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第2話
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私と公爵であるコーネリアス・ガードナーとが結婚したのは、私の気まぐれからだった。
『お父様、私結婚したい!』
そう私が言った時の父と兄達の絶望した顔を忘れた事はない。
『な、何故だ?ヴィヴィ、何が不満なんだ?お父様に言ってみなさい。庭が狭いか?もっと広くして、お前の好きな動物のたくさん来る森の様な庭にするか?あ!庭のブランコが小さくなったか?それとも……』
『いや……もしかしたら僕の婚約者がヴィヴィに意地悪をしたのかも……ほら、やはり僕は結婚すべきじゃないんだ!』
『もしかして、この前一緒に花を植える事が出来なかったからかい?僕だってヴィヴィと一緒に土いじりをしたかったんだけど、どうしても外せない来客が……』
『皆落ち着きなさいな。ギルバート、この王都に森を作るつもり?それにそんな広い庭を作ったらヴィヴィが間違いなく迷子になりますよ。この子はとてもつない方向音痴なんですから。それにヘンリー。貴方ヴィヴィを言い訳に結婚しないなんて言わないで。貴方は次期ケネット公爵なのよ?嫌でも結婚してもらわなきゃ困ります。それとモーリス。ヴィヴィは庭師と楽しそうに花を植えていました。それを邪魔したかったのは貴方の方でしょう?……ところでヴィヴィ。貴女は何故結婚したいのかしら?お母様に教えてくれる』
あの時落ち着いて話を聞いてくれたのはお母様だけだった。お母様、私の憧れの女性。優しくて、強くて温かい。その上、超絶美人だ。
『周りのお友達は皆、婚約者が居たり、結婚していたり。とても幸せそうだもの。それに……キスって凄く……その……素敵なものなんでしょう?それに……その……』
そういう行為が素晴らしいものだと聞いた事があった。流石にキスやそれ以上の行為は婚約者や結婚相手としか出来ない事ぐらい、私も承知だ。一生そういう経験がないのもつまらないと思っていたし、お母様の様な素敵な女性になりたかった。
『わぁー!!!!聞きたくない!聞きたくない!!聞きたくない!!!』
私の言葉を待たず、父と兄達は耳を塞ぎ食卓へ突っ伏した。
『ハァ……。男どもはダメね。とりあえず無視して話しましょう。そうねぇ……結婚って良いことばかりでなないわ。悲しい事も辛い事もある。でも私は賛成。辛い悲しい事以上に幸せもあるわ。私はこうしてお父様と結婚して、あなた達を産んで……とっても、とっても幸せだもの。だからそれをヴィヴィにも経験して欲しい』
『ダメだ!ダメだ!ヴィヴィはずっとお父様と一緒にいよう、な?』
お父様が必死だ。
『ギルバート……親は子どもより先に天国へ行くのよ?一生は無理』
『じゃ、じゃあ僕達がヴィヴィの面倒を……!!』
『お兄様達もいつか結婚して家族を作るわ。そこに私の居場所はないもの』
『ヴィヴィと仲良くやっていけない様な女性とは結婚しない!なんならモーリスが一生独身で居れば問題ない!』
二人の兄の気持ちは嬉しい。でも、それはちょっと重い。
『三人共いい加減になさい!!ヴィヴィを縛り付けてはいけないわ。ギルバート、相応しい男性を選んであげて頂戴ね』
お母様が一喝すると、お父様は涙を浮かべながら項垂れていた。
私としても軽い気持ちだったし、心の何処かで実家を出て新しい景色を見たいとも思っていた。……色んな経験もしてみたい。
そうしてお父様が見つけて来た相手が、コーネリアス・ガードナー公爵……今の旦那様だ。
旦那様は若くして公爵を継ぎ、王太子殿下の側近として王宮で働いている。御年二十四歳。十九歳の私より五つ歳上なだけなのに、随分と大人びて見えた。……逆に私が子どもっぽいとも言う。
お父様が彼を選んだ理由……それはとにかく真面目な事。堅物公爵との異名をもつ程の彼に、お父様は『浮気したりギャンブルで身を滅ぼす確率はゼロだ!』と言っていた。
かくして、私はヴィヴィアン・ガードナーになったわけだが……自由奔放に生きてきた私と旦那様は水と油。とにかく相性が悪かった。
『お父様、私結婚したい!』
そう私が言った時の父と兄達の絶望した顔を忘れた事はない。
『な、何故だ?ヴィヴィ、何が不満なんだ?お父様に言ってみなさい。庭が狭いか?もっと広くして、お前の好きな動物のたくさん来る森の様な庭にするか?あ!庭のブランコが小さくなったか?それとも……』
『いや……もしかしたら僕の婚約者がヴィヴィに意地悪をしたのかも……ほら、やはり僕は結婚すべきじゃないんだ!』
『もしかして、この前一緒に花を植える事が出来なかったからかい?僕だってヴィヴィと一緒に土いじりをしたかったんだけど、どうしても外せない来客が……』
『皆落ち着きなさいな。ギルバート、この王都に森を作るつもり?それにそんな広い庭を作ったらヴィヴィが間違いなく迷子になりますよ。この子はとてもつない方向音痴なんですから。それにヘンリー。貴方ヴィヴィを言い訳に結婚しないなんて言わないで。貴方は次期ケネット公爵なのよ?嫌でも結婚してもらわなきゃ困ります。それとモーリス。ヴィヴィは庭師と楽しそうに花を植えていました。それを邪魔したかったのは貴方の方でしょう?……ところでヴィヴィ。貴女は何故結婚したいのかしら?お母様に教えてくれる』
あの時落ち着いて話を聞いてくれたのはお母様だけだった。お母様、私の憧れの女性。優しくて、強くて温かい。その上、超絶美人だ。
『周りのお友達は皆、婚約者が居たり、結婚していたり。とても幸せそうだもの。それに……キスって凄く……その……素敵なものなんでしょう?それに……その……』
そういう行為が素晴らしいものだと聞いた事があった。流石にキスやそれ以上の行為は婚約者や結婚相手としか出来ない事ぐらい、私も承知だ。一生そういう経験がないのもつまらないと思っていたし、お母様の様な素敵な女性になりたかった。
『わぁー!!!!聞きたくない!聞きたくない!!聞きたくない!!!』
私の言葉を待たず、父と兄達は耳を塞ぎ食卓へ突っ伏した。
『ハァ……。男どもはダメね。とりあえず無視して話しましょう。そうねぇ……結婚って良いことばかりでなないわ。悲しい事も辛い事もある。でも私は賛成。辛い悲しい事以上に幸せもあるわ。私はこうしてお父様と結婚して、あなた達を産んで……とっても、とっても幸せだもの。だからそれをヴィヴィにも経験して欲しい』
『ダメだ!ダメだ!ヴィヴィはずっとお父様と一緒にいよう、な?』
お父様が必死だ。
『ギルバート……親は子どもより先に天国へ行くのよ?一生は無理』
『じゃ、じゃあ僕達がヴィヴィの面倒を……!!』
『お兄様達もいつか結婚して家族を作るわ。そこに私の居場所はないもの』
『ヴィヴィと仲良くやっていけない様な女性とは結婚しない!なんならモーリスが一生独身で居れば問題ない!』
二人の兄の気持ちは嬉しい。でも、それはちょっと重い。
『三人共いい加減になさい!!ヴィヴィを縛り付けてはいけないわ。ギルバート、相応しい男性を選んであげて頂戴ね』
お母様が一喝すると、お父様は涙を浮かべながら項垂れていた。
私としても軽い気持ちだったし、心の何処かで実家を出て新しい景色を見たいとも思っていた。……色んな経験もしてみたい。
そうしてお父様が見つけて来た相手が、コーネリアス・ガードナー公爵……今の旦那様だ。
旦那様は若くして公爵を継ぎ、王太子殿下の側近として王宮で働いている。御年二十四歳。十九歳の私より五つ歳上なだけなのに、随分と大人びて見えた。……逆に私が子どもっぽいとも言う。
お父様が彼を選んだ理由……それはとにかく真面目な事。堅物公爵との異名をもつ程の彼に、お父様は『浮気したりギャンブルで身を滅ぼす確率はゼロだ!』と言っていた。
かくして、私はヴィヴィアン・ガードナーになったわけだが……自由奔放に生きてきた私と旦那様は水と油。とにかく相性が悪かった。
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