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おこられた
しおりを挟む「それ、誰に聞いたの?」
明らかに怒ってる声。聞いたことない声。
僕はりゅうに怒られたことなんてなかった。
ましてや、泣いてる時になんて。
僕が泣いてる時、りゅうはいつも大丈夫?って
優しく声をかけてくれて、
訳を話せるようになるまで待ってくれて、
そのあと一緒にどうしてくか考えてくれた。
進路のことで親と喧嘩みたくなったりした時も
2人で遊園地行って迷子になった時も
電話ですごく慰めてくれて、探してくれて...
怒ったりゅうなんてはじめてで。
どうしたらいいかわかんないし。
りゅう、ずっと無表情で、
さっきと変わらず冷たい目だし、
いきなりだったし。
「かずき、誰に聞いたの?」
うぅ、まだ怒ってる。
いつも低めの落ち着く声が、僕に敵意を向けて、
怒気を含ん、でさらに低くて、極めつけには、
有無を言わさないような雰囲気を出している。
どうして?好きな人聞いたのが原因?
でも、それだけで?
もしかして昨日とかの問題じゃなくて
ずっと嫌われてたとか?
どうしよう。もう頭ん中真っ白。
涙も止まんないし、今僕の目の前にいるのは
りゅうだけど、別人みたいだし、
「かずき、泣いてちゃわかんないんだけど?
もう1回だけ聞くよ、誰に聞いたの?」
ずっとりゅう怒ってる。
そんなに僕には触れてほしくない話題だったんだ。
どうしよう。
「かずき、早く答えて。
俺今そんなに気長に待てないんだけど?」
どうしよう。どうしよう。
ずっと頭ん中真っ白で
さっき質問された内容なんて忘れちゃったし、
さっきりゅうが言ってた事なんて
頭ん中にはいってこなかったし、
何答えればいいの?
どうしよう。
「ご...ごめんな...さい。り、りゅうにも...
触れて、ほしく、ない話題くらい...あるよね、
ごめんなさい...気、使えなくて」
とにかく、りゅうに許してもらいたくて、
とにかく、りゅうにこれ以上嫌われたくなくて
やっとのこさでひねり出した言葉。
りゅうはまだベットに座ったままで、
僕は立っている。
そんな状況なのに、りゅうからすごく
威圧的なオーラが出てるっていうか、
威圧的な空気が出てるっていうか、
実際は10秒とかだったんだろうけど
僕にはその沈黙がが10分にも1時間にも
感じられた。
「ねぇ、誰に聞いたの?って聞いてるじゃん?」
「え...あ、と...つ、つかさと...はるま」
やっと聞こえてきた声はさっきと変わらなかったが
りゅうの聞いてきたことを今回は、ちゃんと聞けたので、威圧的な雰囲気の中ちゃんと答えれたと思う。
「あぁ、なるほどね、うん。」
僕が答えたら自分で納得したりゅう。
あの答えで充分だったようだ。
声もさっきよりは落ち着いていて、
なんとなく力が抜けた僕は座り込んでしまった。
「それで?かずきは、
どうしていきなりそんな事聞いてきたの?」
「え?」
あ、い、言えない。
『 りゅうに好きな人いるって他人から聞いて
僕の方が仲良いはずなのに!って対抗心が沸いたから好きな人の名前は僕が先に知りたいって思いました。』
恥ずかしすぎる。
「かずき?」
いつの間にかこっちに来ていたりゅうに、
座り込んでしまった僕は見下ろされている。
そして、声は先程まで怖くないし、
顔も笑顔だ。だが、目が笑ってない。
怖い。また泣きそう。
どうして今日そんなに怒るの?
怖いとか通り越してもう悲しい。
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