皇女殿下の山吹の花~最推しは『名も無きモブ』ですが?~

蕪 リタ

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「「申し訳ございませんッ!!」」

 ……面白いですわね。客観的に見ると、とつきますがね。土下座する陛下方をポカンとした顔で見る四人。第二王子おバカにいたっては、顎が外れそうなほどお口が開いてそうですよ。

 陛下方の護衛たちも、警護優先もあるのでしょう。土下座とまでいきませんが膝をついているこの状況。まだ、おバカ方の理解は追い付いていないようですわ。



「ちっ、父上? なぜこ「この愚か者がッ!」

 陛下、この間のお茶会で「もうすぐ50も後半に差し掛かるから、足腰が……」って、王妃様と笑ってらしたのに。ものすごく機敏ですわね。わたくし、別に第二王子おバカの頭を押さえつけてほしいと言った覚えは……ああなるほど。

 陛下からわたくしの後ろに控えているイルザをさっと伺うと、用を済ませて戻ってきていたヨハナの手首を抑えているところでしたわ。わたくしも外交問題にはしたくはないので、陛下が押さえてくれてよかったですわ。陛下はそのままお話しされているようです。噴火前の火山といいますか、地震前の地鳴りといいますか。とにかく怒りが爆発寸前の陛下のお声は、第二王子おバカでも流石に無視できないようですの。

「…………と言ったのにッ! あれほどッ!!」
「ヒッ……ち、父上? な、ななんと?」
「あれほど! 皇女殿下・・・・のお手を煩わせるなと言いつけておったのにッ!!」
「こう、じょ……でんか? 父上? アイツは公女・・であって、皇女殿下で「大馬鹿者ッ!!」



 身体強化魔法でも使ったのかしら? 陛下の怒鳴り声とともに、コロコロと足元に転がってきましたわ。壁のカケラが。もちろん優秀な侍女たちが、わたくしの邪魔にならないところへ避けていますよ。おかげで武器をしまってくれたので、その点ではよかったわ。

 それにしても……おバカそのいちが壁にめり込んでいても、微動だにしない王太子殿下と護衛騎士たち。いろんな意味でスゴいわね。


 めり込んでしまわれた方は目を回していますし、他三名は驚いて尻餅をついていますので……周りに騎士たちも控えているので、邪魔には入らないでしょう。

 薄紅色の帝国紋・・・の入った扇を開き、ゆっくりと口を開いた。

「陛下。よろしいですか?」

 小さな声であっても、頭に怒りが上っていても、しっかりと聞き取っていただけたようで。慌てて振り向き、謝罪を口にされましたわ。

「皇女殿下! 此度は、愚息の非常識な行い、大変たいっっっへん申し訳ございませんッ!」
「陛下。わたくしも……この婚約には、あまり前向きではございませんでしたの。丁度よいのではありませんか? 婚約自体は、双方合意の上で白紙へ。わたくしの我が儘で留学はさせていただきましたので、他の外交条件はそのままでよろしくってよ」
「皇女殿下っ!」

 …………ものすごく拝みそうな勢いでキラキラした瞳を向けてきますが、それとこれとは別のお話もございますのよ? お年を召してからのご子息はさぞお可愛らしかったのでしょうが、矯正できなかった貴方にも……もちろん、責任を感じていらっしゃる王太子殿下にも期待していた分、残念ですわ。



 小さく息をつくと、おバカたち以外はビクッと肩が揺れましたわ。

「しかしですね? わたくし、どうしても理解できないことがありますの」
「なっなんでしょうか?」
「加護の名を持つ者はめずらしいので、『エアデ』とつく隣国の豊穣の地『エアデ国』の者であると勘違い・・・なさるのはわかりますが……そうであったとしても、他国でも『王候貴族』。なぜ、たかが平民・・にありもしないことでわたくしが・・・・・謝罪しなければならないのでしょう? ブルーム国では、平民の方が優位なのでしょうか?」
「そっそんことはッ!」
「愚かな弟は、何を学んでも右から左へ流れていたようで! どうか、ご容赦をッ」
「……貴方に発言を許していませんのよ、王太子殿下?」
「――っ! 申し訳ございませんっ」

 驚きのあまり、王太子殿下まで口を開き出してしまったわ。彼にしては、めずらしいわね。それほど手を焼いていたのでしょう、お可哀想に。平民に謝罪しろなど、階級重視のこの国でまさか王子が・・・口にするとは思わないわよね、普通。

 まあ婚約以外の外交関係は、もともと帝国側に有利なように組んでありますし。わたくしの我が儘での留学も、時期的にはほぼ終わりですし……。せっかくだから、お願い事でも聞いてもらおうかしら?
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