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第二部。あれから一年後。オリム、さらわれる
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※※※
セマに連れて行かれたのは、隣国の城だった。
もしかしなくても、セマの雇い主は、クロノスの元婚約者だろう…。
ここに来るまでの道のりは、かなり治安が悪かったが、城は一変して豪華な造りになっている。
隣国は治安が悪い。王族ばかりが贅沢をしていて、国民は重い税の取り立てに苦しんでいるのだときいたことがある。ここまで馬を走らせてきて、城を見て、それをなんとなく実感した。
到着は夜になっていたので、その日は近くで宿をとり、翌日城を訪ねることにした。
宿屋は1つしか部屋が空いていなくて、セマと同部屋になった。
セマはよく笑うやつで、思ったより気が合った。少し酒が入ったセマは饒舌だった。
オレは酒は飲めない。
「オリムは、どうしてクロノスと婚約したの?伯爵家の長男なんて、やめたほうがいいんじゃない。身分がつりあわないだろ。きっと窮屈だよ。他にもっといいやつがいるんじゃないかなぁ」
オレとクロノスがつりあわないことはわかってる。
だけどオレは受け流せなくて聞き返した。
「もっといいやつって誰?」
「え、わかんないけどさ。
それにクロノスってとびきり綺麗だろ。王女が放っておかないくらいに。
あいつを選ぶんだから
オリムも結局、権力と外見で人を好きになるやつなんだなと思って。
がっかりだよ」
胸の奥がざらりとしながらもオレは否定せず、
「そうかもな」とだけ言った。
誰かにわかってもらいたいわけじゃない。
でも実際オレがクロノスを好きになったのは、権力とか外見じゃない。
好きになった時、クロノスは顔に大きな傷があったし、男娼だと思ってた。
だけど今まで、あんなに必死になって自分からアプローチして追いかけた相手なんていなかった。
気づいた時にはもうどうしようもなく好きになっていた。
それでオレ、クロノスと一緒にいた時、生まれてはじめて孤独が埋まった気がしたんだ。
抵抗するなら、監禁してでも手放したくないとまで思いつめたのは、今となっては笑い話だ。
だけどそれは衝動じゃなく、クロノスだから、だった。
だけど結局、誰よりも幸せにしたかったクロノスを、裏切って、傷つけた。
そして爵位も捨てさせてしまった。
クロノスが本当にただの男娼で、なんにも持ってなかったら良かった。
そしたら何も捨てさせなくて済んだのに。そう何度も思ってた。
でも諦めることでしか守れないと思っていたオレを
クロノスは見捨てなかった。
ありのままのオレを肯定しつづけてくれて、
何度も好きだって伝えてくれた。
オレがどんなに拒んでも、あいつは離れなかった。
釣り合わないと思ってたオレの隣まで降りてきてくれて、
オレの隣は幸せだって、いつだって笑ってくれた。
あいつがそんなに信じてくれるなら、オレも自分を信じてもいいんじゃないかって。
そう思えるようになったのは、つい最近のことだ。
クロノスの傷を消せたことも大きかった。
オレはクロノスに捨てさせるだけじゃない。救うこともできるんだって。
そう思うと胸が熱くなった。
だからって、傷が消えた顔が好きなんじゃない。
醜いと言われてた時から、出会ったときからもうずっと、オレは同じ気持ちだった。
変わったのはあいつの姿じゃない。
オレの覚悟のほうだ。
罪の意識に縛られるだけじゃなくて、ちゃんとあいつの好意に向き合いたい。
贖うためじゃなく、愛するために隣にいたい。
もう、逃げない。
セマに連れて行かれたのは、隣国の城だった。
もしかしなくても、セマの雇い主は、クロノスの元婚約者だろう…。
ここに来るまでの道のりは、かなり治安が悪かったが、城は一変して豪華な造りになっている。
隣国は治安が悪い。王族ばかりが贅沢をしていて、国民は重い税の取り立てに苦しんでいるのだときいたことがある。ここまで馬を走らせてきて、城を見て、それをなんとなく実感した。
到着は夜になっていたので、その日は近くで宿をとり、翌日城を訪ねることにした。
宿屋は1つしか部屋が空いていなくて、セマと同部屋になった。
セマはよく笑うやつで、思ったより気が合った。少し酒が入ったセマは饒舌だった。
オレは酒は飲めない。
「オリムは、どうしてクロノスと婚約したの?伯爵家の長男なんて、やめたほうがいいんじゃない。身分がつりあわないだろ。きっと窮屈だよ。他にもっといいやつがいるんじゃないかなぁ」
オレとクロノスがつりあわないことはわかってる。
だけどオレは受け流せなくて聞き返した。
「もっといいやつって誰?」
「え、わかんないけどさ。
それにクロノスってとびきり綺麗だろ。王女が放っておかないくらいに。
あいつを選ぶんだから
オリムも結局、権力と外見で人を好きになるやつなんだなと思って。
がっかりだよ」
胸の奥がざらりとしながらもオレは否定せず、
「そうかもな」とだけ言った。
誰かにわかってもらいたいわけじゃない。
でも実際オレがクロノスを好きになったのは、権力とか外見じゃない。
好きになった時、クロノスは顔に大きな傷があったし、男娼だと思ってた。
だけど今まで、あんなに必死になって自分からアプローチして追いかけた相手なんていなかった。
気づいた時にはもうどうしようもなく好きになっていた。
それでオレ、クロノスと一緒にいた時、生まれてはじめて孤独が埋まった気がしたんだ。
抵抗するなら、監禁してでも手放したくないとまで思いつめたのは、今となっては笑い話だ。
だけどそれは衝動じゃなく、クロノスだから、だった。
だけど結局、誰よりも幸せにしたかったクロノスを、裏切って、傷つけた。
そして爵位も捨てさせてしまった。
クロノスが本当にただの男娼で、なんにも持ってなかったら良かった。
そしたら何も捨てさせなくて済んだのに。そう何度も思ってた。
でも諦めることでしか守れないと思っていたオレを
クロノスは見捨てなかった。
ありのままのオレを肯定しつづけてくれて、
何度も好きだって伝えてくれた。
オレがどんなに拒んでも、あいつは離れなかった。
釣り合わないと思ってたオレの隣まで降りてきてくれて、
オレの隣は幸せだって、いつだって笑ってくれた。
あいつがそんなに信じてくれるなら、オレも自分を信じてもいいんじゃないかって。
そう思えるようになったのは、つい最近のことだ。
クロノスの傷を消せたことも大きかった。
オレはクロノスに捨てさせるだけじゃない。救うこともできるんだって。
そう思うと胸が熱くなった。
だからって、傷が消えた顔が好きなんじゃない。
醜いと言われてた時から、出会ったときからもうずっと、オレは同じ気持ちだった。
変わったのはあいつの姿じゃない。
オレの覚悟のほうだ。
罪の意識に縛られるだけじゃなくて、ちゃんとあいつの好意に向き合いたい。
贖うためじゃなく、愛するために隣にいたい。
もう、逃げない。
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