TS魔法少女リュネール・エトワール! ~星月の魔法少女は気の赴くままに行動する~

月夜るな

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第三章『真白襲来!?』

Act.08:とある日の前日①

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 クリスマス・イブ。
 クリスマスの前日の日の事を指す。今年もこの日がやって来て、周りはもうクリスマスムードである。外出れば分かるけど、あちこちでイリュミネーションとかが設置されている。

 俺の住むこの地域もまた、同じような感じとなっている。そして人が多く集まる日……明日が多分一番だろうけど、今日もそこそこ多いと思う。それの何が心配なのか?

 知っての通り魔物の事だ。

 人が多い所を好む傾向にある魔物。クリスマス・イブとかクリスマスとかの賑やかになる日は注意しないといけない。

「真白、ちょっと行ってくる」
「うん。気を付けてね」
「ああ」

 真白に見送られ、俺は魔法少女リュネール・エトワールに変身し、外へと抜け出す。真白にはもうバレてるので、堂々と目の前で変身している。
 時間は13時頃。真白と昼食をとって食休みしてからの見回り時間である。クリスマス・イブなので、イベントとかもあって人が多く集まる所を重点的に周る予定だ。

「大分賑やかねー」
「ん。もうクリスマス・イブだから、当たり前」
「魔物が出るのに良くやるわよね」
「むしろ、やらないとどうにかなってしまうのかもしれない。……魔物については魔法少女が駆け付けて基本的には倒してくれるから」

 だからこそ、大きな被害もでていない。東京だってそうだ。守られているという、安心感があるのだろう。でも、戦ってるのはまだ子供な女の子である。果たして……。

 これについてはもう何度も考えてる。どうしようもない……唯一対抗できる力なのだから。でもやっぱり、心配だよな……過去に命を落とした魔法少女だって居る訳だ。
 屋根を使ってぴょんぴょんしながら移動しつつ、周囲を見ていく。イリュミネーションを付けている家庭や、施設等様々である。
 昼なので、明かりは付いていないが、夜になったらこれらもぴかぴかするんだろうな。家にも些細ながらも、簡単なイリュミネーションっぽい物を付けていたりするし。今回は真白も居るからな。

「ん?」
「どうかしたの?」
「ん。あそこ」
「どれどれ……あら」

 俺が向けた方向にラビも視線を向ける。

「こんな所で何してるの?」

 そう、そこには見覚えのある魔法少女……ブルーサファイアが立っていたのである。俺が声をかけると、ハッとなってこちらに気づく。

「リュネール・エトワール……。ひ、久しぶりですね」
「ん」

 言うほど久しぶりか?
 あーでも、ここ最近はあまり会わなかった気がする。それはホワイトリリーにも同じ事が言える。というより、俺は横取りとかはする気がないので、既に駆け付けていて余裕そうであればその場から立ち去るから、会わないも何も無いんだが。
 むしろ今まで頻繁に会ってた方が珍しい気がするぞ……。

「どうかした?」
「えっと、その……」

 何やら顔を赤くしてもじもじする、ブルーサファイア。魔物も居ないのに、何故変身してこんな所に突っ立っていたのか? もしかすると、俺と同じで見回りかもしれないけど。

「この時間なら会えるかなと思って、ここでちょっと待ってました」
「……わたしを?」
「はい」

 確かにこの時間はいつも見回りをするが……あ、因みに俺が見回りする時間ってまずこの時間帯と、他には夜の晩ごはん後の二回。あとは結構気分で回ってたりする。え? どうでも良いって? まあ、そう言わずにな。

「そのですね。クリスマスの日……空いてませんか。時間はいつでも大丈夫なのですが」

 クリスマスの日か。
 そう言えば、真白とのドライブに行く時間とか決めてなかったな。午前中はまあ、大丈夫だろうか? 午後から夜にかけてでも大丈夫かな? むしろ夜のほうがイリュミネーションとか見れそうで良いしな。

「午前中なら少し」

 こちらの返答を何処か不安そうに待っているブルーサファイアに、そう返すとぱあっと顔が明るくなる。

「あの、それなら、一緒に出かけませんか!」
「何処へ?」
「えっと、何処でも」
「……」
「う、そんな顔で見ないで下さい。行き先とかは後で考えれば良いやって思ってたのは事実ですけど」

 バツの悪そうな顔をするブルーサファイアを申し訳ないのだが、ちょっと笑ってしまう。まさかそれだけを言うために待ってたとは……ここを俺が通らなかったらどうしてたんだ。

「あー! ブルーサファイア、狡いですよ!」
「へ?」

 そんなやり取りしてると、またまた聞き覚えのある声が耳に届き、声のした方を向くとそこには今度はホワイトリリーがこちらに向かってきていた。

「ほ、ホワイトリリー……」
「わ、私もリュネール・エトワールとクリスマスに出かけたいのに……」

 何という事でしょう。俺……いや、リュネール・エトワールに好意を持っているであろう二人の魔法少女が居合わせているではないか。

 ……ってふざけてる場合じゃないな。

「(これは修羅場かしら?)」
「(修羅場は結構……)」

 いや本当に修羅場になりかねないかもしれないが、今はまだ大丈夫そうだ。

「あの、リュネール・エトワール……私とも午後に出かけて下さいっ!」
「ん……明日は午前中しか無理」
「そんな……うぅ」

 明らかに落ち込んでるホワイトリリーを見ると罪悪感が……でもなあ、真白との約束もあるし、午後はちょっと分からないんだよな。

「なら、三人で出掛ければ良い」
「「え?」」

 一人ずつが無理ならば、一緒に出かけるのが良いと、俺は思っただけだ。まあ、お互いにとってはライバルという事もあって、ちょっとあれだけど、でも時間が取れないし仕方がない。
 何より、クリスマスに出掛けるというのが大事なんだろうし……まあ、そうだよな、クリスマスと言えば好きな人と一緒に居られるのが一番良いよな。

 まあ、俺はクリぼっちだが……真白とラビが居るので今年は三人だけどな。え? ラビは人じゃないだろって? いやいや、ラビは大事な相棒だから、数に入れてやらないと。

「それは……」
「うーん……」

 ブルーサファイアとホワイトリリーがお互いを見合う。

「嫌なら……後でまた時間をとっても良い」
「それは……クリスマスの日以外って言うことですよね?」
「ん」

 ホワイトリリーの問いかけを俺は肯定する。午後は無理、と言うのはもう変えないので、別の日にという事になるな。

「いえ……今回の所はやめておきます。流石にそこまで図々しくなりたくないですしね……」

 色々と考えたようで、結論が出たみたいだ。別の日なら俺は基本ニートなので時間はある。と言っても、真白も居るから完全にフリーという訳でもないのだが。

「それに、私よりもブルーサファイアの方が先でしたしね。えっと、ブルーサファイア……割り込んでしまってごめんなさい」
「い、いえ……私の方も、ごめんなさい」

 お互い謝った所で、一段落が付いたようで安心する。

「あの、最後に良かったら連絡先とか交換できませんか? あ、嫌であれば大丈夫です」

 そう来たか…んーでも連絡先なあ……俺スマホとか今持ってないんだよな。あるのはこの変身デバイス何だけど、今の状態だとステッキになってるし。

 実はスマホ型デバイスについては、真白にはバレているので登録が0だったアドレス帳には、真白の名前が追加されている。試しに通話してみた感じだと、普通に使えててラビの言った通りだった。

 しかし、どういう原理なんだ? 魔法は良く分からんな……回線も気になるし、まあ、悪くは無さそうだったが。

「(スマホ型になれる?)」

 自分の握っているステッキに声を聞いてみる。いや、何となく意思がありそうだったし分かるかなと思ったんだけど。

「おっと」

 すると、声が届いたのかステッキがぴかりと光って、その形がスマホへと変わっていく。

「え、何が起きたんですか?」
「内緒」

 俺にもわからないので、そこは秘密ということで。本当に姿も変えられるのか……いや本当に魔法って凄いな。でもこれで一応連絡先の交換は出来るかな?
 
 本当は連絡先を増やすつもりはなかったのだが……断るのも気まずいしな……うっかり、元の姿で電話に出ないよう気を付けないとなあ……。








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