れなかった。
ムスカが王都を離れて3日程した頃。
「ん?」
と私は書類を持って来たテオの言葉を聞き返した。
「鉄鉱石の単価は変わっていないのですが、ここ2ヶ月の売上が減少しています。実は……前々から少しずつ減っていたのですが、ここ2ヶ月は特に……」
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「確かに、多少の変動はありますが、平均するとあまり変化はありません」
「本当ね……どうしたのかしら?」
ここ最近は色々とあって、そこまで気が回っていなかった。テオの指摘が有難い。
「ギルバートさんに状況を確認してみましょう」
と言うテオに私は、
「じゃあ、お願い出来る?」
と任せてみる事にした。すっかり頼もしくなったものだ。
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