恋人に浮気された腹いせに男娼を買ったら人生狂った。(完全版)

まりあ

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第一部。オリム、恋人に浮気された腹いせに男娼を買う(後編)

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報告によると、クロノスの出向いた討伐は、最初は数体の魔物だった。



しかし実際の現場についた時には魔物が鬼湧きして、ドラゴンまで来ていたらしい。



少人数での討伐に、王子もわがままを言ってついて来ていた。当時から王子はクロノスを追いかけ回していたからだ。

完全に状況を間違えて、軽装備で突っ込んでしまった王子をドラゴンの爪から守ったのは、当時の騎士団エース、クロノスだった。





魔物がとにかく沸いていて、殲滅を優先させないと、こちらが全滅するために、

クロノスへのヒールが遅れた。

先に城に戻る選択肢を取らずに、クロノスは前線に留まった。責任感故だろう。

実際クロノスが留まっていたから、死者は出なかったけれど、彼が先に帰ってしまったら、どうなっていたかわからないような状況だったらしい。魔物の数を考えるに、討伐も無理だった可能性は高い。



現場にいた魔術師たちは、空になるまで魔力を使いきり、

他所でも魔物が沸いていたために、応援どころか、他の魔術師たちもすべて出払っていて、

クロノスにまともにヒールがかけられたのは、城に戻って、さらに数日がたってかららしい。

普通の傷ではなく、上位の魔物につけられた傷は禍々しく存在を主張する。



その結果、少人数のまま討伐は出来たけど、

クロノスは顔に大きな傷を残すことになった。



片眼になったのは、騎士としては致命的で、

オリムが城に帰ってきた時にはクロノスはすでに引退したあとだった。



オリムはクロノスと一緒に仕事をしたこともなく、接する機会は少なかったが、あまりいいイメージはなかった。

 

オリムと同じ年なのに、

剣の才能があり、家柄もよく、顔がいい。すべての女の視線を全部持っていってしまうクロノス。

そこそこちやほやされているオリムでさえ、

クロノスが来ると、見向きもされなくなり

放っておかれた。



つまりは嫉妬だった。



顔に傷が出来たときいて、多少気の毒に思ったが、

いままで散々イケメンの恩恵を享受してきたんだからと思えば、たいした同情もなかった。

騎士なんか続けなくても、彼はお貴族様の長男で、ナイトレイ伯爵家の爵位や領地を継ぐ。将来は安泰だ。

自分の力でなんとかしなきゃ生きられない自分とは違う。



また功労者として退職金もたくさん出たらしい。

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