おっさん賢者の、ハーレム居酒屋繁忙記!

aki•smiley

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プロローグ

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「なんだ、この痛みは! これはゲームではないのか!?」

 右腕から流れる鮮血に、俺は青ざめた。ここはダンジョンの中。まだ序盤であるの3階層の通路。一本道の途中だ。

 地下であるにもかかわらず、松明は必要ない。壁自体が発光し、周囲を照らしているからだ。

 その明かりが照らし出す、鎧を身にまとった骸骨の姿。アーマースケルトンと呼ばれるモンスターだ。奴が振るった長剣に、ちょいと右腕がかすってしまった。

「まだゲーム感覚で戦ってるんですか、賢者様!  雑魚だと思って油断するからですよ! 前衛は私が務めますから、後ろに下がってください!」

 そう叫んで、アーマースケルトンに蹴りを浴びせる美女。彼女の名は、セラ・アールアース。武術家であり、公爵令嬢。婚約破棄された挙句修道院送りにされ、脱走して冒険者になるという、稀有な経歴を持つ。

 俺はセラの言葉に従って後方に下がりつつ、「治癒ヒーリング」の魔法で腕の傷を癒す。傷が消えると同時に、痛みも引いた。

 セラは「ゲーム感覚で」と言うが、それは仕方ない。だって俺は、ゲームをしているんだから。

 一般公開すらされていない謎のVRゲーム「シャングリラ・オンライン」。それを今、プレイしている筈なんだけど......。

 目の前で繰り広げられる光景は、ほぼ現実。CGのクオリティって、ここまで進化したのか!? と、最初は思ってたけど、どうもおかしい。匂いや味、音、触覚まである。

 傷を受ければ痛みも感じる。ゲームの概念を超えた、もう一つの現実と言っても過言では無い。

 三十代後半にして、未だにフリーターの俺。居酒屋でバイトの昼夜逆転生活で、気の許せる友人もいない。もはや生き甲斐すら感じず、起きて仕事して、寝る。それだけの生活。

 ゲームか現実かは未だに理解出来ていない。だけど、俺は生まれて初めて充実感を感じていた。

「賢者様! 魔法まだですか!」

 セラの声には、やや焦りの色が感じられた。アーマーナイトは増援により数を増し、セラはその対処に追われていた。そうだ、今は戦いの最中。そして俺には、戦う力がある!

「無言詠唱は完了した! 下がれセラ! 雷円ライトニング・サークル!」

 俺が指さす先は、アーマーナイトの群れ。雷円ライトニング・サークルの標的となった彼らの周囲を、輝く円が取り囲む。

 次の瞬間。激しい雷撃が、アーマースケルトンたちの全身を駆け抜けた。弾けるような音だけを残し、彼らは消滅した。

「さすが賢者様! お見事です!」

 感激したように俺を振り返り、駆け寄ってくるセラ。

「先程は言い過ぎました。申し訳ありません。賢者様がいつになく取り乱しておられるようでしたので、不安になってしまって......」

 しゅんと俯くセラ。美しい顔に、後悔の念が見える。

「いや、良いのだ。普段受けぬ傷を受けてしまったものでな。思わず声を荒げてしまった。不安にさせて、すまなかった」

 俺は謝罪の意を示す為、目を閉じて少し頭を下げた。

「いえいえ、そんな、滅相もないです! このダンジョン探索にお供を願い出たのは、私の方なんですから。さぁ、進みましょう。かの偉大なる大賢者『ファーナス・ラー』様がいれば、百人力です!」

 セラは歯を見せて快活に微笑み、再び前を向いてダンジョンを進み始めた。結い上げられた金色の髪が、彼女の軽快な足取りに合わせて揺れる。

 こんな美女と共に行動出来ることに喜びを感じながら、俺はこうなった経緯に思考を巡らせた。
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