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同僚 sideレオ
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翌日、テイラー侯爵逮捕について詳細が発表された。
テイラー侯爵は関与について認めてはいるものの、皆の中にも「何故?」という疑問が残る。
ローガン殿下にしろ、側妃のエミリー妃にしろ、国王の座に執着しているようには見えない。
テイラー侯爵だけが、そこに拘っていたのか…動機としては
「ローガン殿下を国王にする為」という所だが、本当にそれだけなのか?
王太子であるフィリップ殿下もそこについては疑問が残るようではあったが、この暗殺未遂事件については、テイラー侯爵の処刑で一応の決着を迎える事となった。
俺は1日の休みを挟んで、仕事に来ていた。
騎士団の訓練所で体を温めてから殿下の執務室に向かう。
執務室へ入り殿下へ挨拶すると
「あぁ。レオナルド。お前に紹介したいやつがいる」
と殿下に声を掛けられた。
「おい、ちょっとこっちへ」
隣の事務官の控え室の扉が開き入ってきた男を見て俺は固まった。
「昨日から新しく入った事務官のアレックス・コッカスだ。
俺の側近として働いてもらう事になった。お前とも今後は共に行動してもらう事もあるだろう」
…そう殿下が笑顔で紹介した男は、なんとレベッカの兄、アレックス殿だった。
「レオナルド殿、これからよろしく頼みます」
全然、よろしくされたくなさそうな無表情で俺にアレックス殿は挨拶する。
「ア、アレックス殿?どうして此処へ?」
「仕事に決まっているでしょう?他に何があるんです?」
「王都へはいつ?」
「…王太子殿下の前ですよ?プライベートな質問をする時間ではない」
そう無表情のまま俺の質問をはねのけた。
「ハハハッ!まぁ、そう言うな。
レオナルドだってお前が此処にいる事に戸惑ってるんだ。
レオナルドには前も話したが、昔、アレックスは俺の側近候補だった。
あの時は無碍に断られたが、今回、引き受けてくれる事になってな。
今後は仲良くやってくれ」
「王太子殿下、それは出来かねますが、仕事はきちんと致します。それでは失礼いたします」
アレックス殿は無表情のまま、礼をして隣へ戻っていった。
「…義理の兄弟になったと言うのに、ピリついてるな」
王太子殿下は面白そうに俺の顔を見る。
「これは…どういう事ですか?」
「そうだな、今から少し前に、突然アレックスが面会を申し入れて来た。
王都で暮らす事になったから、こちらで仕事を探してると。もちろん、私の側近として仕事をしてもらう事にしたよ。
本人は嫌がったが」
「嫌がった?」
「ああ、多分、私の側で働くという事はお前とも一緒に働く事になるからな。嫌だったんだろう、お前が」
「そ、そんな…はっきりと…」
「いや、本人はそこまでハッキリとは言ってないぞ。そこは私の勘だ」
「こちらで暮らす理由については?」
「ああ、それはハッキリと『妹の側で暮らしたい』と明言してたよ。
シスコンもあそこまでいくと、いっそ清々しいな」
「他人事だから、そう言えるんですよ」
「ハハハハ!それは間違いない!当事者にはなりたくないな」
俺としては全然笑えない。当事者だからだ。
「笑い事ではありませんけどね」
「まぁそう言うな。これからは嫌でも顔を合わせる事になるんだ。諦めろ。
あんな奴だが、仕事は出来る」
「はぁ…」
俺は一気に憂鬱になった。
「まぁ、ここからは真面目な話だ」
殿下の顔が仕事モードに切り替わる。
「はい。なんでしょう」
「テイラー侯爵の件だが」
「確か、昨日が処刑日でしたね」
「…実は処刑したというのは表向きだ。まだ侯爵は生かしている」
「!?どういうことでしょうか?」
「今回の暗殺未遂…まだ裏があるように思えてな」
「…確かに、動機にしてもまだ弱いように思っておりましたが…」
「そうだろ?ローガンを国王にしたい…それは確かに動機だとは思うが、それなら私を殺す必要はない。
まぁ、殺せば手っ取り早いが。失脚させるという手だってあったはずだ。時間はかかるだろうがな。
ローガンを国王にしたい…というよりは私を国王にさせたくない、或いは、私を亡き者にしたい…しかも時間がない…そういう事かと」
「それは…何故?」
「実は少し前に、私はテイラー侯爵の金の流れを調べた事がある。まぁ、これはテイラー侯爵だけではないが、数名の貴族の金の流れだ。不自然な点があってな」
「それはどういう?」
「それを調査している最中だ。
きっと探られたくない腹でもあるんだろう、奴は私が真相に近づいていると思って焦ったのではないかと思ってな。
まだ、真相は掴めてないが」
「なら、拷問して吐かせますか?」
「いや、そうすると私が真相に辿り着けてない事がバレてしまう。
ギリギリの所で揺さぶりをかけて、話をさせようと今の所は考えているが…無理なら、拷問だな。
言うまでもなく、これは極秘事項だ。そのつもりで」
アレックス殿が同僚になった事以上に大変な事になった…そう俺は思っていた。
テイラー侯爵は関与について認めてはいるものの、皆の中にも「何故?」という疑問が残る。
ローガン殿下にしろ、側妃のエミリー妃にしろ、国王の座に執着しているようには見えない。
テイラー侯爵だけが、そこに拘っていたのか…動機としては
「ローガン殿下を国王にする為」という所だが、本当にそれだけなのか?
王太子であるフィリップ殿下もそこについては疑問が残るようではあったが、この暗殺未遂事件については、テイラー侯爵の処刑で一応の決着を迎える事となった。
俺は1日の休みを挟んで、仕事に来ていた。
騎士団の訓練所で体を温めてから殿下の執務室に向かう。
執務室へ入り殿下へ挨拶すると
「あぁ。レオナルド。お前に紹介したいやつがいる」
と殿下に声を掛けられた。
「おい、ちょっとこっちへ」
隣の事務官の控え室の扉が開き入ってきた男を見て俺は固まった。
「昨日から新しく入った事務官のアレックス・コッカスだ。
俺の側近として働いてもらう事になった。お前とも今後は共に行動してもらう事もあるだろう」
…そう殿下が笑顔で紹介した男は、なんとレベッカの兄、アレックス殿だった。
「レオナルド殿、これからよろしく頼みます」
全然、よろしくされたくなさそうな無表情で俺にアレックス殿は挨拶する。
「ア、アレックス殿?どうして此処へ?」
「仕事に決まっているでしょう?他に何があるんです?」
「王都へはいつ?」
「…王太子殿下の前ですよ?プライベートな質問をする時間ではない」
そう無表情のまま俺の質問をはねのけた。
「ハハハッ!まぁ、そう言うな。
レオナルドだってお前が此処にいる事に戸惑ってるんだ。
レオナルドには前も話したが、昔、アレックスは俺の側近候補だった。
あの時は無碍に断られたが、今回、引き受けてくれる事になってな。
今後は仲良くやってくれ」
「王太子殿下、それは出来かねますが、仕事はきちんと致します。それでは失礼いたします」
アレックス殿は無表情のまま、礼をして隣へ戻っていった。
「…義理の兄弟になったと言うのに、ピリついてるな」
王太子殿下は面白そうに俺の顔を見る。
「これは…どういう事ですか?」
「そうだな、今から少し前に、突然アレックスが面会を申し入れて来た。
王都で暮らす事になったから、こちらで仕事を探してると。もちろん、私の側近として仕事をしてもらう事にしたよ。
本人は嫌がったが」
「嫌がった?」
「ああ、多分、私の側で働くという事はお前とも一緒に働く事になるからな。嫌だったんだろう、お前が」
「そ、そんな…はっきりと…」
「いや、本人はそこまでハッキリとは言ってないぞ。そこは私の勘だ」
「こちらで暮らす理由については?」
「ああ、それはハッキリと『妹の側で暮らしたい』と明言してたよ。
シスコンもあそこまでいくと、いっそ清々しいな」
「他人事だから、そう言えるんですよ」
「ハハハハ!それは間違いない!当事者にはなりたくないな」
俺としては全然笑えない。当事者だからだ。
「笑い事ではありませんけどね」
「まぁそう言うな。これからは嫌でも顔を合わせる事になるんだ。諦めろ。
あんな奴だが、仕事は出来る」
「はぁ…」
俺は一気に憂鬱になった。
「まぁ、ここからは真面目な話だ」
殿下の顔が仕事モードに切り替わる。
「はい。なんでしょう」
「テイラー侯爵の件だが」
「確か、昨日が処刑日でしたね」
「…実は処刑したというのは表向きだ。まだ侯爵は生かしている」
「!?どういうことでしょうか?」
「今回の暗殺未遂…まだ裏があるように思えてな」
「…確かに、動機にしてもまだ弱いように思っておりましたが…」
「そうだろ?ローガンを国王にしたい…それは確かに動機だとは思うが、それなら私を殺す必要はない。
まぁ、殺せば手っ取り早いが。失脚させるという手だってあったはずだ。時間はかかるだろうがな。
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まだ、真相は掴めてないが」
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「いや、そうすると私が真相に辿り着けてない事がバレてしまう。
ギリギリの所で揺さぶりをかけて、話をさせようと今の所は考えているが…無理なら、拷問だな。
言うまでもなく、これは極秘事項だ。そのつもりで」
アレックス殿が同僚になった事以上に大変な事になった…そう俺は思っていた。
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