隣国へ嫁ぐワガママ王女に付いて行ったら王太子に溺愛されました

初瀬 叶

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その128


たくさんの視線に思わず俯きそうになる顔と心を無理やりにでも前を向かせる。
怯んではダメだ。舐められたらたら終わる。

そんな私に、

「シビル…もしお前に尻尾が生えてたら、間違いなく膨らんでるな。
そんな警戒しなくて良い。俺が居るから」

「…そんな顔をしてますか?」

「フッ。お前は顔に出ないから周りには気付かれてないよ」

壇上に私達が着いて、その後陛下と妃陛下が入場して、高らかに私達の婚約を宣言した。

もちろん、今日招待された貴族は婚約発表である事は知っていたが、それが私だと知る人はごく一部だ。

ざわついている。そうだろう。この国の王太子の婚約者が人間なのだから。

クリス様は、

「これからもこの国の為、尽力する。今後も我々を支えて欲しい」
と挨拶するも、まだざわつきはおさまらなかった。

この雰囲気の中、ダンスを踊るのか…地獄。


私とクリス様はそんな中、ダンスを踊る為にホールへ出ていく。

クリス様は笑顔で、

「足を踏んだって構わん。下を向くなよ。俺を見てろ」
と言って私の腰に手を回した。
それを合図に音楽が始まる。

私は必死だ。クリス様のリードは踊りやすいが、私のスキルが低すぎて、ついていくので精一杯。
結果、クリス様の足を2回踏んだ。


私達のダンスが終わると、皆のダンスが始まる。

私達は席につき、今度は次々に挨拶に来る招待客の相手をするのだが…

「殿下…どうしたと言うのです。このような選択を…今からでも遅くありませんよ」

「殿下。子どもをつくるのはお控え下さい。人間との子どもなど…」

「殿下はこの国を人間に乗っ取られてもよろしいのですか?王太子といい、宰相といい…全く!」

「お考え直し下さい。なんならうちの娘などいかがでしょう?」

…と、まぁ全部が全部とは言わないが、私を選んだクリス様への苦言と苦情が止まらない。
これって不敬ではないのかしら?

その内の何人かは、

「貴女の方から断るのが筋でしょう?」

「この国の国民は貴女を歓迎しませんよ!」

と私にまで文句を言ってくる。

その全てにクリス様は、

「俺の選択に文句があるなら、今後を見てから言え。お前達が文句を言う暇もないぐらい、この国を俺が発展させてやる」
と言って黙らせた。

そう言われたからと言って私への嫌悪が止まる訳ではない。

挨拶の最後には、殆んどの招待客に睨まれた。

折角頑張って招待客を覚えたのに…談笑をするような雰囲気ではなかった。

……正直、疲れた。

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