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第4話
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「奥様、庭のミモザが見頃ですよ」
庭師のスティーブがトボトボと歩く私に声を掛けてきた。
「ほんと?!見にいかなくっちゃ!」
駆け出そうとする、私をスティーブが慌てて止める。
「奥様!ゆっくり!ゆっくりですよ!!また旦那様に叱られます!」
私はハッとして歩みを遅くした。
「ありがとう!また何か壊す所だったわ」
「いえいえ。そうやって奥様の様に花を愛でる方に来ていただいて、庭師としては嬉しい限りですよ。旦那様なんて……」
「シーッ。旦那様はお仕事がお忙しいからだわ。今日も直ぐ王宮へ行かれるらしいし。きっとゆっくりする時間がないだけよ。ほら……私は時間を持て余しているから」
「奥様は太陽、旦那様は月の様ですね」
「スティーブ、貴方って詩人ね!でも旦那様の銀髪は本当に月の光みたい。言い当ててると思うわ」
「私は性格の事を言ったんですけどね……」
スティーブは苦笑いする。
「そうだわ!ねぇ、今度私にもお花を植えさせて頂戴ね。実家では色々と育てていたのよ」
「奥様自らですか?!」
スティーブが驚くと、私も途端に不安になった。
「これって……また旦那様に怒られちゃうかしら?」
私はスティーブと一緒に庭で満開のミモザを堪能しながら、散歩を終えた。
花は見ていてウキウキする。スティーブに『野菜も花を付けるのをご存知ですか?』と尋ねられ、今はすっかり野菜を育てる気になっている。旦那様の部屋からは見えない場所に畑を作ってもらう約束をした。……今からワクワクしてしょうがない。
私は動物や植物が好きだ。旦那様は一切興味がないらしいけど。
本を読んだり、刺繍をする事も好きだが、刺繍をすると、いつも何故か指に針を刺してしまうので、リンジーから止められている。
公爵夫人としての仕事は何一つ任されていない。お茶会も開いてみたいし、お友達以外とのお茶会にも参加してみたいのだが『もう少し落ち着きを持ってからだ』と旦那様に言われてしまった。
「もう少し旦那様に信頼してもらえる様にならなくちゃ」
と決意を新たにしてみるのだが、そんな機会は今のところ訪れる気配もない。
「あ……今日はアノ日か……」
月に一度やってくる……アノ日。私は今日の日付を確認し、あからさまに落ち込んだ。
「奥様……私、前々から不思議だったんですけど……どうしてそんなにアレが嫌なのですか?流石にたとえ侍女でもご夫婦の夜の秘め事にまで口を出すのはと、我慢しておりましたが、いつも底抜けに明るい奥様がこんなに落ち込むのは只事ではありませんよね?このリンジーにお手伝い出来る事なら、ご相談に乗りますよ」
リンジーは自分の胸を叩いて鼻の穴を膨らませた。ちょっとゴリラみたい……。
庭師のスティーブがトボトボと歩く私に声を掛けてきた。
「ほんと?!見にいかなくっちゃ!」
駆け出そうとする、私をスティーブが慌てて止める。
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「シーッ。旦那様はお仕事がお忙しいからだわ。今日も直ぐ王宮へ行かれるらしいし。きっとゆっくりする時間がないだけよ。ほら……私は時間を持て余しているから」
「奥様は太陽、旦那様は月の様ですね」
「スティーブ、貴方って詩人ね!でも旦那様の銀髪は本当に月の光みたい。言い当ててると思うわ」
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スティーブは苦笑いする。
「そうだわ!ねぇ、今度私にもお花を植えさせて頂戴ね。実家では色々と育てていたのよ」
「奥様自らですか?!」
スティーブが驚くと、私も途端に不安になった。
「これって……また旦那様に怒られちゃうかしら?」
私はスティーブと一緒に庭で満開のミモザを堪能しながら、散歩を終えた。
花は見ていてウキウキする。スティーブに『野菜も花を付けるのをご存知ですか?』と尋ねられ、今はすっかり野菜を育てる気になっている。旦那様の部屋からは見えない場所に畑を作ってもらう約束をした。……今からワクワクしてしょうがない。
私は動物や植物が好きだ。旦那様は一切興味がないらしいけど。
本を読んだり、刺繍をする事も好きだが、刺繍をすると、いつも何故か指に針を刺してしまうので、リンジーから止められている。
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「もう少し旦那様に信頼してもらえる様にならなくちゃ」
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「あ……今日はアノ日か……」
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「奥様……私、前々から不思議だったんですけど……どうしてそんなにアレが嫌なのですか?流石にたとえ侍女でもご夫婦の夜の秘め事にまで口を出すのはと、我慢しておりましたが、いつも底抜けに明るい奥様がこんなに落ち込むのは只事ではありませんよね?このリンジーにお手伝い出来る事なら、ご相談に乗りますよ」
リンジーは自分の胸を叩いて鼻の穴を膨らませた。ちょっとゴリラみたい……。
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