恋人に浮気された腹いせに男娼を買ったら人生狂った。(完全版)

まりあ

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第二部。あれから一年後。オリム、さらわれる

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※※※





その後、オレは魔術師のみんなに魔力譲渡をしてもらって、やっと普通に歩けるようになった。

オレは特別魔力量が多いため、それでも通常の1/3も戻ってはいない。
おまけに色んな性質の魔力が混ざり合って、
体内の魔力循環がぐらついている。



正直エスラストまで馬で帰れる体力が残っているかは謎だったが、
気合いでなんとかするしかない。



軍隊は先に帰還して、オレとクロノスとヴァイオレットだけが残った。

オレたちは、オレの馬を取りに宿屋に戻った。

簡単に食事をして、

最後にセマに別れを告げて、

オレたちもすぐに帰るつもりでいた。

明日から仕事が通常勤務だから!







オレが暗殺者と共に隣国へ行ったこと、

必ず月曜の仕事が始まるまでに帰ると言ったことを、

エドはしっかり伝えてくれていた。



ただし、ヴァイオレットはセマを信頼しておらず、でもオレのことは信頼してくれていたから、

月曜日まで待って、帰って来なければ迎えに行こうとクロノスと相談して準備していたらしい。

だけど待つことが、クロノスには厳しかったようだ。

「…こいつ、日曜の夜からずっと落ち着きがなかったよ。
今のリィは酷い顔してるけど、
ここに来るまでのクロノスの顔も必死すぎて見てられなかった」
ヴァイオレットが小声で続けた。

「だから月曜の約束の時間より、ちょっとだけ早く出発した。
あまりにクロノスが心配するから」


横で聞いていたクロノスは、否定も言い訳もなかったが、
オレが見ると、目をそらした。


そしてクロノスが迎えに行くために、
お揃いの指輪のGPS機能でオレの居場所を調べたところ、
オレが隣国の城内から動いていないことがわかった。

王女につかまっているんじゃないかという推測だけの見切り発車で、
城を壊し、軍隊まで出動させたらしい。


ナニソレ、怖…。

普段仲が悪いふりをしながら、いざというときには息がぴったりの二人の美形が恐ろしい。



「ばか。

クロノスなのか、ヴァイオレットか?

よくも、こんな、こんな、こんなことで軍隊まで出させてくれたな。

オレの立場はどうなるんだよ。

ますます肩身が狭くなるんだぞ。

城に帰ったら土下座だ」



震える声でオレが言うと





「まぁ、たしかにクロノスが誘導したふしはある。

だけどオレたちが来てくれって頼んだわけじゃない。

みんな自分の意思で来たんだよ。

集まった奴はみんなリィのことが好きで大切なんだ。来れなかったやつもエスラストの全国民がリィを好きだ。」

ヴァイオレットが言った。



「そう。命懸けで自分達の平穏を護ってくれてるオリムさんのことを、エスラストの国民みんなが愛さないわけがない。」

クロノスも静かに頷く。



「護ってって…

オレはただ、毎日自分の仕事をしてただけだ。」

顔を赤くして、うつむいて、

小さな声でやっとそれだけ言った。



その仕事だって、一回は自分の幸せのために退職しようとしたオレなのに。



クロノスが優しく微笑む。

まるで天使だ。みとれてしまう。

「そうですね。謝罪じゃなくて、お礼は言ったほうがいいと思います。僕も一緒に言ってあげる」



オレは親には売られたけど、こんなにも大勢の人が大切に思ってくれている。

それはオレの心をあたたかいもので満たして、力をくれた。



いまオレ、最強かもしれない。




「クロノス、ヴァイオレット…ありがとう。」

涙を堪えて笑うと

「「可愛い」」と2人が声をハモらせた。



なんだその感想。飼い猫じゃないんだぞ。26歳の(自称)男前が可愛いはずないだろ。

オレは誰にも顔を見られたくなくて、下をむいて腕で顔を隠すと、そっとクロノスがオレの頭を自分の胸に抱き寄せた。

胸元に額がくっつくと、安堵と幸せが押し寄せてくる。

(優しくするなよ、泣くぞ…)


「魔力がほとんど残ってなかったのに、
虎にも『攻撃』じゃなく『助けるほう』を選ぶのが、オリムさんらしいね」

操作系の魔法は他に比べて魔力の消費が多い。あそこは本来なら攻撃魔法を出すべきだった。

「ばかにしてるのか?オレならできると思ったからだ」

そう言いきったものの、
本当は、ちゃんと考えて選んだ。
攻撃系ではなく操作系だったのは、どう考えてもオレの甘さだ。

「ううん、大好き。はやく家に帰ってドロドロに甘やかしたい」耳元にクロノスのイケメンボイスで囁かれて、

赤くなったところでヴァイオレットに引き離された。





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