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幸せ【本編 最終話】
しおりを挟むガーデンパーティーでは思い思いに皆が話に花を咲かせる。
ジョシュア様とアレックスお兄様、お父様が何やら熱心に話していた。
後から聞くと、新しい技術で加工した果物を隣国で売り出す算段を付けていたそうだ。商魂逞しい。
ジョシュア様はいつの日かこの国に商会の支店を作りたいと言う夢を語っていた。
それが叶えば、もっともっと家族として一緒に居る時間が増える事だろう。
ふと見ると、アンナが料理長のトーマスと一緒に居るのが見える。
アンナは頬を染め、嬉しそうにトーマスを見つめている。鈍感な私でも、アンナの気持ちが手に取るようにわかる。アンナ…トーマスが好きなのね。
トーマスは年の離れた妹さんと2人きりの家族で、その妹さんが嫁ぐまでは結婚する気はないと言っていた。
年齢は確か30歳ぐらいだったような…もう少し上だったかしら?
どちらにしろ、アンナが幸せになるなら、心から応援したい。
お義母様と、お母様は楽しそうにお話している。
お母様はあまり社交的な方ではないと思っていたが、お義母様とは気が合うようだ。
私はたくさんの参列者を見つめながら、隣に立つレオ様に、
「幸せですね」
と言う。
レオ様も、
「ああ。幸せだな」
と笑顔を私に返してくれた。
「私、レオ様と結婚して良かったです。
あの時、私を見つけてくれてありがとうございました」
「俺の方こそ、レベッカには感謝している。
あの時、あんな馬鹿みたいな俺の願いを叶えてくれてありがとう」
私達はギュッと握った手に力を込める。
「レオ様。そういえば…結婚した時にルールを作ろうと思っていたのに…作ってませんでしたね。
…作りませんか?ルール」
「ルール?今更必要か?」
「はい。どうですか?」
「どんなルールだい?」
ちょっと不安そうなレオ様に、
「この手はずっと離さない…というルールです。
この先、喧嘩したり、困難に突き当たったり、嬉しい事があったり、悲しい事があったり、楽しい事があったり…たくさんの事を私はレオ様の隣で経験したいです。
私が辛くなっても、この手があれば私は頑張れます」
と言って私は繋いだ手を少し掲げてみせた。
「俺はもうレベッカのこの手を離す事はないよ。
結婚なんてするつもりもなかったし、子どもの父親になれるなんて…レベッカに出会うまでは想像もしていなかった。
こんな幸せ知ってしまったら、もう独りには戻れない。
それに俺にいつでも幸せをくれるのはレベッカだから。この手は絶対に離さないと誓うよ」
そう言ってレオ様は私にそっと口づけた。
それを見たアレックスお兄様が、
「おい!私の前でイチャイチャするなと言っているだろう!
さぁ、ベッキー。お兄様にもベッキーを補給させておくれ」
と両手を広げて待っている。
「ふふっ。早速手を離さなきゃいけなくなってしまいましたわ。
お兄様が拗ねると面倒くさいので、ちょっと行って来ますね」
と私が言うと、
「仕方ない。でも出来るだけ早く戻っておいで」
とレオ様は笑って言った。
私とレオ様の大切な人達が、私達の幸せを願ってくれる。
みんなの笑顔が温かい。
私が領地に引きこもったままなら、出会う事のなかった人達。
出会いは不思議。全てがあの時から始まった。
私はあの時の自分に感謝している。
「とりあえず、結婚してくれてありがとう」
fin
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今回で、本編完結致しました。
最後までお読みくださった皆様に心から感謝いたします。
この「とりあえず結婚してみますか?」は
私の小説初挑戦の作品になりました。稚拙な文章で、読みにくい所もあったと思いますが、思い入れも多い作品となりました。
後、数話番外編を書いていきたいと思っております。そちらも読んで頂けると嬉しいです。
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