「アラフォーおっさん、爆乳エルフに転生し、奴隷から成り上がる!射撃チートで異世界無双!」

aki•smiley

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第1章

第1話 おっさんTS転生する。

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 目覚めると、牢屋の中だった。

「あっ! お姉ちゃん! 良かった、生きてた!」

 耳の長い短髪の少女が、俺の顔を覗き込む。

「ここは一体......? 君は?」

 何が起こったのか理解出来ない。俺はさっきまで会社で働いていたはずだ。ほとんど家にも帰れず、疲労の限界だった。だから長椅子で仮眠を取っていたんだ。

 夢、か......?

「ええ!? お姉ちゃん、もしかして記憶喪失ってやつ? 僕の事、わからないの?弟の、ラティムだよ。ここは奴隷商人の館。僕たちを展示する為の檻だ。自分の名前はわかる?」

 なんと、目の前の耳長美少女は、弟だった。つまり男だ。まるでファンタジーに出てくるエルフみたいに、めちゃくちゃ耳が長い。

 試しに自分の耳も触ってみる。おお、長い。やっぱりこの子のお姉ちゃんだけあって、俺もエルフだ。

 自分の体を見る。こんもりと盛り上がる、肉の山。グラビアアイドルも真っ青な爆乳で、胸から下が見えない。

 なんだこれ。夢なら醒めないで欲しいわ......。

 そんな事を考えていると、美少女、じゃなかった、美少年の我が弟、ラティムがじーっと俺を見る。

「もしかして、自分の名前も思い出せないの?」

 あ、名前、聞かれてたんだっけ。

「俺の名前は、山形三郎。しがないおっさんだ。よろしくなラティム」

 うおおお、なんじゃこの声ぇ!? 俺は自分の声に思わず聞き惚れた。鼓膜を震わせる、美しい音色。ずっと聴いていたくなる声だった。

「え? 誰、山形三郎って。やっぱりお姉ちゃん、殴られ過ぎておかしくなっちゃったの? あの奴隷商の親父、許せないよ。僕、お姉ちゃんが死んじゃったかと思って、舌を噛んで死のうかと思ってたんだ。でも生きててくれて、本当に良かった。お姉ちゃんの名前はね、アナスタシアだよ」

 おお、なんといい名前。そうだよな。これが夢か何かはわからないけど、こんな容姿で山形三郎って無理あるわ。

「そっか、アナスタシアね。ごめんなラティム。俺......とは言わないか。私、かな。 どうやらラティムの言う通り、私は記憶喪失みたいだ。一体何がどうなってるのか、面倒だと思うけど教えて欲しい」

 ラティムは目を細め、フッと笑う。

「面倒な訳ないよ。お姉ちゃんが生きててくれた。それだけで、僕は本当に幸せなんだ。あのね、僕たちが奴隷になってしまったのは、くそったれの勇者のせいだよ」

「勇者!? そんなものまでいるのか」

 ガチでゲームとかラノベの世界じゃん。俺はセオリー通りにパチンとほっぺたを叩いた。うん、痛い。こいつは夢じゃねぇ!つまり俺は、伝説の現象「異世界転生」って奴を果たしたのか!?

 死んだ爆乳エルフちゃんの体で、この世界に生を受けた。そんなところでしょうか。

 普通は信じられんだろう。だが四十歳オーバーにして、未だ現役の中二病患者の俺は、全力でこの状況を信じる事にした。

「うん。勇者はね、異世界から召喚されたらしいんだけど、チートスキルとかいうバカみたいに理不尽な力で魔王を倒したんだ。勇者には五人の仲間がいて、僕とお姉ちゃんも、勇者のパーティメンバーだったんだよ」

「へぇ。俺、じゃなくて私とラティム、勇者の仲間だったんだ。それがどうしてこんな事に?」

「うん。勇者はね、僕の事を女の子だと勘違いしてたみたいで......。パーティメンバーでハーレムを作るのが、彼の理想だったんだって。だから僕が男だって気づいて、凄く怒ったんだ。この、裏切り者! よくも騙したな、とかいってさ。僕は、騙したつもりなんてないのにさ」

 ラティムはムスっとした顔で、口を尖らせる。そんな仕草も可愛い。いやこれ、誰でも女の子だと思っちゃうよ。だってすっげー可愛いもん。なんなら俺も好きになっちゃいそうだよ。

「そっか。ひどいやつだね勇者って。もしかして、それで私たちを奴隷として売り飛ばした、とか?」

「うん。その通りだよ。僕を庇ったお姉ちゃんまで......。僕はアイツを許せない。いくら魔王を倒した英雄だからって、なんでもして良い訳じゃない。もしもここを出られたら、復讐したい。そう思ってた。でも、きっと僕たちの事なんて、誰も買ってくれないよね。それに奴隷買いに来る人なんて、きっと極悪人ばかりだし......」

 ラティムは深い溜息をつき、うな垂れた。

 うーん、これはなんとかしてあげたい。というか、なんとかしないと俺もやばい。

 状況から察するに、奴隷商に殴られ過ぎて、アナスタシアは死んだのだ。きっと体を求められて抵抗したとか、なんらかの反抗的な態度を取ったのだろう。

 という事は、今後もそういった事は起こり得る。そうなる前に、ここを出たい。

 ゲームとかだと、なんかスキルとかあったりするけど......。いや、まてよ。

 俺は異世界転生を果たしたんだ。勇者がチートスキルを持っているなら、俺も持っていたっておかしくはない。

 でもどうやって確認すればいいんだろうか。ラノベとかだと、ステータスオープンとか呟いてるよね。

 目を閉じて念じてみるか。ステータス、ステータス......。

 おお! 見えた!奇跡だ!俺の真っ暗なまぶたの裏に、白い文字でくっきりと、ステータスらしきものが見えた。

 名前 アナスタシア・クーデルカ
 性別 女
 年齢 21歳
 職業 弓術士
 レベル 35
 攻撃力 A
 防御力 C
 回避力 S
 魔法力 F
 幸運力 S
 スキル 
【弓術】【鷹の目】【森渡り】【先制攻撃】
 ユニークスキル
【射撃】

 なんか回避と幸運だけSだな。Sって最高ランクだよね、多分。それと目を惹くのは、ユニークスキルだな。これがチートなスキルなんだろうか。

 でも射撃ってなんだ?

「なぁラティム。私のステータスに、射撃っていうユニークスキルがあるんだけど、何かわかる?」

 俺がそう言うと、ラティムは目を丸くした。

「ええ!? ユニークスキル!?  それ、チートスキルの次に凄いスキルだよ! そんな話、今初めて聞いた。だって、そんなスキル普通は持ってないからね。それこそ、異世界から召喚された勇者でもない限りは。もしかしたら、お姉ちゃんが死にかけた事が関係してるのかも......。とりあえず、めっちゃ凄いスキルだと思うよ」

「そっか......凄いんだ」

 ふむ。凄いのはわかったけど、どうすりゃいいのか......。お、スキル見つめてたら、使い方が伝わってきたぞ。

 ふーん。とにかく物を射出する力が、半端ないらしい。弓矢でも、その辺に転がってる石でも。

 どのくらい凄いのか、見てみたいな。

「何か投げれる物ないかな」

 俺は牢屋の中を見回した。

「投げる物? これなんかどうかな」

 ラティムが俺に、木製の皿を差し出した。

「僕らへの食事が乗ってたんだ。パンが一切れ」

 酷い待遇だなマジで。

「いいね。ちょっと貸してちょうだい」

 俺はラティムから皿を受け取ると、壁に向かって投げた。

 皿は壁に当たると、粉々に砕け散った。それと共に、牢屋の壁も崩壊した。

「えええええ!なんだこれ! すっげぇ!」

 俺は自分でやってて、めちゃくちゃ驚いた。

「お姉ちゃん凄い!これがユニークスキルの力なんだね! これなら勇者もやっつけれるかも!今のうちに逃げようよ!奴隷商人が来る前に!」

「あ、ああ......」

 俺はラティムに手を引かれて、牢屋を出た。牢屋の壁の所が、ちょうど建物の外壁部分だったらしく、いきなり外に出ることが出来た。

「ちょっとまってね。魔法で現在地を調べるから。この街は初めてだから、いまいち把握出来てないんだ」

 どうやらラティムは魔法使いのようだ。頼りになるぜ!可愛いし!

「よし、あっちに行けば宿屋があるよ。そこを拠点にして、勇者の情報を集めよう」

「それはいいけど、奴隷商人が私たちを探すんじゃないかな? この街を出た方が良くない?」

 俺の提案に、ラティムがうーんと唸る。

「いや、奴隷商人は表向きは違う商売をやってるんだ。おおっぴらには僕らを探せないはずだよ。それにもし見つかっても、さっきのお姉ちゃんの力があれば、返り討ちにできるんじゃないかな。今から別の街に行くと、お金も時間も沢山かかるし」

 なるほど......。

「そっか、奴隷商人は裏稼業なんだね。まぁ、そりゃそうか。よし、じゃあラティムの言う通りにするよ。お金はあるの?」

「それなら大丈夫。服の裏地に縫い付けておいたお金があるよ。もしもの為に取っておいたんだ」

 ラティム、おまえ、まじ神。

 こうして俺は、頼れる「男の娘」な弟と共に、勇者への復讐の旅に出る事になったのだった。
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