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婚活令嬢荒野を行く!
第4話
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「もう釣書も全く来なくなったよ………」
ロウ子爵からお詫びの書状が届いた時には流石に温和な父も声を荒げていたし、兄に至っては、剣を持ち出し、イーサン様の殺害を仄めかしていた。
二人の気持ちは有り難かったが、正直そっとしておいてくれと泣きそうになった。
今回は会っても貰えなかった。会って断られるのもショックたが、会って貰えないのはもっと辛かった。何なの?会う価値もないって事?
その上での今の父の台詞。
いや、薄々勘づいてはいた。もう身分なんて関係なく、手当たり次第にこちらから釣書を送るしかないのだろうか………。あぁ、チェスター伯爵家に泥を塗る行為として咎められてしまいそうだ。
……もう修道女として生きていこうか。それならば神に愛を捧げて生きていける。
いや、それより後妻はどうだろう。あ、でも前妻に子どもが居たらどうすれば良いのか。仲良くやっていけるだろうか。
あ、後妻を含め、縁談が全く来なくなっていたんだった。……じゃあ、どうすれば?
私はもう打つ手が無くなった事に気づいてしまった。これじゃあ前世と同じだ。
それから、何も出来ずに半年が経った。既に私は二十歳の誕生日を迎えた。前世なら若く美しく……花で言うなら咲き始めたばかりだろうが、現世では立派な売れ残りだ。
婚活では色々と傷ついていたが、もうあの日々が懐かしい。
自分磨きに勤しんで、美容にも手間暇かけていた。前世の知識をフル活用し、睡眠不足はお肌の敵と早寝早起きを心がけ、水だって毎日2リットルは飲んでいた。
しかし、今の私は抜け殻だ。もう何もする気が起きない。
「グリンダ……最近なんだか……顔色が悪くない?」
母が心配そうに私に尋ねる。
「そうですか?あぁ……ビタミン不足ですかね。いや……それとも寝不足のせいかしら?美白パックも辞めてしまったし……」
と私がブツブツ言っていると、
「貴女の言っている事の大半は意味が分からなかったけれど、色々と私にも肌が綺麗になる方法を教えてくれていたでしょう?お母様、あなたのヘンテコな美容法のお陰で、お茶会で皆に『お肌綺麗ですね』って褒められいるのよ?そんな貴女がこんなに肌がカサカサになって……」
と母は寂しそうに私の頬を撫でた。
「何だか……何をしても虚しくなってしまって」
「グリンダ、貴女、自分の為に綺麗になろうとは思わない?全て殿方の為なんて勿体ないわ。女はね、女に舐められない為に綺麗になるのよ?おしゃれもそう。結局はお茶会や夜会で『素敵』ってご婦人方から言われる方が気持ち良いの」
と母は私に微笑んだ。
確かに……。前世でも男受けの良い服と流行りの服は違うものだった。
流行りの服や自分の好きな服を着るのは、結局女友達に『それ、似合うね!』とか『それ可愛い!』とか言われたいという欲求を満たしたり、自分が満足する為だった様に思う。
「お母様……。確かに言われてみればそうですね」
と私も微笑み返す。
「その意気よ。来週はディレクの結婚式なんだから、綺麗に着飾りましょうね」
と言う母の言葉にハッとする。
そうだった………来週は兄の結婚式だった………すっかり忘れていた。
ロウ子爵からお詫びの書状が届いた時には流石に温和な父も声を荒げていたし、兄に至っては、剣を持ち出し、イーサン様の殺害を仄めかしていた。
二人の気持ちは有り難かったが、正直そっとしておいてくれと泣きそうになった。
今回は会っても貰えなかった。会って断られるのもショックたが、会って貰えないのはもっと辛かった。何なの?会う価値もないって事?
その上での今の父の台詞。
いや、薄々勘づいてはいた。もう身分なんて関係なく、手当たり次第にこちらから釣書を送るしかないのだろうか………。あぁ、チェスター伯爵家に泥を塗る行為として咎められてしまいそうだ。
……もう修道女として生きていこうか。それならば神に愛を捧げて生きていける。
いや、それより後妻はどうだろう。あ、でも前妻に子どもが居たらどうすれば良いのか。仲良くやっていけるだろうか。
あ、後妻を含め、縁談が全く来なくなっていたんだった。……じゃあ、どうすれば?
私はもう打つ手が無くなった事に気づいてしまった。これじゃあ前世と同じだ。
それから、何も出来ずに半年が経った。既に私は二十歳の誕生日を迎えた。前世なら若く美しく……花で言うなら咲き始めたばかりだろうが、現世では立派な売れ残りだ。
婚活では色々と傷ついていたが、もうあの日々が懐かしい。
自分磨きに勤しんで、美容にも手間暇かけていた。前世の知識をフル活用し、睡眠不足はお肌の敵と早寝早起きを心がけ、水だって毎日2リットルは飲んでいた。
しかし、今の私は抜け殻だ。もう何もする気が起きない。
「グリンダ……最近なんだか……顔色が悪くない?」
母が心配そうに私に尋ねる。
「そうですか?あぁ……ビタミン不足ですかね。いや……それとも寝不足のせいかしら?美白パックも辞めてしまったし……」
と私がブツブツ言っていると、
「貴女の言っている事の大半は意味が分からなかったけれど、色々と私にも肌が綺麗になる方法を教えてくれていたでしょう?お母様、あなたのヘンテコな美容法のお陰で、お茶会で皆に『お肌綺麗ですね』って褒められいるのよ?そんな貴女がこんなに肌がカサカサになって……」
と母は寂しそうに私の頬を撫でた。
「何だか……何をしても虚しくなってしまって」
「グリンダ、貴女、自分の為に綺麗になろうとは思わない?全て殿方の為なんて勿体ないわ。女はね、女に舐められない為に綺麗になるのよ?おしゃれもそう。結局はお茶会や夜会で『素敵』ってご婦人方から言われる方が気持ち良いの」
と母は私に微笑んだ。
確かに……。前世でも男受けの良い服と流行りの服は違うものだった。
流行りの服や自分の好きな服を着るのは、結局女友達に『それ、似合うね!』とか『それ可愛い!』とか言われたいという欲求を満たしたり、自分が満足する為だった様に思う。
「お母様……。確かに言われてみればそうですね」
と私も微笑み返す。
「その意気よ。来週はディレクの結婚式なんだから、綺麗に着飾りましょうね」
と言う母の言葉にハッとする。
そうだった………来週は兄の結婚式だった………すっかり忘れていた。
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