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第二部。過去の回想。浮気の代償(ヴァイオレット)
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「オリムは顔もいいし、優しくて、金も稼ぐし、将来有望。
めちゃくちゃ好き!もちろん愛してるさ。
……不満はセックスだけなんだよ。」
昨日恋人に抱かれたその寝室で、
性欲処理のために関係をもったライネルに、
オレは悩みを吐露した。
ライネルは同じ騎士仲間で、いつも親身に話を聞いてくれていた。
もっとも、それが下心からだということくらい、わかっている。
みんなそうだ。
「セックス中だけは、心を無にして耐えてる」
オレはバリタチだ。
誰かに組み敷かれるなんて、考えただけでもゾッとする。
でも恋人もタチだった。
恋人の名前はオリム。
最愛のオレのリィ。
高給取りで、現宮廷魔術師長で、将来有望。
綺麗で真っ直ぐでお人好し、強くて優しくて、どこか抜けてる。
そして、孤独だった。
子どものころ夜の森で出会った時からずっと好きだと思っていたけど、
完全にオレがリィに堕ちたのは、数年前の戦争だ。
クロノスみたいに薄っぺらな理由で盲目的に好きになったわけじゃない。
オレには魔術の才能があり、
出会ってからずっと、こっそりリィをつけ回していた。
当時の魔術師長はリィの友人だった。
戦争でその友人が命を落としたとき、
リィは一人でひっそり泣いた。子どもみたいに。
それまでは強い人だと思っていた。
だけど、初めて知った。リィは脆い。
その涙が、ひどく綺麗だった。
生まれて初めて誰かの泣き顔に劣情を感じた。
それが、オレの引き返せない恋の始まり。
そして、その戦争の勝利の立役者だったリィが、
最年少で魔術師長に選ばれた時、
「平民出身のくせに」とか
「前魔術師長が亡くなったおかげで出世できて喜んでいるんだ」と、
はじめは口さがなく陰口を叩かれていた。
前魔術師長を見殺しにしたんじゃないかという根も葉もない噂まで流れた。
国を救った英雄にかける言葉じゃない。
それでもリィは、何も言い返さなかった。
ただ静かに、与えられた義務を果たし続けた。
平民だったから魔術師長になっていなかっただけで、
もともとの実力は前魔術師長より上だった。
それを、リィは結果で証明してみせた。
リィは平民で、幼い頃、親に売られて宮廷魔術師をしている。
そしてもうとっくに、自分で自分を買い戻しているのに仕事を続けている。
……理由はひとつ。
公爵家の令息と言っても、オレは次男だった。
学園卒業後は、女に貢がせて遊んで生きようと決めていた。
けれど、リィを見て考えを改めた。
当時軽くストーカーだったオレは、リィの初恋の相手を知る。
「……それがオレの一番大切な記憶なんだ。
あの子の紫の瞳は、今でもたまに思い出す。
夜明けみたいな色だった。
間接的にでもあの子の日常を守れているんだと思えるから、仕事も頑張れるよ」
リィが友人の前でこぼした本音。
オレはそれが誰のことか、すぐにわかった。
だってオレだって、あの時その場にいたんだから。
何でオレじゃないの?みんなはオレを選んでくれただろ。
あいつはダメだよ、婚約者がいるんだ。
絶対に、リィをクロノスに近づけたらダメだ。
あれがクロノスだってことを、リィに気づかせちゃいけない。
だから、オレは王宮騎士団に就職した。
一生、リィのそばで守るために。
めちゃくちゃ好き!もちろん愛してるさ。
……不満はセックスだけなんだよ。」
昨日恋人に抱かれたその寝室で、
性欲処理のために関係をもったライネルに、
オレは悩みを吐露した。
ライネルは同じ騎士仲間で、いつも親身に話を聞いてくれていた。
もっとも、それが下心からだということくらい、わかっている。
みんなそうだ。
「セックス中だけは、心を無にして耐えてる」
オレはバリタチだ。
誰かに組み敷かれるなんて、考えただけでもゾッとする。
でも恋人もタチだった。
恋人の名前はオリム。
最愛のオレのリィ。
高給取りで、現宮廷魔術師長で、将来有望。
綺麗で真っ直ぐでお人好し、強くて優しくて、どこか抜けてる。
そして、孤独だった。
子どものころ夜の森で出会った時からずっと好きだと思っていたけど、
完全にオレがリィに堕ちたのは、数年前の戦争だ。
クロノスみたいに薄っぺらな理由で盲目的に好きになったわけじゃない。
オレには魔術の才能があり、
出会ってからずっと、こっそりリィをつけ回していた。
当時の魔術師長はリィの友人だった。
戦争でその友人が命を落としたとき、
リィは一人でひっそり泣いた。子どもみたいに。
それまでは強い人だと思っていた。
だけど、初めて知った。リィは脆い。
その涙が、ひどく綺麗だった。
生まれて初めて誰かの泣き顔に劣情を感じた。
それが、オレの引き返せない恋の始まり。
そして、その戦争の勝利の立役者だったリィが、
最年少で魔術師長に選ばれた時、
「平民出身のくせに」とか
「前魔術師長が亡くなったおかげで出世できて喜んでいるんだ」と、
はじめは口さがなく陰口を叩かれていた。
前魔術師長を見殺しにしたんじゃないかという根も葉もない噂まで流れた。
国を救った英雄にかける言葉じゃない。
それでもリィは、何も言い返さなかった。
ただ静かに、与えられた義務を果たし続けた。
平民だったから魔術師長になっていなかっただけで、
もともとの実力は前魔術師長より上だった。
それを、リィは結果で証明してみせた。
リィは平民で、幼い頃、親に売られて宮廷魔術師をしている。
そしてもうとっくに、自分で自分を買い戻しているのに仕事を続けている。
……理由はひとつ。
公爵家の令息と言っても、オレは次男だった。
学園卒業後は、女に貢がせて遊んで生きようと決めていた。
けれど、リィを見て考えを改めた。
当時軽くストーカーだったオレは、リィの初恋の相手を知る。
「……それがオレの一番大切な記憶なんだ。
あの子の紫の瞳は、今でもたまに思い出す。
夜明けみたいな色だった。
間接的にでもあの子の日常を守れているんだと思えるから、仕事も頑張れるよ」
リィが友人の前でこぼした本音。
オレはそれが誰のことか、すぐにわかった。
だってオレだって、あの時その場にいたんだから。
何でオレじゃないの?みんなはオレを選んでくれただろ。
あいつはダメだよ、婚約者がいるんだ。
絶対に、リィをクロノスに近づけたらダメだ。
あれがクロノスだってことを、リィに気づかせちゃいけない。
だから、オレは王宮騎士団に就職した。
一生、リィのそばで守るために。
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