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その134

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「見てくださ~い。このドレス~。めちゃくちゃ素敵じゃないですか~」

デイジーのテンションが上がっている。
あの喋り方では分かりにくいが。

私の着るウェディングドレスが出来上がった。
式の2日前に…ギリギリだ。

それもこれもクリス様が結婚式をやたらと早めたせいなので、誰も文句は言えなかった。


リリーは、

「シビル様、1度袖を通してみて下さい。
もし、直しが必要なら、すぐにでも職人を呼ばないと、本気で間に合いませんから!」  

式があと2日に迫った今、皆何故か殺気立っている。

私はダンスのステップを反芻する事で頭が一杯だ。

今度こそクリス様の足を踏まずに踊りきりたい。


クリス様も流石に忙しいようで、最近は夕食も共に出来ていない。
きちんと睡眠をとっているのかも心配だ。

私は、夕食を1人でとる事も寂しいと思うようになっていた。

侍女だった時は、暇を見つけて1人でさっさと食べていた。
時間との勝負!みたいな所もあったし。

最初こそ違和感しかなかったこの生活にも、いつしか慣れてきた。
意外と自分は順応性が高かったらしい。


リリーとデイジーに散々、美容には睡眠が、大事!と言われているので、少し早いが、さぁ、そろそろ寝るかと思っていると、

「シビル!休暇をもぎ取ったぞ!これで結婚式の後、お前とゆっくり過ごせる!」

とクリス様が嬉しそうに部屋へ入ってきた。
…ノックぐらいして欲しい。

「クリス様、結婚式の後は確か、3日お休みを取っているのではありませんでしたか?」

「3日ぐらいじゃ足りないだろ?全部で1週間だ。
本当なら1ヶ月ぐらい欲しい所だが、それは皆から反対された」

「それはそうでしょうね。
クリス様が最近特にお忙しそうだったのは…休暇を長く取る為でしたのね?」

「あぁ。出来れば旅行にでも行きたいが、そうなれば、護衛や、侍女、メイドに侍従と大事になってしまうからな。
せめて、近場に2人で出掛けたり、シビルと此処でゆっくり過ごしたりしたくて」

と言うと、クリス様は嬉しそうに微笑んだ。

私は、

あぁ、この笑顔が好きだなぁ…と思う。

こうやって、1つずつクリス様の好きな所が増えていくのも、また嬉しかった。

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