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第180話
しおりを挟むそれからまた半年が過ぎた。
そう……テオがこの屋敷を出て、1年が経ったという事だ。
「父が家に帰って、母が迷惑しています」
アーロンが眉間に皺を寄せながらそう言った。
ギルバートの後継はハリスンという男だ。彼はギルバートに代わり、今は領地で領主代行として働いている。かなりの切れ物だが、その反面人懐っこく、領地の民にも好かれている。
ギルバートは約半月前に引退し、奥様の居るご自宅へと戻ったのだった。
私もあれからは、何度も領地へ赴く様になった。
鉱山までの道は綺麗に舗装され、火事で焼け落ちた家の跡地には小さな商店を作った。
お陰で、夫婦で住む鉱夫の奥様方にとても感謝された。あ、メグにも。
店が出来ればそこを切り盛りする者、そしてそこへ商品を下ろす者が必要だ。少しずつ人が増えていく。職を求める者がオーネット公爵領へと来る様になった。
段々と私も維持だけではなく、オーネット公爵家に貢献出来る様になったと感じられて嬉しい。
「ギルバートはずっと奥様と離れて暮らしていたんですもの。夫婦とはいえ、他人とほぼ変わらないのかもしれないわね」
「我が家では父親は居ないものとして扱われておりましたから。視線の先に入るのも……目障りだ、と」
ギルバートの奥方もなかなか辛辣だ。
そんな話をしていると、ムスカがやや焦った様子で執務室へとやって来た。珍しい。
「奥様」
「あらムスカ?何だか少し焦ってない?珍しいじゃない」
と私が言うと、開いた扉、ムスカの大きな体の後ろから、
「ステラ様、ただいま戻りました」
とテオが顔を覗かせた。
「テオ!!」
私は直ぐ様立ち上がり、テオの元へと走り寄る。
そして、
「どうして帰って来るって教えてくれなかったの?」
とテオの両腕を握ってそう言った。
「驚かせたくて」
「十分驚いたわ。長旅で疲れたでしょう?さぁ、座って。直ぐにお茶を用意するわ」
「ステラ様の淹れたお茶が飲みたかったです。嬉しいな」
と顔をほころばせるテオに私も笑顔になった。
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