60 / 97
視察に向けて sideレオ
しおりを挟む
あと数日で、ルーベンの街への視察に出発する。
視察は表向き、本当の目的は密輸の証拠を押さえる為だ。
あの後、影が特定した内通者は3名。
そのうちの1人は王太子殿下の側近の1人であった。
側近以外の2人を拷問したが、ウガロ伯爵の名前は出ても、その後ろに控えている者については口を割らない。
捜査は難航していた。
だが、そのうちの1人から、近々行われる密輸の日程を知ることが出来た。
そこで、殿下直々にルーベンへ行き証拠を掴み、そこで大鉈を振るおうと考えた。
しかし殿下が動くとなれば、こそこそと動く方が余計に目立つ。
なので、堂々と改修工事の下見へ行くと言う名目の視察を敢行する事になった。
ルーベンの港は、アスガルド王国だけではなく、その周辺諸国の船も入港するが、そこから改修要望が出ているという、嘆願書を偽造し、それを持って改修案の作成の為に視察する事になった。
そして、側近の中の内通者をわざと泳がせ、視察の日程をあちら側へ流してもらう。
もちろん、向こう側の日程は変更できないであろうギリギリで。
そうすれば、視察前に慌てて密輸を済ませてしまうはずだ。
馬車で10日程かかるが、王太子殿下は先に馬でルーベンへ入る予定だ。
馬車に乗るのは、偽物。
先にルーベンに着いている殿下が向こうが密輸をしている現場を押さえる手筈になっている。
しかしここで1つ問題が持ち上がった。
俺の存在だ。俺は殿下の専属護衛だ。
本来ならば馬で行く殿下についていかなければならない。
だが、泳がせている内通者である側近が、馬車に俺がついてない事に気づかない訳がない。
そうすると馬車に乗っているのが偽物であるとバレてしまう。
色々と議論が成されたが、俺は敵の目を欺く為にも馬車の護衛に付く事になった。
正直、不本意だが仕方ない。
本物の殿下には団長と、俺と同じくらいの手練れであるサイモンが付く。
それならと俺も渋々承知した。
今回の事を知っている者はかなり限られているが、視察については公表している。
テイラー侯爵は亡くなり、その派閥の貴族にも監視をつけている。
今のところその者達にも怪しい動きはない。
ウガロ伯爵が王太子殿下を直接狙うとは思えないが、また、うちの国の者を使い、殿下の命を狙う事も考えられる。
しかし、違法薬物の密輸…それがバレそうだからと王太子殿下の命を狙うだろうか?もっと別の目的があるのではないか…殿下も俺もアレックス殿も毎日、毎日その思考に囚われ調べている。
口にはしないが…俺達3人の頭の中には、最悪の敵の姿がある。
もしウガロ伯爵のバックに居るのが俺達の想像している人物なら…。
でもまだ、証拠はない。慎重にならなければ、国交に大きな影響がでる。
そんな重い空気の中で仕事をしているせいか、俺の顔には疲労の色が濃くなっていたようだ。
それはアレックス殿も同じで、殿下から2人に強制の休暇命令が出てしまった。
しかし、せっかくの休暇だと言うのに、レベッカは留守だ。
レベッカを愛でたかった。
なんなら、朝から愛し合ったって良いと思ってた。
ルーベンへ発てば、暫くの間、レベッカを抱く事が出来ない。
結婚して約2ヶ月。
レベッカの月のものがある日以外はほとんど体を重ねている。
レベッカには内緒だが、俺の仕事が遅く、レベッカが先に寝ていても、襲っている。
レベッカは1度寝入るとなかなか目を覚まさないので、吐精をしてからバレないようにレベッカの体を清めている。
それでも目を覚まさないレベッカをたまに心配してしまうが。
…まぁ、フェルナンデスにはバレてしまい「鬼畜」と言われたがな。
そんな俺が、視察の間、レベッカ無しで我慢出来るのだろうか…心配だ。
正直、好きな人と体を重ねる事がこんな素晴らしい物だとは思わなかった。体が例え疲れていても、レベッカを求めてしまう。
レベッカ依存症と言っても過言ではない。
アレックス殿のシスコンも重症だと思っていたが、俺のレベッカ依存症も重症だろう。
アレックス殿の執着も今の俺には理解できる。
はっきり言って、今アレックス殿の気持ちが理解出来るのは俺ぐらいだろう…だからといって仲良くは出来ないが。
視察は表向き、本当の目的は密輸の証拠を押さえる為だ。
あの後、影が特定した内通者は3名。
そのうちの1人は王太子殿下の側近の1人であった。
側近以外の2人を拷問したが、ウガロ伯爵の名前は出ても、その後ろに控えている者については口を割らない。
捜査は難航していた。
だが、そのうちの1人から、近々行われる密輸の日程を知ることが出来た。
そこで、殿下直々にルーベンへ行き証拠を掴み、そこで大鉈を振るおうと考えた。
しかし殿下が動くとなれば、こそこそと動く方が余計に目立つ。
なので、堂々と改修工事の下見へ行くと言う名目の視察を敢行する事になった。
ルーベンの港は、アスガルド王国だけではなく、その周辺諸国の船も入港するが、そこから改修要望が出ているという、嘆願書を偽造し、それを持って改修案の作成の為に視察する事になった。
そして、側近の中の内通者をわざと泳がせ、視察の日程をあちら側へ流してもらう。
もちろん、向こう側の日程は変更できないであろうギリギリで。
そうすれば、視察前に慌てて密輸を済ませてしまうはずだ。
馬車で10日程かかるが、王太子殿下は先に馬でルーベンへ入る予定だ。
馬車に乗るのは、偽物。
先にルーベンに着いている殿下が向こうが密輸をしている現場を押さえる手筈になっている。
しかしここで1つ問題が持ち上がった。
俺の存在だ。俺は殿下の専属護衛だ。
本来ならば馬で行く殿下についていかなければならない。
だが、泳がせている内通者である側近が、馬車に俺がついてない事に気づかない訳がない。
そうすると馬車に乗っているのが偽物であるとバレてしまう。
色々と議論が成されたが、俺は敵の目を欺く為にも馬車の護衛に付く事になった。
正直、不本意だが仕方ない。
本物の殿下には団長と、俺と同じくらいの手練れであるサイモンが付く。
それならと俺も渋々承知した。
今回の事を知っている者はかなり限られているが、視察については公表している。
テイラー侯爵は亡くなり、その派閥の貴族にも監視をつけている。
今のところその者達にも怪しい動きはない。
ウガロ伯爵が王太子殿下を直接狙うとは思えないが、また、うちの国の者を使い、殿下の命を狙う事も考えられる。
しかし、違法薬物の密輸…それがバレそうだからと王太子殿下の命を狙うだろうか?もっと別の目的があるのではないか…殿下も俺もアレックス殿も毎日、毎日その思考に囚われ調べている。
口にはしないが…俺達3人の頭の中には、最悪の敵の姿がある。
もしウガロ伯爵のバックに居るのが俺達の想像している人物なら…。
でもまだ、証拠はない。慎重にならなければ、国交に大きな影響がでる。
そんな重い空気の中で仕事をしているせいか、俺の顔には疲労の色が濃くなっていたようだ。
それはアレックス殿も同じで、殿下から2人に強制の休暇命令が出てしまった。
しかし、せっかくの休暇だと言うのに、レベッカは留守だ。
レベッカを愛でたかった。
なんなら、朝から愛し合ったって良いと思ってた。
ルーベンへ発てば、暫くの間、レベッカを抱く事が出来ない。
結婚して約2ヶ月。
レベッカの月のものがある日以外はほとんど体を重ねている。
レベッカには内緒だが、俺の仕事が遅く、レベッカが先に寝ていても、襲っている。
レベッカは1度寝入るとなかなか目を覚まさないので、吐精をしてからバレないようにレベッカの体を清めている。
それでも目を覚まさないレベッカをたまに心配してしまうが。
…まぁ、フェルナンデスにはバレてしまい「鬼畜」と言われたがな。
そんな俺が、視察の間、レベッカ無しで我慢出来るのだろうか…心配だ。
正直、好きな人と体を重ねる事がこんな素晴らしい物だとは思わなかった。体が例え疲れていても、レベッカを求めてしまう。
レベッカ依存症と言っても過言ではない。
アレックス殿のシスコンも重症だと思っていたが、俺のレベッカ依存症も重症だろう。
アレックス殿の執着も今の俺には理解できる。
はっきり言って、今アレックス殿の気持ちが理解出来るのは俺ぐらいだろう…だからといって仲良くは出来ないが。
59
あなたにおすすめの小説
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる