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最悪の目覚め
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「ねぇ、ねぇ、ねぇ」
誰かが私の肩を揺さぶる。
「うーん。今日は休み…」と寝ぼけながら、返事をする。まだ寝ていたい。
「そっかぁ。じゃあ俺ももう少し寝てよっと。」何故か私以外の声がする…夢かぁ。
そう思いながら私は2度寝に突入した。
ピビピとスマホのアラームが鳴る。例え休日でも昼まで寝るのは勿体無い。多分今は午前9時だ。
カーテンの隙間から入る日の光もかなり明るい。
そろそろ起きるかと目を開けると、そこには見たこともない男の子が寝ていた。
私は目を見開き急いで体を起こす。人間、びっくりし過ぎると声も出ない。
私が上半身を起こした反動でベッドが軋む。それが聞こえたのか、私の隣で寝ていた誰かが目を開けた。
「あ、おはよう」
金縛りが解けたように動けるようになった私は大声を出す為に息を吸い込んだ途端、見知らぬ誰かさんに手で口を塞がれた。
「大きい声出したら、近所迷惑だよ。はじめまして、佐久間 奏さん」
とキラッキラッの笑顔でその男の子は微笑んだ。
塞がれていた手を急いでどける。
「ちょっと、誰?なんでここにいるの?」
冷静に考えれば、すぐさまここを離れて、警察に電話するべきだ。
パニックになっているのは間違いない。
昨日はお酒も飲んでないし、夜に外出をした形跡もない。
ちゃんと、夜寝るときに着た、Tシャツと短パンを着てるし、事後という雰囲気もない。
大丈夫。落ち着け私。
「俺は、橘 千秋。20歳。昨日は俺を選んでくれてありがとう。」
とこれまたキラッキラッの笑顔で彼は答えた。
昨日選んだ?私は夢遊病か何かか?それで彼をナンパして家に連れ込んだの?
良く見ると、彼は柄シャツにパンツを履いている。
良かった。裸じゃない。
いやいや、それだけが問題じゃない。落ち着け。落ち着け、私。
ということは、辛うじて犯罪ではないよな。でも、3年男が居ないからって、節操なさすぎない?私。
頭の中で色々な考えがぐるぐるしてる。マジでパニック。
もうどこから解決して良いのか、わからない。
「と、とりあえず、橘君」
「千秋でいいよー」
「千秋君。私が君をここに連れて来たんだね。」
「うん。そうだよ。」
私の夢遊病が確定した。専門の病院に行こう。
「そっか。それは申し訳ない。言い訳になるけど、全然記憶になくて。」
「えーショックだなぁ」
「うん。ほんとにごめん。とりあえず家はどこかな?遠いなら送っていくから、帰ってもらってらいいかな?」
「うーん。ごめん。それは無理なんだよねー。」
と彼…千秋くんは申し訳なさそうにする。
「無理って?」
え、もしかして、家出?私家出少年拾っちゃったの?
拾うのは2年前に拾ってきた、もなか(うちの同居猫)だけにしようよ。もなかだけでも手一杯だよ。
「カプセル開けちゃたら、もう俺帰れないんだ。」
「カプセル…」
千秋くんを良く見ると、昨日最後にやったガチャの人形に良く似てる。茶髪にパッチリお目目の可愛い顔の男の子。
「そう。昨日、奏さん、俺のガチャ引いてくれたでしょ?
カプセル開けたら返品不可だから。
もしかしたら、奏さん、俺の事気に入らない?捨てちゃうの?」
千秋くんの大きな目がうるうるしている。
こんな状況なのに可愛いと思ってしまう自分が恨めしい。
「ちょっと整理させて。千秋くんは、昨日のガチャの男の子だって言うの?」
「簡単に言うとそうだね~」
これはヤバイ。この子ヤバイ。人形が人になるなんて、んな訳ない。
もしかしたら昨日、私がガチャ引くの見てて、私を騙そうとしてる?
でも、何の為に?
なんかの詐欺?私、お金ないけど?
でも、手が込みすぎてない?
その労力に見合うメリットなくない?
あ、もしかしたらテレビ番組?モニタ◯◯◯みたいな。ドッキリ?ドッキリだよね。誰かそう言って。
あ、でもこの散らかった部屋を全国放送されるの困る。
絶対カットしてもらわなきゃ。
頭はフル回転だけど、どの考えも馬鹿馬鹿しい。もうどうしたら良いかわからない。
「ねぇ、ねぇ、奏さん。お腹すかない?俺、なんか作ろうか?」
へぇ~イケメンの上に料理も出来るんだぁ~って感心してる場合じゃない。
でも、正直な私のお腹が否定の言葉より先に鳴ってしまった。
誰かが私の肩を揺さぶる。
「うーん。今日は休み…」と寝ぼけながら、返事をする。まだ寝ていたい。
「そっかぁ。じゃあ俺ももう少し寝てよっと。」何故か私以外の声がする…夢かぁ。
そう思いながら私は2度寝に突入した。
ピビピとスマホのアラームが鳴る。例え休日でも昼まで寝るのは勿体無い。多分今は午前9時だ。
カーテンの隙間から入る日の光もかなり明るい。
そろそろ起きるかと目を開けると、そこには見たこともない男の子が寝ていた。
私は目を見開き急いで体を起こす。人間、びっくりし過ぎると声も出ない。
私が上半身を起こした反動でベッドが軋む。それが聞こえたのか、私の隣で寝ていた誰かが目を開けた。
「あ、おはよう」
金縛りが解けたように動けるようになった私は大声を出す為に息を吸い込んだ途端、見知らぬ誰かさんに手で口を塞がれた。
「大きい声出したら、近所迷惑だよ。はじめまして、佐久間 奏さん」
とキラッキラッの笑顔でその男の子は微笑んだ。
塞がれていた手を急いでどける。
「ちょっと、誰?なんでここにいるの?」
冷静に考えれば、すぐさまここを離れて、警察に電話するべきだ。
パニックになっているのは間違いない。
昨日はお酒も飲んでないし、夜に外出をした形跡もない。
ちゃんと、夜寝るときに着た、Tシャツと短パンを着てるし、事後という雰囲気もない。
大丈夫。落ち着け私。
「俺は、橘 千秋。20歳。昨日は俺を選んでくれてありがとう。」
とこれまたキラッキラッの笑顔で彼は答えた。
昨日選んだ?私は夢遊病か何かか?それで彼をナンパして家に連れ込んだの?
良く見ると、彼は柄シャツにパンツを履いている。
良かった。裸じゃない。
いやいや、それだけが問題じゃない。落ち着け。落ち着け、私。
ということは、辛うじて犯罪ではないよな。でも、3年男が居ないからって、節操なさすぎない?私。
頭の中で色々な考えがぐるぐるしてる。マジでパニック。
もうどこから解決して良いのか、わからない。
「と、とりあえず、橘君」
「千秋でいいよー」
「千秋君。私が君をここに連れて来たんだね。」
「うん。そうだよ。」
私の夢遊病が確定した。専門の病院に行こう。
「そっか。それは申し訳ない。言い訳になるけど、全然記憶になくて。」
「えーショックだなぁ」
「うん。ほんとにごめん。とりあえず家はどこかな?遠いなら送っていくから、帰ってもらってらいいかな?」
「うーん。ごめん。それは無理なんだよねー。」
と彼…千秋くんは申し訳なさそうにする。
「無理って?」
え、もしかして、家出?私家出少年拾っちゃったの?
拾うのは2年前に拾ってきた、もなか(うちの同居猫)だけにしようよ。もなかだけでも手一杯だよ。
「カプセル開けちゃたら、もう俺帰れないんだ。」
「カプセル…」
千秋くんを良く見ると、昨日最後にやったガチャの人形に良く似てる。茶髪にパッチリお目目の可愛い顔の男の子。
「そう。昨日、奏さん、俺のガチャ引いてくれたでしょ?
カプセル開けたら返品不可だから。
もしかしたら、奏さん、俺の事気に入らない?捨てちゃうの?」
千秋くんの大きな目がうるうるしている。
こんな状況なのに可愛いと思ってしまう自分が恨めしい。
「ちょっと整理させて。千秋くんは、昨日のガチャの男の子だって言うの?」
「簡単に言うとそうだね~」
これはヤバイ。この子ヤバイ。人形が人になるなんて、んな訳ない。
もしかしたら昨日、私がガチャ引くの見てて、私を騙そうとしてる?
でも、何の為に?
なんかの詐欺?私、お金ないけど?
でも、手が込みすぎてない?
その労力に見合うメリットなくない?
あ、もしかしたらテレビ番組?モニタ◯◯◯みたいな。ドッキリ?ドッキリだよね。誰かそう言って。
あ、でもこの散らかった部屋を全国放送されるの困る。
絶対カットしてもらわなきゃ。
頭はフル回転だけど、どの考えも馬鹿馬鹿しい。もうどうしたら良いかわからない。
「ねぇ、ねぇ、奏さん。お腹すかない?俺、なんか作ろうか?」
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