9 / 39
第九話 ドラキュラとトマト祭り②
しおりを挟む
アルバイト九日目(トマト祭りの日)
「さあ、今日がトマト祭りの日だ! 本当にたくさんの人が集まっていて朝からどんちゃん音楽がなり、小さい子から大きなお友達まで陽気に踊っているなぁ」
「えー! それでは皆様お待ちかねのトマト投げを開催します! 参加される方は汚れてもいい服装をきて畑に行ってください」
「お、ついに始まるぞ! 畑へ向かおう!」
〇 〇 〇
「それでは! トマト祭りのメインディッシュ! トマト投げの始まりです。まずはトマト投げ委員会、会長のドラキュラ伯爵からご挨拶があります!」
(え……ここでドラキュラ伯爵が登場するの!? てか普通の老人にしか見えないんですが)
「えー……みなさんこんにちは。はじめまして、わたしがドラキュラ伯爵です。と言っても毎年参加しているので知っている方も多いと思います。このトマト投げは代々200年ドラキュラ族が始まりの挨拶をさせてもらってます。みなさんの一年間の頑張りで今年もトマトがたくさん実りました。私も午前中は町のトマト料理に舌つづみをしながら楽しい歌やダンスを観覧させていただきました」
(なんか話長そうだなあ。校長先生みたい)
「なんか話長そうだなあと思う方もいらっしゃるので、本題に入ります。」
(え、心を読まれてる?)
「トマト投げは土の神、雨の神、そしてトマトの神、『トマガミ』に感謝して来年もまた豊作でありますようにというお祈りも含まれています。ルールは簡単です。畑の至る所ににすこし育ちが悪かったすこしグチュグチュのトマトを数カ所にまとめて置いておきました。これをみなさんがご自由にとって頂いて、お互いにトマトを投げつけ合うのです。投げつける場所はあくまでも足にしてください。頭や上半身なんかを狙ってはいけません。頭に優しく塗りたくるのはOKです。力の限り投げつけていいのは筋肉ムキムキな人へだけにしてください。それではお待たせしました! トマト投げ開始です!」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおお」」」
(うわあ! 早速始まった! みんなトマトをとって投げつけはじめたぞ! まだ始まって五分も立っていないのに、みんな頭から真っ赤だ。でも凄く楽しそう。参加者も見た感じ200人以上はいる。この光景はトマトだからこそいいもので、そうでなければまるで血の池地獄のようだ……)
「ぎゃはははは! このトマトをくらえええええ!」
「負けないぞおおおおトマト塗りたくり攻撃!」
「はっはっは! 今年も豊作だからこそできるこのトマト投げ! 予想以上のトマトを収穫できたから本当に良かった。本当はこんなもったいないことは嫌なのだが、来年の方策を祈願してのことだからここは寛大な心で……あくまでも祭りとして楽しもう」
(ドラキュラ伯爵は楽しそうにトマト投げを観戦しているぞ。これなら癇癪(かんしやく)が起こるとも思えないが……)
「おお、これは、これは町長の息子さん。お元気でしたかな?」
(まさかドラキュラ伯爵から声をかけてくるとは……)
「あ、はい。ドラキュラ伯爵。おかげさまで元気に暮らしています!」
「それはよかった。今回は収穫量が去年の二00%とかなり良かったですぞ。来年も今年同様に実るようにこの祭りを楽しみましょうぞ!」
「もちろんです」
「さあて、そろそろ私も着替えてトマト投げに参加してきますかな。大好きなトマト浴びることができるのは年に一度のぜいたくだからな。人間でいうところの『ビールを浴びるように飲む』といった感じかな」
……なんじゃそりゃ
「ははは、それじゃあ伯爵も交じって楽しんできてくださいね!」
「そうだな。じゃあそういうことで失礼! うおおおおおおお!」
「あ! ドラキュラ伯爵! ちょっと待ってください! 服から書類? 紙が少しはみだしていますよ」
「あ! 本当だ! ありがとう。これを持ってトマト投げに参加してしまってはせっかくの契約書が台無しだ。うっかりしまい忘れていた。助かったよ。この分量だとトマト投げはまだまだ続くから、先にこの書類をしまってくるよ」すたすたすた
(いってしまった……)
ピコーン! クエストクリア!
「なんだ? この機械音……また脳裏に響いてくる」
『あーあーテステス。こちらダリアよ。あなたが無事ドラキュラ伯爵の暴走する未来を止めてくれたから、これでアルバイトはクリアよ』
「あ、ダリアさんの声! そうなんですか?」
『些細なことで解決することもるのよ。』
「ほ、ほう……どういうことなんですか?」
『その質問に答えることは簡単だけど、せっかく早く終わったんだからこっちの世界に戻ってきてからのほうが時間の経過が早くていいわよ。そっちの世界だとあと夜まで過ごさないといけないけれど、天界に戻ってくればあと三十分で定時よ。はじめての仕事で疲れたと思うから早く帰ってきたほうがいいかもね』
「あ、たしかにそうですね。トマト投げを見ていてトマトが嫌いになりそうなので元の世界に戻してもらっていいですか?」
『わかったわ。それでは戻ってらっしゃい!』
ブワン
「さあ、今日がトマト祭りの日だ! 本当にたくさんの人が集まっていて朝からどんちゃん音楽がなり、小さい子から大きなお友達まで陽気に踊っているなぁ」
「えー! それでは皆様お待ちかねのトマト投げを開催します! 参加される方は汚れてもいい服装をきて畑に行ってください」
「お、ついに始まるぞ! 畑へ向かおう!」
〇 〇 〇
「それでは! トマト祭りのメインディッシュ! トマト投げの始まりです。まずはトマト投げ委員会、会長のドラキュラ伯爵からご挨拶があります!」
(え……ここでドラキュラ伯爵が登場するの!? てか普通の老人にしか見えないんですが)
「えー……みなさんこんにちは。はじめまして、わたしがドラキュラ伯爵です。と言っても毎年参加しているので知っている方も多いと思います。このトマト投げは代々200年ドラキュラ族が始まりの挨拶をさせてもらってます。みなさんの一年間の頑張りで今年もトマトがたくさん実りました。私も午前中は町のトマト料理に舌つづみをしながら楽しい歌やダンスを観覧させていただきました」
(なんか話長そうだなあ。校長先生みたい)
「なんか話長そうだなあと思う方もいらっしゃるので、本題に入ります。」
(え、心を読まれてる?)
「トマト投げは土の神、雨の神、そしてトマトの神、『トマガミ』に感謝して来年もまた豊作でありますようにというお祈りも含まれています。ルールは簡単です。畑の至る所ににすこし育ちが悪かったすこしグチュグチュのトマトを数カ所にまとめて置いておきました。これをみなさんがご自由にとって頂いて、お互いにトマトを投げつけ合うのです。投げつける場所はあくまでも足にしてください。頭や上半身なんかを狙ってはいけません。頭に優しく塗りたくるのはOKです。力の限り投げつけていいのは筋肉ムキムキな人へだけにしてください。それではお待たせしました! トマト投げ開始です!」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおお」」」
(うわあ! 早速始まった! みんなトマトをとって投げつけはじめたぞ! まだ始まって五分も立っていないのに、みんな頭から真っ赤だ。でも凄く楽しそう。参加者も見た感じ200人以上はいる。この光景はトマトだからこそいいもので、そうでなければまるで血の池地獄のようだ……)
「ぎゃはははは! このトマトをくらえええええ!」
「負けないぞおおおおトマト塗りたくり攻撃!」
「はっはっは! 今年も豊作だからこそできるこのトマト投げ! 予想以上のトマトを収穫できたから本当に良かった。本当はこんなもったいないことは嫌なのだが、来年の方策を祈願してのことだからここは寛大な心で……あくまでも祭りとして楽しもう」
(ドラキュラ伯爵は楽しそうにトマト投げを観戦しているぞ。これなら癇癪(かんしやく)が起こるとも思えないが……)
「おお、これは、これは町長の息子さん。お元気でしたかな?」
(まさかドラキュラ伯爵から声をかけてくるとは……)
「あ、はい。ドラキュラ伯爵。おかげさまで元気に暮らしています!」
「それはよかった。今回は収穫量が去年の二00%とかなり良かったですぞ。来年も今年同様に実るようにこの祭りを楽しみましょうぞ!」
「もちろんです」
「さあて、そろそろ私も着替えてトマト投げに参加してきますかな。大好きなトマト浴びることができるのは年に一度のぜいたくだからな。人間でいうところの『ビールを浴びるように飲む』といった感じかな」
……なんじゃそりゃ
「ははは、それじゃあ伯爵も交じって楽しんできてくださいね!」
「そうだな。じゃあそういうことで失礼! うおおおおおおお!」
「あ! ドラキュラ伯爵! ちょっと待ってください! 服から書類? 紙が少しはみだしていますよ」
「あ! 本当だ! ありがとう。これを持ってトマト投げに参加してしまってはせっかくの契約書が台無しだ。うっかりしまい忘れていた。助かったよ。この分量だとトマト投げはまだまだ続くから、先にこの書類をしまってくるよ」すたすたすた
(いってしまった……)
ピコーン! クエストクリア!
「なんだ? この機械音……また脳裏に響いてくる」
『あーあーテステス。こちらダリアよ。あなたが無事ドラキュラ伯爵の暴走する未来を止めてくれたから、これでアルバイトはクリアよ』
「あ、ダリアさんの声! そうなんですか?」
『些細なことで解決することもるのよ。』
「ほ、ほう……どういうことなんですか?」
『その質問に答えることは簡単だけど、せっかく早く終わったんだからこっちの世界に戻ってきてからのほうが時間の経過が早くていいわよ。そっちの世界だとあと夜まで過ごさないといけないけれど、天界に戻ってくればあと三十分で定時よ。はじめての仕事で疲れたと思うから早く帰ってきたほうがいいかもね』
「あ、たしかにそうですね。トマト投げを見ていてトマトが嫌いになりそうなので元の世界に戻してもらっていいですか?」
『わかったわ。それでは戻ってらっしゃい!』
ブワン
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる