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0章
四回目の黎明
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僕は非常識な時間に鳴く鳩の声で目を覚ます。
ベットの上で伸びをしてからスマホの電源をつけると、画面には午前三時と表示されている。そのまま何も考えずスマホをいじっていたが、徐々に瞼が重くなっていくのを感じた。このままではいけないと、僕は重い体に鞭を打ってベットから体を起こす。
カーテンを開けると街はまだ夜の中にあった。窓には結露が出来ていて、外の様子は不鮮明だ。袖で結露を拭うと、普段の街並みには雪化粧が施されていた。昨日は首都圏でも記録的な大雪が降ったせいで、暫くはこの景色が日常となるだろう。寒すぎるのは考え物だが、景色に見惚れている自分がいるのもまた事実だった。
暫く景色を眺めていると、背後でスマホが鳴った。僕はスマホを手に取って画面を確認すると、画面には彼女からの起床確認のメッセージが届いていた。時計を見ると、既に予定していた出発時間を過ぎている。僕は彼女に簡単な返信をしてから、クローゼットから上着を取り出して家を出た。
外には本格的な寒さがそこら中に充満していて、冷気は体の内側から僕を冷やす。ポケットに入れていたカイロで手を擦ってみるが、カイロはまだ温まる様子がない。僕は止められない身震いを抱えたまま、雪を踏み締めて歩き始めた。
僕が目指している場所は彼女の家だ。彼女の家は僕の家から徒歩十分ほど離れたところにある古いアパート。そのアパートは目を疑いたくなるほど老朽化しいて、外壁は所々黒ずみ、少しの風でも大袈裟に窓は揺れる。僕も彼女も高層マンションに住めるほどの貯金があるが、彼女は頑なにあのアパートから引っ越そうとしなかった。理由は分からない。でも、僕もあのアパートは気に入っていたから深い詮索はしなかった。
目的地に着いた僕はアパートを見上げる。そして、彼女の部屋に明かりがついていないことに気が付く。疑問に思いながら階段に足を踏み入れると、階段の上では彼女が身を縮こませながら座っているのが見えた。僕の足音に気付いた彼女はゆっくりと顔を上げると、ニコリと笑ってから立ち上がる。
彼女との距離は六段程しかなかったけど、僕の頭にはロミオとジュリエットのワンシーンが過ぎった。陶器のような白い肌、胸の辺りまで伸びた夜に溶け込む黒い髪、全てを飲み込むような深く澄んだ目。彼女はとても美しい女性だった。僕がロミオ役に相応しくない事に目を瞑れば、ここが劇場だと錯覚する人間がいても不思議ではなかった。
彼女は軽やかに階段から飛び降りると、僕のポケットに手を滑り込ませて手を繋ぐ。繋がれた彼女の手の冷たさが、僕を待っている時間を示唆していた。しかしそれと同時に僕に向けられた笑顔はこれ以上ないくらい暖かかった。その笑顔を見るたび、僕は僕なんかが彼女の隣に居てもいいのだろうかと考えてしまう。前世の僕はどれだけ善行を積んだのだろうか。世界を救ったり、人類の発展に繋がる発明をしたりしない限り、彼女の横にいるために必要な善行は足りない気がする。来世の僕はきっと、毒虫にでもなっているはずだ。
彼女が歩き出すのに合わせて僕も歩みを進めた。僕達は雪に覆われている街を黙々と歩く。この時間だけは、沈黙を掻き消すためだけの会話は野暮だと思った。
視線を横に向けると、彼女は白い息を吐いて今もなお寒そうにしている。それもそのはずだ。まだ真夜中だというのに彼女は既に高校の制服を着ていた。上は分厚い上着を着ているのにも関わらず、下半身は膝上のスカートにくるぶしの先までしかない靴下を履いている。その衣服の間には白い素肌が露わになっていて、見ているこっちまで寒くなってきそうだった。
その姿を見た僕は思わず「寒くないの?」と聞くと、彼女は「女の子にその質問は無粋だよ」と言った。よく見れば彼女は寝巻きをそのまま制服に切り替えた、という格好ではなかった。まるでこれからデートに行くかのように、身なりが整っている。僕は彼女が身なりを整えた理由が、これからする事のためではない事を心の中で願った。
歩き出してから二十分ほど経った頃、彼女は住宅街のとある一軒家の前で足を止めた。そこは何の変哲のない一軒家だったけど、柵から玄関に続く道に枯れた花が下を向いて並んでいるのが目立って見えた。
「行こっか」
家を眺めていた僕の手を彼女は引っ張る。
彼女が柵を開けて真っ先に目指した場所は玄関ではなく、庭にあった小さなプレハブ倉庫だった。彼女は倉庫の扉を開くと、徐に指を刺した。
「これ、持って」
彼女の指先には赤いポリタンクが置かれていた。言われるがままポリタンクを持ち上げようとしたが、ポリタンクは底が地面に根付いているかのように重たい。中には満タンまで液体が入っていて、僕は両手を使ってやっと持ち上げられた。
「平気?」
声がしたから振り返ると、彼女は既に玄関の扉を開けて僕を待っている。
「大丈夫」
「じゃあ、こっち来て。気をつけてね」
彼女は僕に向かって手招きをした。
僕はポリタンクを彼女の元へと運ぶと、彼女は僕に右手を差し出す。僕は彼女と手を繋ぎたい気持ちを抑えて、ポリタンクを差し出した。
ポリタンクを受け取った彼女はそれを軽々と持ち上げて見せると、そのままポリタンクの中身を玄関にばら撒いた。床に落ちた液体を眺めていた僕だったが、彼女はいつの間にか玄関に出来た水溜りから一本の線を引くようにして家の中へと進んでいる。置いていかれないように、僕は小走りで彼女の元へと向かった。
二階に上がるとそこには部屋が三つあった。その中の二つは何もない空っぽの部屋だったが、最後に入った部屋では中年の男が気持ちよさそうに眠っていた。その部屋は扉を開けただけで咽せ返るほどのアルコールが充満していて、床には大量の空き缶が転がっていた。
彼女は器用に空き缶を避けて進み、ポリタンクの液体を部屋の中にもばら撒いた。まるでバレエでも踊っているのかと勘違いしてしまうほど、彼女の足運びは軽やかで綺麗だった。僕は空き缶を避けて歩ける気がしなかったから、部屋の外で彼女を見守っていた。
「無くなっちゃった」
持っていたポリタンクを放り投げて彼女はそう言った。
足りなかった、と言う様な言い方だが決してそんなことはない。玄関から一階と二階に満遍なく撒いて、最後のこの部屋を出る瞬間にちょうど中身が無くなった。おそらく、計算通りで間違いないだろう。
一階のリビングに戻ると、今度は液体の匂いで鼻が曲がりそうになった。彼女はキッチンから幾つかゴミ袋を持ってくると、それを液体の上に放り投げる。そしてポケットから取り出したマッチに火をつけ、躊躇いもなくそれも床に落とした。
マッチが液体の上に落ちると、火は規則ただしく導火線を沿って進んだ。しかし火は導火線を辿るだけでなく、ゴミ袋や家具を伝って幾重にも手足を伸ばしている。それはとても幻想的な光景で、皮膚に伝わっている熱のおかげで僕はここが現実なのだと認識できていた。
「そろそろ行かないと」
横にいる彼女が僕の手を少し引っ張る。
「ごめん、そうだね」
僕は呟くようにそう言った。
互いの手の形を確かめるみたいに手を繋ぎ直して、僕達は燃え盛る家を後にした。
民家を放火した僕達が目指したのは交番でも自分達の家でもなく、少し離れた所にある高台の公園だった。理由は、そこからだと燃えた家がよく見えるからだった。
数分ほど歩いていると消防車や救急車が僕達の横を通り過ぎる。その姿を目で追っている僕の横で彼女は「もう死んでいるのにね」と言った。それが本当なのか分からないが、彼女が言うならきっとそうなのだろう。
公園に着くとそこからは真っ黒な影が空に向かって伸びているのが見えた。そんなはずはないけれど、まだ火の熱が僕の皮膚を焼いている気さえしていた。これは一種の芸術だ、と言われても僕は納得してしまう。大きな物が燃え盛る様には大きな魔力が宿っている。
家が燃える姿を見て、僕はあることを思い出す。
「また、花火見に行きたいな」
「そうだね。でも、次だけでいいの?」
スポットライトのように、街灯が彼女だけを照らしていた。
「じゃあ、来年も再来年も行こうよ。そして死ぬまでずっと」
「我儘だね」
くすくすと彼女は笑う。
「嫌?」
「ううん、楽しみ。また誘ってね」
「うん。絶対に」
僕は微かに握る手を強めると、彼女も同じ強さで握り返してくれた。
それはとても寒い、四回目の黎明のことだった。
ベットの上で伸びをしてからスマホの電源をつけると、画面には午前三時と表示されている。そのまま何も考えずスマホをいじっていたが、徐々に瞼が重くなっていくのを感じた。このままではいけないと、僕は重い体に鞭を打ってベットから体を起こす。
カーテンを開けると街はまだ夜の中にあった。窓には結露が出来ていて、外の様子は不鮮明だ。袖で結露を拭うと、普段の街並みには雪化粧が施されていた。昨日は首都圏でも記録的な大雪が降ったせいで、暫くはこの景色が日常となるだろう。寒すぎるのは考え物だが、景色に見惚れている自分がいるのもまた事実だった。
暫く景色を眺めていると、背後でスマホが鳴った。僕はスマホを手に取って画面を確認すると、画面には彼女からの起床確認のメッセージが届いていた。時計を見ると、既に予定していた出発時間を過ぎている。僕は彼女に簡単な返信をしてから、クローゼットから上着を取り出して家を出た。
外には本格的な寒さがそこら中に充満していて、冷気は体の内側から僕を冷やす。ポケットに入れていたカイロで手を擦ってみるが、カイロはまだ温まる様子がない。僕は止められない身震いを抱えたまま、雪を踏み締めて歩き始めた。
僕が目指している場所は彼女の家だ。彼女の家は僕の家から徒歩十分ほど離れたところにある古いアパート。そのアパートは目を疑いたくなるほど老朽化しいて、外壁は所々黒ずみ、少しの風でも大袈裟に窓は揺れる。僕も彼女も高層マンションに住めるほどの貯金があるが、彼女は頑なにあのアパートから引っ越そうとしなかった。理由は分からない。でも、僕もあのアパートは気に入っていたから深い詮索はしなかった。
目的地に着いた僕はアパートを見上げる。そして、彼女の部屋に明かりがついていないことに気が付く。疑問に思いながら階段に足を踏み入れると、階段の上では彼女が身を縮こませながら座っているのが見えた。僕の足音に気付いた彼女はゆっくりと顔を上げると、ニコリと笑ってから立ち上がる。
彼女との距離は六段程しかなかったけど、僕の頭にはロミオとジュリエットのワンシーンが過ぎった。陶器のような白い肌、胸の辺りまで伸びた夜に溶け込む黒い髪、全てを飲み込むような深く澄んだ目。彼女はとても美しい女性だった。僕がロミオ役に相応しくない事に目を瞑れば、ここが劇場だと錯覚する人間がいても不思議ではなかった。
彼女は軽やかに階段から飛び降りると、僕のポケットに手を滑り込ませて手を繋ぐ。繋がれた彼女の手の冷たさが、僕を待っている時間を示唆していた。しかしそれと同時に僕に向けられた笑顔はこれ以上ないくらい暖かかった。その笑顔を見るたび、僕は僕なんかが彼女の隣に居てもいいのだろうかと考えてしまう。前世の僕はどれだけ善行を積んだのだろうか。世界を救ったり、人類の発展に繋がる発明をしたりしない限り、彼女の横にいるために必要な善行は足りない気がする。来世の僕はきっと、毒虫にでもなっているはずだ。
彼女が歩き出すのに合わせて僕も歩みを進めた。僕達は雪に覆われている街を黙々と歩く。この時間だけは、沈黙を掻き消すためだけの会話は野暮だと思った。
視線を横に向けると、彼女は白い息を吐いて今もなお寒そうにしている。それもそのはずだ。まだ真夜中だというのに彼女は既に高校の制服を着ていた。上は分厚い上着を着ているのにも関わらず、下半身は膝上のスカートにくるぶしの先までしかない靴下を履いている。その衣服の間には白い素肌が露わになっていて、見ているこっちまで寒くなってきそうだった。
その姿を見た僕は思わず「寒くないの?」と聞くと、彼女は「女の子にその質問は無粋だよ」と言った。よく見れば彼女は寝巻きをそのまま制服に切り替えた、という格好ではなかった。まるでこれからデートに行くかのように、身なりが整っている。僕は彼女が身なりを整えた理由が、これからする事のためではない事を心の中で願った。
歩き出してから二十分ほど経った頃、彼女は住宅街のとある一軒家の前で足を止めた。そこは何の変哲のない一軒家だったけど、柵から玄関に続く道に枯れた花が下を向いて並んでいるのが目立って見えた。
「行こっか」
家を眺めていた僕の手を彼女は引っ張る。
彼女が柵を開けて真っ先に目指した場所は玄関ではなく、庭にあった小さなプレハブ倉庫だった。彼女は倉庫の扉を開くと、徐に指を刺した。
「これ、持って」
彼女の指先には赤いポリタンクが置かれていた。言われるがままポリタンクを持ち上げようとしたが、ポリタンクは底が地面に根付いているかのように重たい。中には満タンまで液体が入っていて、僕は両手を使ってやっと持ち上げられた。
「平気?」
声がしたから振り返ると、彼女は既に玄関の扉を開けて僕を待っている。
「大丈夫」
「じゃあ、こっち来て。気をつけてね」
彼女は僕に向かって手招きをした。
僕はポリタンクを彼女の元へと運ぶと、彼女は僕に右手を差し出す。僕は彼女と手を繋ぎたい気持ちを抑えて、ポリタンクを差し出した。
ポリタンクを受け取った彼女はそれを軽々と持ち上げて見せると、そのままポリタンクの中身を玄関にばら撒いた。床に落ちた液体を眺めていた僕だったが、彼女はいつの間にか玄関に出来た水溜りから一本の線を引くようにして家の中へと進んでいる。置いていかれないように、僕は小走りで彼女の元へと向かった。
二階に上がるとそこには部屋が三つあった。その中の二つは何もない空っぽの部屋だったが、最後に入った部屋では中年の男が気持ちよさそうに眠っていた。その部屋は扉を開けただけで咽せ返るほどのアルコールが充満していて、床には大量の空き缶が転がっていた。
彼女は器用に空き缶を避けて進み、ポリタンクの液体を部屋の中にもばら撒いた。まるでバレエでも踊っているのかと勘違いしてしまうほど、彼女の足運びは軽やかで綺麗だった。僕は空き缶を避けて歩ける気がしなかったから、部屋の外で彼女を見守っていた。
「無くなっちゃった」
持っていたポリタンクを放り投げて彼女はそう言った。
足りなかった、と言う様な言い方だが決してそんなことはない。玄関から一階と二階に満遍なく撒いて、最後のこの部屋を出る瞬間にちょうど中身が無くなった。おそらく、計算通りで間違いないだろう。
一階のリビングに戻ると、今度は液体の匂いで鼻が曲がりそうになった。彼女はキッチンから幾つかゴミ袋を持ってくると、それを液体の上に放り投げる。そしてポケットから取り出したマッチに火をつけ、躊躇いもなくそれも床に落とした。
マッチが液体の上に落ちると、火は規則ただしく導火線を沿って進んだ。しかし火は導火線を辿るだけでなく、ゴミ袋や家具を伝って幾重にも手足を伸ばしている。それはとても幻想的な光景で、皮膚に伝わっている熱のおかげで僕はここが現実なのだと認識できていた。
「そろそろ行かないと」
横にいる彼女が僕の手を少し引っ張る。
「ごめん、そうだね」
僕は呟くようにそう言った。
互いの手の形を確かめるみたいに手を繋ぎ直して、僕達は燃え盛る家を後にした。
民家を放火した僕達が目指したのは交番でも自分達の家でもなく、少し離れた所にある高台の公園だった。理由は、そこからだと燃えた家がよく見えるからだった。
数分ほど歩いていると消防車や救急車が僕達の横を通り過ぎる。その姿を目で追っている僕の横で彼女は「もう死んでいるのにね」と言った。それが本当なのか分からないが、彼女が言うならきっとそうなのだろう。
公園に着くとそこからは真っ黒な影が空に向かって伸びているのが見えた。そんなはずはないけれど、まだ火の熱が僕の皮膚を焼いている気さえしていた。これは一種の芸術だ、と言われても僕は納得してしまう。大きな物が燃え盛る様には大きな魔力が宿っている。
家が燃える姿を見て、僕はあることを思い出す。
「また、花火見に行きたいな」
「そうだね。でも、次だけでいいの?」
スポットライトのように、街灯が彼女だけを照らしていた。
「じゃあ、来年も再来年も行こうよ。そして死ぬまでずっと」
「我儘だね」
くすくすと彼女は笑う。
「嫌?」
「ううん、楽しみ。また誘ってね」
「うん。絶対に」
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