「アラフォーおっさん、爆乳エルフに転生し、奴隷から成り上がる!射撃チートで異世界無双!」

aki•smiley

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第1章

第2話 勇者の足跡。

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「おお! なんかめっちゃ遠くまで見える!」

 俺は宿屋までの道すがら、景色を眺めて歩いた。街並みはいわゆる中世ヨーロッパ風。排気ガスで汚染され、高いビルの立ち並ぶ近代都市に慣れていた俺には、非常に新鮮だった。空気もうまい。

 スキル「鷹の目」は、遠くまで物を見渡せるスキル。障害物がない限り、どこまでも限りなく見える気がした。

 キョロキョロしながら歩く姿は完全に「おのぼりさん」だ。田舎者の印象を、周囲に与えまくっている事だろう。

「お姉ちゃん、本当に何も覚えてないんだね。とりあえず宿屋に行ったら、少し休んで今後の方針を考えようね。 わからない事は、僕が教えるからね」

「ああ。ありがとうラティム。お前みたいな弟がいて、私は果報者だよ」

 そう言うと、ラティムは顔を赤くした。

「そ、そんなの僕だって! 僕、お姉ちゃんの事、大好きだから! お姉ちゃんの為ならなんだってするよ! だから、だからその......安心してね!」

 しどろもどろになって答えるラティム。か、可愛い!

「ラティムー! お前はなんて可愛いんだ!」

 俺はラティムをギュギュッと抱きしめた。

「うわわ、お姉ちゃん、おっぱいが顔にぃ! 幸せだけど、苦しい」

「あ、ごめん」

 危うく弟を窒息させるところだった。

 それから要所要所でラティムの説明を受けながら、街道を歩く。現在の時刻は朝の七時。時間の計測は、俺の前世と変わらないようだ。時計も存在する。俺たちは所持品を勇者に奪われた為持っていないが、街には時計塔が存在し、それを見る事で確認した。

 アナスタシアとラティムが勇者パーティを追放されたのは、昨日の夕方六時頃。宿屋にチェックインして部屋で休んでいた勇者パーティ。魔王を倒した報告の為、王国に帰還する途中だった。アナスタシアとラティムも部屋で休んでいたが、そこへ勇者が入ってきた。そしてラティムを押し倒したらしい。

「きっと魔王を倒して、いい気になってたんだよ。今なら僕らも勇者にメロメロだって、勘違いしてたんだ。僕とお姉ちゃん以外は、もうあいつの物になってた。最後の詰めとして、僕らを攻略しに来たんだろうね」

 ラティムとそれを庇うアナスタシアは、必死に抵抗した。やがてラティムが男だと判明し、激昂する勇者。怒りに任せて二人をパーティから追放し、奴隷商人に売り渡した。価格は百万レンだったそうだ。レンという通貨の価値がわからないけど、なかなかの高額らしい。

 二人を手に入れた奴隷商人は、まずラティムを犯そうとした。アナスタシアは身を呈して彼を庇い、標的を変えた奴隷商人に抵抗して激しく殴られた。武器を奪われたアナスタシアは反撃の手立てがなく、ラティムも杖がない為、簡素な魔法しか使えない。やがてアナスタシアはぐったりとし、奴隷商人は気が済んだのか去っていったそうだ。ラティムは簡素ながらも魔法を使い、アナスタシアの外傷を治癒した。だが、彼女は目を覚まさなかった。

 夜が明け、冷たくなったアナスタシアの体を抱きしめながら、ラティムは彼女が目を覚ますのを待ち続けた。そこへ俺の魂が入り込み、復活を果たしたと言う訳だ。

 亡くなってしまったアナスタシアに代わり、ラティムは俺が守ってみせる。アナスタシア......どうか、天国で見守っていてくれ。

「着いたよ。お姉ちゃん」

 物思いにふけっているうちに、宿屋に到着したようだ。チェックインを済ませ、部屋を一つ取る。内装は簡素だが、必要な物は揃っているようだ。クローゼットに、化粧台。ベッドは一つ。食事用の円卓と、付属の椅子が二脚。

 俺は自分アナスタシアの顔をまだ知らない。化粧台に備えられた鏡を覗き込む。

 おお......! なんて美しいんだ。金髪碧眼。切れ長の目に、すぅっと長く伸びた鼻梁。ぽってりと厚みのある、セクシーな唇。俗っぽい言い方かも知れないが、まるでハリウッド女優だ。

「どうしたの、お姉ちゃん」

 しばらく自分に見惚れていると、ラティムが心配そうに声をかけてきた。

「いや、なんでもない。 自分の顔すら忘れてしまってたんでね。確認してたんだ」

「ええ!? そうなんだ......。大変だね、記憶喪失って。お姉ちゃんがこんな風になったのも、勇者のせいだ。次会ったら殺す」

 可愛い見た目に似合わない、過激な発言をするラティム。

「あいつをぶち殺す為にも、まずは行方を追わなきゃ。その為には情報収集だね。あ、立ち話もなんだから、そこのベッドに腰掛けて話そうよ」

 ラティムが指差す先。ふかふかのベッドは、とても寝心地が良さそうだ。

 前世ではろくに睡眠も取れなかったなぁ。だけど今は、あり得ないほど頭がスッキリ冴え渡っている。今は寝る必要はないが、前世からの習性で、ベッドを見ると倒れこみたくなる。

「うわぁ、気持ちいい......」

 やっべぇ。ベッド最高。まじ至福。

「ちょっとお姉ちゃん、寝ないでよ。 牢屋に閉じ込められてたから、気持ちは分かるけどさ。じゃあそのままでいいから、話を聞いて」

「ふぁーい」

 俺は仰向けになって両手足を伸ばす。ラティムはベッドに腰掛け、俺を見下ろした。

「まずは冒険者ギルドに行こうと思う。あそこには街の情報が集まるからね。必要なら依頼も出来るし。酒場も併設されているから、勇者が立ち寄った可能性も高い。あのクソ野郎は、女の子をはべらせてお酒を飲むのが大好きだからね」

「冒険者ギルド!? それもあるんだ! おおー! 行ってみたい!」

 本当にファンタジーの世界だ! 憧れの冒険者ギルド! 俺は期待に胸を膨らませた。

「それじゃあ、すぐに出発しよう。奴の足取りを追えなくなる前にね」

 ラティムの先導で、俺たちは冒険者ギルドにやって来た。たくさんの人々が出入りしている。

 緊張しながら中へ入る。正面奥にカウンターがあり、三名の受付さんがいる。どの列も結構人が並んでいるようだ。

 右手側の壁には、沢山張り紙がしてある。左手側の壁には扉があり、時々奥から笑い声が聞こえる。きっと酒場があるのだろう。

「お客様、本日はどういったご用件でしょうか?」

 キョロキョロしていると、一人の女性が声をかけて来た。口ぶりや服装から察するに、このギルドの職員だろう。

「勇者様の足跡を追っています。僕たちは共に旅をしていた者なのですが、はぐれてしまって」

 おお、ラティム! うまい口実だ!

「勇者様でしたら、昨晩酒場で豪遊されていったようですよ。あの飲みっぷりですと、どこかの宿屋に泊まられたんではないでしょうか。おそらく、まだこの町に滞在しておられるかと」

 俺とラティムは顔を見合わせた。よし、今なら寝込みを襲えるかも知れない。ラティムが言うように殺す事はためらわれるが、ちょいと懲らしめてやるくらいはしても良いだろう。

 勇者が奴隷として売った事で、結果的にアナスタシアは命を落とした。つまりは殺人幇助の罪に問えるんじゃなかろうか。

「どこの宿屋に止まっているか、わかりますか?」

 ラティムばかりに喋らせては申し訳ない。俺もようやく会話に入る。

「いえ、そこまでは......ですがこのダーデアルトの町には、宿屋が三軒しかありません。『旅人の帽子亭』と『風来坊の靴亭』、それから『眠れる猪亭』ですね。それぞれにあたってみてはいかがですか?」

「旅人の帽子亭」は、先程俺たちがチェックインした宿屋だ。ラティムが魔法で気配を探ったが、勇者らしき存在は確認できなかったらしい。

 となると残りは二軒。

「ありがとうございます、行ってみます」

 俺は職員さんに礼を言って、それからラティムを見る。

「どっちに行こうか?」

 俺が尋ねると、ラティムは目を閉じた。魔法の地図を確認しているのだろう。

「ここからだと、『風来坊の靴亭』が近いね。そっちから攻めてみよう」

「わかった」

 俺はラティムに同意を示し、出口に向かって歩き始めた。

「ちょっと待ちな!」

 そう言って呼び止めて来たのは、大柄な戦士風の男だ。

「おー、やっぱりお前らだ。 たった今、依頼を受けたところでな。ほら、これを見な」

 男はそう言って、絵の書かれた紙を俺たちに見せた。確かにその似顔絵は、俺たちにそっくりだった。髪にはこう書かれていた。

「この二人は、私が保有する商店の壁を破壊した者達です。自警団に引き渡すつもりはなく、自分で罰を与えたいと考えています。彼女達を捕らえた冒険者の方々に、報酬として五十万レンを支払います。なるべく無傷での確保をお願い致します」

 うわ......。間違いない、奴隷商人からの依頼だ。もちろん肩書きは偽装しているだろうけど......。

「へへ、顔色が変わったな、エルフの姉ちゃん。引き渡しちまうには、ちぃと惜しいくらいの美人だが、五十万といや大金だ。悪く思うなよ」

 そう言ってニヤリと笑う男。いつの間にやら背後と左右に一人ずつ。正面の男を加えて全部で四人に囲まれていた。

 まずいな。ラティムは杖がないと攻撃魔法は使えないと言っていたし......。俺も弓術士なのに弓矢もなければ、投げる物も持ち合わせていない。

 先に武器屋に寄るべきだった。さて、どうしようか......。

 思案を巡らす俺の脳内に、突如「ピンポーン」と言うチャイムのような音が響いた。

「これより、チュートリアルを開始します。射撃のスキルを使い、襲いかかってくる冒険者を撃退して下さい」

 え? 何これ。誰の声!? 戸惑う俺に、容赦なく冒険者たちは襲いかかって来た。

 くそっ! よくわからんが、やるしかねぇぜ!俺はとりあえず、テレビで見たボクシングのファイティングポーズを取り、奴らの攻撃に備えた。

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