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第二章『魔法少女を襲撃する者』
Act.03:不穏な噂③
「スターライトキャノン!」
両手で前に大きくステッキを振りかざすと、月やら星やらの模様の入った魔法陣が現れ、一筋の光を放つ。
「……これ何処に星要素あるの?」
「もう名前にスターとかムーンとか、ルナとかステラとかつければ何でも発動しそうね貴女……」
ここは反転世界の俺の家のある地域だ。毎回練習や試したい魔法とかがあるとここにやって来ては滅茶苦茶にしてたりする。
「まあ、レーザーって光だから、星とか月と関係なくは無さそうね」
「確かに」
月の場合は太陽の光を受けて光ってるだけなのだが。
星なら、自ら光を放つ恒星と言う物があるので、関係あるっちゃあるんけどな……星と月関係って言っても大分曖昧過ぎるよなあ。
「攻撃魔法ばっかり増える……」
「手数は多い方が良いからダメとは言わないけど、他の魔法も試してみない? 重力とかは最近あまり使ってないじゃない」
「重力、か」
そう言えばスターシュートとかで終わるから、他の魔法はあまり使ってないな。重力を操れる魔法とか、強いはずなのだが使ってない……いや、使う機会がない。
「グラビティボール!」
そうキーワードを紡ぐとステッキから小さな黒い球体が発射される。速度はそこまで速くない。
そのまま狙った場所へ飛んでいき、障害物にあたるとそこで静止しバチバチと何か放電する。そして周囲にあった物は凹んだり、あらぬ方向に曲がったり等の現象が発生。
「うわあ」
「……」
気づけば球体は消え、残ったのは形が変わってしまったブロックや電灯たちだった。
「これも結構えぐい」
「そうね……」
「でも、思ったより範囲は狭い」
範囲は狭いが、その効果は中々えげつない物だった。
「ブラックホール!」
がしかし、更に上を行くえぐい魔法を俺は使える。それがこのブラックホールだ。本物の大きさではないと思うが、その吸引力は何もかもを飲み込む。
でも、発動させた俺本人は特に何の影響も受けない不思議仕様だが、このブラックホールは設置された場所から一定の範囲にも影響を与える。
近ければ近い程、重力場が乱れこっちに引っ張られてしまうのだ。まあ、ブラックホールだからね、当たり前だ。
これは練習とかしてる内に気付いたのだが、このブラックホールには出口があって、別の魔法にはなるが、それを使えばブラックホールで吸い込んだものを吐き出せる。
「ホワイトホール!」
すると白いブラックホールが出現する。白いブラックホールって何か変だな。取り合えず、ブラックホールの白バージョンなホールだよ。
このブラックとホワイトなホールは同時に存在することができる。存在している間は魔力は消費され続けるが思ったより少ない。
で、今、二つのホールが存在している状態を見て欲しい。
ブラックホールで吸い込まれた物が、形はどうであれホワイトホールから吐き出されている。
要するにこの二つの魔法は対になる存在だ。
ブラックホールは吸い込むが、ホワイトホールはその反対の重力場を発生させる。
「これ面白い」
「相変わらず、規格外ねえ……」
失礼な。
で、何が言いたいのかと言えば、この二つのホールは使えるのではないか。ブラックホールで吸い込んだ物はどういう原理かしばらくの間は残ってる。
何処にしまってるのか知らないけど、PCでいう一時記録メモリ的な? まあ、そんな訳で何処かで予め吸い込んでおいた物をホワイトホールから発射させるって言う事も出来そう。
取り合えず、同時に二つ存在させてると流石に魔力の減りも速いので一旦どちらも閉じることにする。
「これ、魔物も吸い込めるんじゃないの?」
「多分。でも、影響範囲が広い」
この反転世界なら問題ないが、現実世界で使うとなると周囲にある建物やらも影響を絶対受けるだろう。強力ではあるが、そんなほいほいとは使えない。
まだメテオスターフォールの方がマシだと思う。あっちは範囲を狭められるし、狙いを定めればそこに向かって落ちて飛んでいくから。
「そう考えると強すぎる魔法も問題ね」
「うん」
だから、魔物相手に使える重力魔法って限られるんだよな。
魔物の重力を重くして動きを鈍らせたり、或いは自身の身体の重力を軽くすればふわっと飛べるだろう。
後はさっきのグラビティボール……あれは範囲も狭いので魔物にぶつければ、魔物だけが影響を受けるかもしれない。
魔法の種類は多いほど良いとは思うが、強過ぎるのは問題なので程ほどかそこそこっていうのがあれば……曖昧過ぎるか。
その後も重力魔法を主にし、練習や試したりなどするのだった。
□□□□□□□□□□
「やっぱり、来たく無さそうなのね」
「はい。理由は本当に不明ですが……」
私はブルーサファイアこと色川蒼の報告を聞いていた。彼女は茨城地域のBクラスの魔法少女で、ホワイトリリーの後輩にあたる少女だ。
報告の内容と言うのは魔物とか、その形態とかそう言うのだが、それ以外にも一つあった。
それは魔法少女リュネール・エトワールという人物についてだ。野良で活躍をしている、Sクラス以上の力を持つであろう魔法少女。
この前はホワイトリリーを助けてくれた時に使った星を降らす魔法に、今回は何かリボンみたいな物で締め付けて魔物を爆散させていたそうだ。
――何だそれ。
うん、彼女を普通の魔法少女と見るのはやめた方が良さそうだ。
で、そんな魔法ではなく……いえ魔法も大事だけど、今回は違う件だ。別に私たちは彼女を強制的に魔法省へ所属させる気はない。
しかし、この地域の魔法少女たちを少なからず助けてくれてるリュネール・エトワールへお礼をしたかったのだ。
いつも、何も言わずに去ってしまってお礼を言えてない魔法少女が多い。ホワイトリリーは直接言えたようなのだが、何か最近様子がおかしい。
……問題なく魔物を倒してくれてるし、適度に休息も取ってるみたいなので大丈夫だとは思うが、なんて言えば良いのかしら。何かいつもより明るくなった? 笑顔も心なしか増えてる気がする。
良い事ではあるんだろうけど、うーん。
まあそれはさておき。
そんなリュネール・エトワールだが、うちの魔法少女たちを助けてくれている。本人にはそのつもりは無いのかもしれないけど、それでも助けられた少女は多い。
野良ではあるが、魔法少女たちからの好感度は高そうだ。それでも、規格外な魔法を扱うので依然要注意人物となってる。
それでも助けられたのは事実なので、この地域を管理する者として、ちゃんとお礼を言いたのよね。でも、全部断られるのよね……。
頑なに魔法省へ来ることを拒む理由は分からない。もしかすると、魔法省が嫌いなのかもしれない。それなら断り続けてるのも考えられる。
仮にそうだとすると、魔法省と彼女の間で何が起きたのか? って言う事になるんだけど、過去の資料とかを見ても特に関係ありそうな物は無かったのよね。
「魔法省との間で何かあったのかな……」
「分からないわね。過去の資料を見ても特にこれと言った物は無かったし」
抹消されている場合はこれに限らないけど。
「毎回思うけど、蒼ちゃん。喋り方変えるのは大変じゃない?」
「うっ……それはそうなんだけど」
ブルーサファイアこと蒼ちゃんは、ホワイトリリーの影響か、喋り方がちぐはぐしてる。ブルーサファイア時はホワイトリリーのような口調になる。
「ホワイトリリーの影響かしらね……あの子、異様に大人っぽかったし。今は何かあったのか、結構子供っぽい所を見せることが増えた気がするわ」
「あ、それは私も思ってました」
何か良い事でもあったのかしら。
リュネール・エトワールに助けられたとき以降から……リュネール・エトワールとの間に何かあったという所までは何となく分かるけど……。
まあ、本人が楽しそうならそれで良いんだけどね。
私は引き続き、野良の魔法少女であるリュネール・エトワールの事を考えるのだった。
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