隣国へ嫁ぐワガママ王女に付いて行ったら王太子に溺愛されました

初瀬 叶

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その130


婚約者として皆に御披露目したからといって、私がやる事は今のところ変わりはない。

イヴァンカ様に厳しく指導されながら、王太子妃教育をこなしていく毎日だ。

変わった事と言えば、護衛にベロニカが付く事になった。

ベロニカは頼りになるお姉さんといった感じだ。
引退した筈なのに引っ張り出して申し訳なく思っていると、

「殿下の頼みは断れませんよ。子育ても一段落したので、大丈夫!」
と豪快に笑ってくれた。

私は前の様に下を向いて歩く事を辞めた。

あの時は周りは敵ばかりだと思っていたし、私が人間である限り、誰からも受け入れられないと思っていた。

クリス様も今は、私に寄り添ってくれているし、私にはイヴァンカ様も、リリーも、デイジーもベロニカもトムもバーレク様も居る。

今は出来る事も限られているが、出来ない事を嘆くより、出来る事に全力を注ごうと思えるようになった。


そんな私の癒しの時間、それは孤児院への慰問だ。


孤児院への慰問や寄附、教会の奉仕活動の手伝い等は王太子妃の仕事であるらしい。
私はまだ婚約者でしかないが、慣れるべきだと、孤児院への慰問を始めていた。

前に、貴族の方が種族意識が強いと言われた事が頷ける。

平民は私が人間だからといって、それだけで嫌悪する事はない。
その分、私個人の立ち振舞いをしっかりと見極めているのだと思える。

なので、孤児院にいる子ども達は、純粋に私を受け入れて懐いてくれた。

子どもは好きだ。私は子ども達と一緒に遊ぶこの時間をとても楽しみにしていた。


今日は初めて訪れる孤児院だ。
教会が運営していて、孤児だけではなく、仕事がない人達にも、教会の仕事や、孤児院での仕事を与えているらしい。

私はいつものように、孤児院の院長に挨拶をして、子ども達に紹介して貰った。

「さぁ、皆さん。この方がもうすぐこの国の王太子殿下のお嫁さんになるシビル様ですよ」
と院長が言うと、子ども達は、

「クリスさまのお嫁さん?すごーい」
と言って私を取り囲んだ。

私も、

「皆の事を知りたいから、お名前を教えてね。それから一緒に遊びましょう!」
と言うと、子ども達は自分の名前を我先にと教えてくれた。

私は名前を呼びながら、皆と遊びの輪に入っていく。
絵本を読んだり、鬼ごっこをしたり…一頻り遊ぶと、院長からお茶のお誘いをうけ、院長室へと向かった。

私が席に座ると、紅茶が目の前に置かれたのだが…そこで、

「シビル?シビルなのか?」
と懐かしい声が聞こえて、思わず私は顔を上げた。

「オーランド?」

そこには、元婚約者がくたびれた様子で立っていた。

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