魔王城の飯がマズすぎて家出したら友達ができた! ~最強魔王と美少女たちのわいわい人間界美食日記~

元音

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第1話 ピーマンなんか嫌いだから

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魔王は二時間以上食卓の前だった。メイドのユーズが見張っているからだ。本を読んでいる彼女の隙を見て食卓から離れようとしたら。

「ユリア様。ピーマンを食べなければ行かせません。」

と叱られた。

「ピーマンは嫌だもん!」

魔王は抵抗してみたが、ユーズに睨まれ大人しく座った。

「もうすぐ人間界学の授業だよ。」
「そうですね。」
「人間界学って重要だよ。帝王学の中で一番重要かも。そこからいつも敵が来るからちゃんと勉強しないと。」

魔王は学びの重要性を強調するように人間界学の教科書をみせた。でも、ユーズは目をくれなかった。

「立派な志です。ユリア様。」
「もう、急がないとだから!」
「じゃ、急いでピーマンを食べたらいいですね。」
「いちごケーキなら食べるけど。」

ユーズは首を上げて魔王を見た。

「それは人間界の食べ物です。魔族には毒となります。」
「でもおいしそうじゃん。魔界の食べ物ってまずいのしかないんだから。」
「竜の目玉焼きとかはおいしいですね。」
「まずっ。」
「泥みそスープはいかがでしょうか。」
「嫌。」
「敵のものを上にし、自国のものをしたにするのは帝王がすることではありません。ユリア様は魔王の身であることを忘れないでください。」
「うざい。」

頬っぺたを膨らませる彼女にユーズは心配そうに言った。

「ユリア様、いつかおっしゃいましたね。自分も大きな角を持ちたいって。苦いものを食べないと角は伸びませんよ。」
「ユーズはピーマンよく食べる?」

ユーズは黒くてストレートな美しい角の持ち主だった。魔王はいつも彼女の角を羨ましそうに見つめたりほめたりした。ユーズは自慢するように角をさすりながら答えた。

「ええ。もちろんです。」
「じゃ、食べない。」
「どうしてですか?ピーマンをたべたらこんなに綺麗に角が伸びますよ。」
「角だけ綺麗なおばさんにはなりたくないから。」

一瞬、ユーズの手が止まった。彼女はにっこり笑いながらゆっくり立ち上がった。そして魔王に近づきピーマンたっぷりの皿を持ち上げた。

「すみません。今から片づけをします。」
「いよいよ諦めたんだね?ピーマンなんか食べたくないっていつも言ってるのに。ユーズってしつこいんだから。」

魔王は今度こそ食卓から離れようとした。そんな魔王にユーズは囁いた。

「好き嫌いはダメです。」

そして魔王の口を開け、ピーマンをその中に注ぎ込んだ。魔王は吐こうとしたが、それより早くユーズが魔力で魔王の口を封鎖した。

「う、うぇぇ…」

ピーマンを飲み込んだ魔王は死にそうな顔で吐き気をした。

「心配いりません。苦味は角を伸びるだけでおばさんにはしませんから。」

ユーズは食卓の皿を重ねた。彼女は重なったものを持って魔王に言った。

「好き嫌いしないのも帝王学の一部です。全部ユリア様のためだということはご存じですね。」

魔王は答えなかった。

「今日からは毎食ピーマンを出します。食卓マナーを学ばないと魔王の権威が立ちません。」

それだけ伝えてユリアは食堂を出た。
魔王はもう帝王学なんて辞めたかった。王というのに遊びもできず、おいしいものも食べられずいう通りにしかできないから。彼女は拳に怒りを込めて食卓をうった。そうすると食卓から人間界学の教科書が落ちて頭にぶつかった。

「もう!」

魔王は頭をさすりながら教科書が落ちた方向を睨んだ。教科書は開かれていた。人間界食文化について説明されているページだった。いちごケーキが見えた。彼女は思った。
そんなにおいしそうな物が毒であるわけないと。
ランチは朝飯同様ピーマンであるはずだった。魔王はもうあきた。おいしいものを食べたかった。もうピーマンなんか食うのは死ぬより嫌だった。

「人間界にいこう。」

当日彼女はなんの授業にもいかなかった。
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