犯人が分かりません。

月島

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第1話 快楽&人情&カースト

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第0章 切断。2019.8.17.5.23 新横浜大学

「おお…」
神奈川県警捜査一課、添田警部は失望した。
「被害者は西木正太22歳大学4年生、死因は銃弾を頭に受けての即死。両親は西木が生まれて間もない頃に離婚。高校を卒業した同時期に母親が自殺、国の奨学金を受けてここの大学に通っていたそうです。」
キャリア新人の稲城が簡単に報告する。
「防犯カメラの映像は?」
「深夜なので不鮮明ですが、髪の長い人物がカラフルな銃のようなものを所持していたことが分かっています。」
「また3Dプリンター銃だな」
「はぁ…なぜ西木が」
「あぁ。これで4件目だ…」
「稲城、ちょっといいか?」
「はい。」
添田に誘導され稲城は仮設本部へと戻った。

第1章 確証。2019.8.3.20:50 横浜公園

横浜公園では大規模な祭りが開かれており、何百もの屋台が並んでいる。その中に祭りの参加者とは思えない格好と息遣いで誰かを探す男がいた。
「ゆみこ?はぁ…はぁ… さっきは悪かった、俺が言いすぎた、だから…で…でてきてくれ」
その男=立花祐介は婚約者の南ゆみこ と喧嘩を起こしたらしく、拳に血が付いている。
「…あっ…あふ」
立花祐介が声がした方向を振り返る。
「ゆみこ!!」
「…あ…あ…」
「ゆみこ!しっかりしてくれ!」
「…あっ…らめ…」
事切れたゆみこの目から、赤色に染まった涙が流れ出た。
やがて目を逸らした先にネイルガンが放置されていた。
そして祐介は南ゆみこの全身をみて戦慄した。
祭り火に照らされた銀色の身体。それは、身体中にネイルガンで打ち込まれた無数の釘が皮肉にも全反射した結果だった。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
最後に祐介は南ゆみこの左手の小指が切断されていたことを知って意識を失った。

やがて惨状に気づいた周りの人々が阿鼻叫喚し、現場に添田たちが到着した。
「稲城…!」
「ええ。もう確定で関連づけて良いでしょう。」
「深山は?」
「みていません。」
「…え?」
「え?…いやそんなことはないですよね?」
稲城が添田に聞くが反応はない。2人は硬直し、しばらく動けないでいた。
「と、とりあえず連絡します。」
深山=深山ひな とは、添田の後輩であり稲城にとって警察学校時代の先輩なる刑事である。
「深山さんと連絡がつきません。」
「GPSや家の監視カメラを当たれ。なんとしてでも見つけてくれ!」
「分かりました。もしもし、田中さんですか?深山ひな捜査官の位置を割り出して…」
添田は冷静でいられず、怒りと恐怖に支配された中で南ゆみこの死体を見つめていた。
「深山…無事でいてくれ。」

これに至る経緯は、7月5日まで遡る。

第3章 発端。 2019.7.5.13.17

「おはようございます」
「おはよ! どうだった?」
「…答えなくても良いですか?」
「えー!せっかくなんだから教えてよー 結果の良し悪しは関係ないから、ちゃんとやることできたのかそこだけ教えて」
「一応プレゼントは渡せました。でも彼女、あまり嬉しくなさそうで… なぜか泣いていたんです」
「泣いてたの?」
「はい。そのあとごめんねと謝ったんですが、ずっと首を振ってて…」
「それ、嬉し泣きじゃないの?」
「あの後帰ってから考えたんですが、どうもそうは思えなくて… LINEしたんですけど未読でしたし」
「ぶっちゃけ、プレゼントなにあげたの?」
「腕につけるアクセサリーです。彼女が好きな星の飾りが付いていたので、それを嫌うとは…傷付きました」
「いなっちゃん、彼氏が凹んでどうするの?彼女は今ナーバスになってるでしょ?お互いナーバスにならないで 男は強がってでも接してあげなきゃ そのかわり私に甘えていいから!」
「…ありがとうございます、先輩。」
「いいってこと…」
添田班室に放送が入る。
「緊急。横浜市栄木中学校にて暴行事件発生したもよう。被害者搬送中。添田班に出動要請。」
「いなっちゃんいくよ」
「はい。もしもし添田さん、暴行事件です。場所は栄木中学校です。」

いち早く現場に到着していた添田は、現場を見て唸った。生々しい血だまりが残っており、被害者が這いずったか引きずられたであろう血の道ができていた。その道の奥へ奥へ目をやると紙が落ちていた。
「…? ざまあみろ?」
どうやら'ざまあみろ'と書かれていた紙をみたあとで、鑑識が到着した。
「鑑識?出動要請があったのか?」
鑑識の森が答えた。
「あの後被害者死んだらしくてな。」
「…そうか。」
「添田さん」
「きたか。被害者の安否は?」
「どうやら一命をとりとめたらしいです」
「え?」
「添田さーん とりあえず被害者の情報くださいー」
森と稲城の食い違いがあったが今気にする話ではなかった。
「俺もまだ来たばかりだ。まだ話を聞いていない。」
「第一発見者の方はわかりますか?」
「ああ。校長室で保護されてるって聞いたぞ」
「生徒なんですか? とりあえず行ってきます 先輩は?」
「うん行く。」
添田はサイバー班の田中俊に連絡を入れ、被害者が死亡した情報があったか確認する。
「もしもし。添田だ。聞きたいことが…」

それから添田も校長室に向かった。森に疑念を抱きながら。

「失礼します。」
「添田さん…」
稲城は恐る恐る話し出した。
「犯人と思われるのはこの少年、柳葉龍太郎です。」
一旦校長室を出て、稲城と添田は情報を共有した。
「準備倉庫にて、2人に体育の準備を任されたらしく、そこで被害者がモタモタしていたため、近くにあったバスケットボールを投げつけたところ被害者がよろけてサッカーボール入れの角に頭をぶつけ、殺すしかないと思い、殺したそうです。」
「ん?なんで素直に認めてんだ?」
「殺害欲求があったと言っても彼は中学生です。我に返ったのでしょう」
「柳葉は自ら名乗り出たのか?」
「物音を聞いて駆けつけた体育教師によって保護されたらしいです。それで校長室に」
「そうか」
「それと…」
「なんだ?」
「柳葉が言うには、もう一つ殺さなければいけない理由があったそうで」
「なんだそれは?」
「スクールカースト表、というものらしいです。」
「ピラミッドには見えないな、カースト表なのかこれは?」
「先ほど彼らの担任に確認したところ、この表自体はパソコンの授業で使ったもので、生徒全員に配布してあるとのことでした。書き込みに関しては一切知らなかったみたいです。」
「つまり、被害者の生徒はカースト内で低いところにいて、上位であった柳葉が殺したというわけか?」
「それが、この表に書かれた印の意味を含めて黙り込んでいて、聞き出せない状況でして。」
「今クラスメートは?」
「教室で臨時の先生と共に待機させてあるそうです。」
「行くぞ。」
「先輩に声かけてきます」
「ああ。」

静まり返った3年1組の教室では、その時間非番の教師が身を置いていた。圧倒的静。
「失礼します。警察です。先生、ちょっとよろしいでしょうか?」
添田が教師を教室の外に呼び出し、話を進めた。
「三木島といいます。彼らには理科を教えていて。」
「三木島先生ですね。突然のことでしたが、いくつか聞いてもいいですか?」
「…はい。」
添田が三木島と話している最中、稲城は静とした教室に目をやった。
全員が下を向いている。悲しみと言うよりは静。涙ひとつ流れていない。被害者と加害者が同じ教室から出たのだから気持ちは複雑か、と思っていた。
「いなっちゃん 電話バイブなってるよ」
「あ、すみません。」
稲城は電話相手といくつか確認した後で電話を切った。そして、
「被害者、死亡しました。」
と場に告げた。
「そっか…」
「そんな…横島君…」
三木島は落胆し、深山はうつむいた。
添田には不信感しかなかった。まだ誰にも言っていないが、情報の伝えにラグがあったことがどうしても頭から離れなかった。

添田班は署に戻って状況をまとめた。
「まず、被害者は横島健14歳。同校柔道部に所属。死因は首をバットで殴られたことによる頚椎骨折。」
深山が状況を報告しPC上に整理する。
「加害者とされる柳葉龍太郎と横島の関係性ですが、クラスメート以外で関わりがなく、これ以上の考察ができません。」
「柳葉が持っていたスクールカースト表に関しては?」
変わって稲城が報告を始める。
「はい。紙の材質と印刷履歴から、担任が生徒に配ったものだと裏付けが取れています。鑑識に回したところ、確認された指紋の持ち主は担任、柳葉、そしてクラスメートの相川美鈴、長野夏菜子の4人でした。担任の話によると、PC室ではグループワークを必須とするため、柳葉と同じグループだった彼女らの指紋がついたのではないかとのことでした。そのグループは5人構成で、残る2人はそれぞれ三好そら、空島悠人。」
「分かった。他に何かあるか?」
深山が手を挙げる。
「横島の遺体についてですが、左手の小指を複雑骨折していたそうです。」
「小指を?柔道部での怪我か?」
「それが、違うみたいです。その部分で内出血があり、その日できたものでないとおかしいとのことでした。」
「そうか。そうだ、現場にあった紙については?」
「紙?なんのことです?」
「ああ。俺が現場で窓越しに見たものなんだが、その紙には'ざまあみろ'と書かれていたんだが。」
「先輩、鑑識から報告は?」
「うんん、特に上がってない。添田さんそれ本当ですか?」
「ああ。この目で確かに見たんだ。消えたのか?ありえん。深山、もう一度鑑識に取り合ってくれ。」
「はーい。」
添田には疑念が増え続けた。鑑識には被害者死亡と情報が伝わり、現場にあった紙がなくなっている。
「とりあえず今、稲城はスクールカースト表の謎を解いてくれ。」
「わかりました。」
「添田さんは?」
「鑑識と話をしてくる。深山もくるか?」
「はい。いきます。」

鑑識室に向かう途中で添田は、
「飲み物を買いたい。先に行っててくれ。」
と深山を先に行かせた。
自動販売機の前では鑑識の森がいた。
「よう。森。」
「おお、どうなってる?」
「謎が多すぎるんでな…」
「無理すんなよ。じゃ」
「待ってくれ森。現場に鑑識が来たことについてなんだが…」
「どうした?」
「初報では被害者死亡とは言っていなかった。そのあとどこで被害者死亡のことを知ったんだ?」
添田はしばらく森を見つめていたが、森の表情は笑顔から変わることなくまっすぐ添田を見つめていた。やがて、
「病院に付き添った体育教師から学校に、横島が死んだ と電話があったらしい。110番通報の直後だったってのも聞いている。」
「そうだったのか…。ありがとう。」
「疲れてからじゃ遅いぞ しっかり休みとれよ。」
「ありがとな森」
「あ、森さんー 聞きたいことがあるんですけど良いですか?」
「最近の若い奴といったらすごいねぇ」
「いいから森ちゃんと答えろよ」
「はいよ」
添田は一足先に班室へ戻った。

「添田さん」
「ん?ああ、深山か どうした?」
「息子さん、元気にしていますか?」
「最近キャッチボールやれてなくてよ、寂しがってねえかな なんてな」
「今日は早く帰ってあげてください。添田さんは私たちと違って家族がいるんですから。1人じゃないんですから」
「…深山。今、深山には俺たちがいるからな。」
「分かってますって!ね!」
「おお、ありがとな」
添田は幸せだと感じながら、帰り支度を始めた。仲間は、いつまでも大切なんだと再確認しながら。

「そら、柳葉本当にやったらしいな」
静まり返った教室の隅で、1人のクラスメートが三好そらに話しかける。
「そうだね つぎは夏菜子の番よ」
三好は、自分たちとは反対側にいる長野夏菜子に向かって嘲笑うように話し出す。
「ねえ、あれって事故らしいよ ほら、頭をボールカゴの角にぶつけたっての聞こえたし」
長野は何かを実施に弁明する様子で話す。
「結果死んであいつ捕まったじゃん?」
「確かにそうだけど…」
「夏菜子、いいの?あの事バラすよ?柳葉と…」
三好が言いかけたところで
「うるさい!もうやめて。」
と長野がとめる。
(???1)「っはっはっはっ…」
「きっもいなーw」
三好は雑がらみをしようとしたが、その瞬間殴られた。
(???2)「おっと、言葉遣いには気をつけようね?」
「ごめんなさい。」
(???1)「っはっはっはっ…」

「鑑識にきいたんですが、'ざまあみろ'と書かれた紙はなかったそうです。紙が置いてあったであろう場所には柳葉が投げつけたバスケットボールがあったそうです。」
深山は添田に事実を伝えた。添田の疑念は一つ消えたが重さ的には2つに等しかった。
「そういえば、バスケットボールは…」
「添田さん?」
「なんでもない。」
「不思議ですよね。柔道部の子がバスケットボールを投げつけられただけでよろけて頭ぶつけるって… 地面が滑っていたんですかね? よほどのことがない限り…」
それを聞いた添田は、この事件が殺人事件でしかないのではないかと思考ロックしてしまいそうだった。
「それと、私の分析によるんですが…」
深山が話す。
「遺体の小指が複雑骨折していたことについてですが、柳葉がやったものではないそうです。小指には触れていないし、バスケットボールを投げ、その後バットで首を殴っただけだ、と。」
「うん…そうか。」
死んだ横山と加害者の柳葉。遺体が物語る真実と私が見たあとの現場が物語る真実が違う。添田は頭を悩ませ、結局この日解決することはなかった。

第4章 不穏 2019.7.9.00

「起立ー 礼。着席ー」
事件から何日か経って、3年1組では授業が再開された。担任の福田みつきは話しかけた。
「つい前にあんなことがあったけど、事故であると確定したそうです。明日死ぬのはあなたかもしれません。身の危険を常に感じて行動するようにしてください。今日の総合では'カースト'というものを学びます。」
「はっ!」
クラスメートの坂上萌は驚いた様子で立ち上がった。
「どうしたの?萌?」
三好は坂上に話しかけた。
「あ、いや…なんでもないです。」
「落ち着きなさい。」
教室のドアが開いて入ってきたのは、横島の病院に付き添った体育教師、松田翔だった。
「先生すみませんね。ちょっと…」
福田は松田に呼び出された教室の外に出た。
「あの日更衣室に忘れ物があったそうで… 私も今授業があるのですが、これだけは。」
松田から手渡されたものは、誰のか分からない血まみれの体育着だった。
「ひっ!!」
「警察に届けるべきですかね?」
「こ、これは横島君のですか?」
「いいえ。横島君は体操着を着たまま亡くなっていますので、まず違うでしょう。あの日体育の授業があったのはこのクラスだけですから、ここの生徒の誰かのものだとは思うのですが。」
「もちろんあの日授業をしてませんよね?」
「はい。事件があってすぐに職員室に連絡して、教室に待機させてますから。三木島先生に確認してください。」
「分かりました。とりあえず警察に。」
福田は終始動悸が止まらず震えていた。しかし冷静になってから考え直すと不思議でしょうがなかった。

福田らが話していた最中、教室では先ほど驚いていた坂上に、クラス中から視線が集まっていた。
「萌、だめだよ驚いちゃ」
坂上と幼馴染の弥生あず は坂上をなだめる。
「だって、いつバレるか分からないじゃん!」
「なぁ、そもそも発端は柳葉だろ?これ以上俺らが何もしなければあれはあれで片付く。みんな余計なことするなよ?」
クラスのリーダー的存在の空島は全員に呼びかけた。
「社会的な死と、物理的な死。横島は社会的な死を柳葉に。柳葉は物理的な死を横島にしたのね。上手くハマってしまったんだわ。」
もう1人のリーダー的存在である筧加奈が発言した。これを聞いたクラスメート全員は静まり返った。
「ねぇ、やめようよ。先生すぐそこにいるんだよ」
囁くように誰かが言ったのを最後に教室は圧倒的静に包まれた。

第1話 終わり
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