僕達はいつだって境目を探している

花惑

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それだけ良かった

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 あの選択が間違っていたとは思わないが、合っていた自信もない。いくら安全が保証されていたとしても、あの行為には危険が伴う。僕は何より、彼女が傷つくことを恐れていた。

 僕達人間は後悔で出来ている。後悔は総じて過去に存在するもので、後悔自体をどうにかすることは出来ない。だから僕達は未来をより良くしようとし、未来ごと後悔を消し去ってしまいたいと考えている。
 
 後悔は変えられない。
 
 分かっている。
 
 分かってはいるのに、どうしても考えてしまう。
 
 あの時、僕が彼女のお願いを断っていたら。

 そんな未来は絶対にありえないけど、そのお陰で彼女が仕事を辞められるのなら、それが一番の正しい道だ。しかしそれだと僕達は生きていくことが出来ない。例えるなら、酸素のない海に沈んでいくようなものだ。
 
 でも、彼女が横にいるのなら僕はその結末でも良かった。
 
 本当に……それで良かったんだ。
 
 最後の瞬間に笑う君が写っていれば、それだけ良かったんだよ。
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