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最終章『妖精世界』
Act.12:ラビリア・ド・アルシーヴ・フェリーク③
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「エステリア王国第一王女で、記録者で、全権管理者で、妖精で……何か凄いね」
「あはは……改めて見てみると、確かにこれはあれですね」
休憩を終え、再び隣に座るラビと話し始める。
何というか、肩書が多いなと思いつつ……ティアラを付けていたのは、王女だったからなんだね。というか、王女って事はわたしのこのラビという呼び方はまずいのでは?
「妖精世界はもうありませんし、誰も気にしませんよ。記録者についても、その記録する世界がありませんし……今の私にあるのは妖精書庫の全権管理者だけです」
記録する対象がなくなってしまえば、確かに記録者として記録する事が出来ない。王女についても、その国があった世界自体がなくなってしまってる。
そうなると、もう記録する事が出来ないのではないだろうか? ……いや、正確には滅んだという記録を残す事は出来るか。
「もう記録者としての活動はできない?」
「そうですね……対象となる世界が滅んでしまってますから。ですが今回、妖精世界が元に戻ればまた記録はできます」
それもそうか。
もとに戻せるかどうかは分からないが、戻す事が出来たのなら……確かに記録は続けられる。だけど、記録は続けられるとしても世界には誰も居ない訳だが……。
「例え何があっても記録する。それが記録者の役割です」
「ん……」
ラビのその強い意思を感じれる。
これはもう彼女が決めた事だって言うのは分かったので、わたしが口出すつもりはない。仮にわたしが口出した所で、何も変わらないだろうしね。
それならわたしは、ラビ自体をサポートできれば良いと思う。
「滅んだっていうのも記録したの?」
「はい。魔法実験の事、失敗して世界が三つ隣り合わせになった事等、起きた事は記録してますよ」
「まあ、そうだよね」
記録者とはそういう仕事なのだし。
「ん。大体は理解できた」
「そうですか?」
「ん。あ、そうだ。魔石って言う名前が広がったのは。それもやっぱり?」
「魔石はそうですね。こちらは魔力と同じで、私が魔石の事を話したので、それが原初の魔法少女を通して広がったのだと思います」
魔法関係については、大体は原初の魔法少女から広まってるみたいだし、まあ予想通りではあった。それに、魔石については妖精世界にあった訳だから。
「魔石って、魔物から出るよね? なんで?」
疑問に思うのは、魔石というのが魔物から落ちるという事。
妖精世界に魔物がいて、その魔物が落とすならまだ分かるが、妖精世界には魔物は居ないみたいだし、奴らは別世界の生命体。何故そんな別世界の生命体が、妖精世界にあった魔石を落とすのだろうか。
まあ、魔物については謎が多いしラビですら分かってないのが多いから聞いても意味がないと分かってるけど……。
「以前にも言った通り、魔物については謎が多いのです。何せ妖精世界にも地球にも存在しない生命体ですから、調べようがありません。なので、どうしてそんな魔物が妖精世界にあるはずの魔石を落とすのかは、分かってません」
「だよね。分かってた」
でもやっぱり気になるよな、魔物という生命体。魔力を狙っているというのは分かってるが、魔物の根本的な所は分かってない事が殆どだ。宇宙のように……宇宙だってまだ1%すら解明されてないみたいだし。
ただ、今、対魔物以外にも、魔力の使い道とかが考えられているようなので、もしかすると宇宙の理解に一歩進むかもしれないというのもある。
魔石という物を車とか、飛行機とかに仮に使えるとなれば劇的に環境は変わるだろうし……と言っても、魔石の管理は魔法少女たちと同じで、魔法省に一任されているが。
そして当然だが、魔法少女や魔物優先である。魔石は、魔法少女の魔力を回復させたり魔物相手に有効打を与えられるかもしれないとされてるので、優先順位は圧倒的にそっちの方が高くなる。
「ただ考えられるのは、前にも少し言ったかもしれないですが、魔物も妖精世界の魔力を取り込んだからかと思ってます」
「そう言えばそんな事を前に言ってた」
「これは仮説ですけどね。大半の魔力は地球に流れ込んで来てますが、少しはもしかしたら魔物の世界にも流れたのかもしれません」
「なるほど」
それなら、妖精世界の魔力を取り込んだ魔物が何らかの変化を起こして魔石を落とすようになったと考えられる。
「魔物についてはいくら考えても分かりません」
「まあね」
取り敢えず、一通り理解できたかなと思う。
中々、複雑だったり細かったりとかしたが、大きな謎が少し解けたと思う。魔法少女の誕生や、原初の魔法少女。ラビの正体もそうだ。後はララもそうかな? ララは研究員だったみたいだし。
一先ず、これで一旦全てを整理する事にしたのだった。
□□□□□□□□□□
「今何処で何をしてるのかなぁ」
ぼんやりと、スクリーンを見ながらふとそんな事を呟く。
「日本に居そうな気がしたんだけど」
まあ、あくまでそんな気がしただけだけど。
今の私はかつての私ではない。魔法省の一人の技術者……と言っても、最近はこの地域での魔物が確認できてないので暇なのも確かだったりする。暇だからこそ、魔導砲の研究が進められるという利点もあるけど。
魔導砲。
魔石をエネルギーとして放つ大砲と言えば良いか。人類が魔物に対抗できるかもしれない一つの希望である。試作型のテストが以前、東京地域にて行われその有効性が認められた。
魔法少女と比べれば些細な物になってしまうが、それでも今まで手も足も出せなかった私たちが、魔物に対してダメージを与えられたのだ。
威力はまだ要研究だけど、それでも対抗手段が生まれるかもしれない。それだけでも、私たちとしては大きな一歩だ。依然と魔法少女たちに頼りきりではあるけど、いつかは私たちも共に戦えるようになるかもしれない。
「まあ、私は技術者だから前線には立てないかも知れないけど……」
技術者というのは、何処の国でも貴重な存在だ。
今や普通に走っている車や、空を飛ぶ飛行機や船……それらの便利な物があるのも技術者が居たからこそである。更なる発展を目指す事も出来るしね。
そんな技術者が戦いの場に出るのは、失うリスクが高いだろうし、何より技術は財産だから。
「少しでも彼女たちの負担が減れば良いな」
戦いには出られないだろうけど、技術で魔法少女たちを支える事は出来る。
魔導砲の試作型も出来上がっているので、後はテストなのだが……色々とあってまだ運転できてないのが現状。つい最近、Cの魔物が出たのでその時に魔法少女と共に一度だけ試運転が出来たくらいだ。
ここ最近、この地域の魔物は劇的に減少している。全く出現しない日も続いていたし……大晦日とか、以前のあの時の魔物の数は一体何だったのかという話だ。
でもまあ、前はこの地域では0体というのも普通にあったので、その時に戻ったという事でもあるけど。大晦日に出現した脅威度Sの魔物二体が影響しているのだろうか。
まあ、当然油断は出来ないので、引き続き警戒はしているけども。
因みに魔導砲の効果はそれなりにあったようで、脅威度Cの魔物には結構な打撃を与えられた。と言っても、データが一個しかないので何とも言えないけど。
同じ魔物でも特性が違ったり、耐性があったりとかある事が分かってるのでより多くの実験データが必要である。他の地域では減少傾向ではあるものの、普通に魔物が出現しているのでこの地域もまた後で出現し始める可能性は十分ある。
「備えあれば憂いなしってね」
油断できない状況。
時間がある今だからこそ、より良いものを作れるように頑張らねばならないだろう。
「ん? ……リュネール・エトワール、か」
偶々開いていたデータベースにその名前があり、操作を止める。
星月の魔法少女……隕石を降らせたり、熱線を放ったり、大爆発を起こしたりとてつもなく異常な強さを誇る野良の魔法少女。と言っても、聞いた情報でしか分かってないからあれではあるけど。
「あの子にそっくりだなー」
一人の魔法少女を思い浮かべる。
そう言えば彼女も、隕石振らせたりしてたな……他にも色々とやってた気がする。今も元気にやってるみたいだけど、何処かで暴れてないか心配。
大丈夫だと思いたいけど。
「アリス居るー?」
「居ますよ」
この地域の支部長の声が聞こえたので、私はそちらに向かうのだった。
「あはは……改めて見てみると、確かにこれはあれですね」
休憩を終え、再び隣に座るラビと話し始める。
何というか、肩書が多いなと思いつつ……ティアラを付けていたのは、王女だったからなんだね。というか、王女って事はわたしのこのラビという呼び方はまずいのでは?
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記録する対象がなくなってしまえば、確かに記録者として記録する事が出来ない。王女についても、その国があった世界自体がなくなってしまってる。
そうなると、もう記録する事が出来ないのではないだろうか? ……いや、正確には滅んだという記録を残す事は出来るか。
「もう記録者としての活動はできない?」
「そうですね……対象となる世界が滅んでしまってますから。ですが今回、妖精世界が元に戻ればまた記録はできます」
それもそうか。
もとに戻せるかどうかは分からないが、戻す事が出来たのなら……確かに記録は続けられる。だけど、記録は続けられるとしても世界には誰も居ない訳だが……。
「例え何があっても記録する。それが記録者の役割です」
「ん……」
ラビのその強い意思を感じれる。
これはもう彼女が決めた事だって言うのは分かったので、わたしが口出すつもりはない。仮にわたしが口出した所で、何も変わらないだろうしね。
それならわたしは、ラビ自体をサポートできれば良いと思う。
「滅んだっていうのも記録したの?」
「はい。魔法実験の事、失敗して世界が三つ隣り合わせになった事等、起きた事は記録してますよ」
「まあ、そうだよね」
記録者とはそういう仕事なのだし。
「ん。大体は理解できた」
「そうですか?」
「ん。あ、そうだ。魔石って言う名前が広がったのは。それもやっぱり?」
「魔石はそうですね。こちらは魔力と同じで、私が魔石の事を話したので、それが原初の魔法少女を通して広がったのだと思います」
魔法関係については、大体は原初の魔法少女から広まってるみたいだし、まあ予想通りではあった。それに、魔石については妖精世界にあった訳だから。
「魔石って、魔物から出るよね? なんで?」
疑問に思うのは、魔石というのが魔物から落ちるという事。
妖精世界に魔物がいて、その魔物が落とすならまだ分かるが、妖精世界には魔物は居ないみたいだし、奴らは別世界の生命体。何故そんな別世界の生命体が、妖精世界にあった魔石を落とすのだろうか。
まあ、魔物については謎が多いしラビですら分かってないのが多いから聞いても意味がないと分かってるけど……。
「以前にも言った通り、魔物については謎が多いのです。何せ妖精世界にも地球にも存在しない生命体ですから、調べようがありません。なので、どうしてそんな魔物が妖精世界にあるはずの魔石を落とすのかは、分かってません」
「だよね。分かってた」
でもやっぱり気になるよな、魔物という生命体。魔力を狙っているというのは分かってるが、魔物の根本的な所は分かってない事が殆どだ。宇宙のように……宇宙だってまだ1%すら解明されてないみたいだし。
ただ、今、対魔物以外にも、魔力の使い道とかが考えられているようなので、もしかすると宇宙の理解に一歩進むかもしれないというのもある。
魔石という物を車とか、飛行機とかに仮に使えるとなれば劇的に環境は変わるだろうし……と言っても、魔石の管理は魔法少女たちと同じで、魔法省に一任されているが。
そして当然だが、魔法少女や魔物優先である。魔石は、魔法少女の魔力を回復させたり魔物相手に有効打を与えられるかもしれないとされてるので、優先順位は圧倒的にそっちの方が高くなる。
「ただ考えられるのは、前にも少し言ったかもしれないですが、魔物も妖精世界の魔力を取り込んだからかと思ってます」
「そう言えばそんな事を前に言ってた」
「これは仮説ですけどね。大半の魔力は地球に流れ込んで来てますが、少しはもしかしたら魔物の世界にも流れたのかもしれません」
「なるほど」
それなら、妖精世界の魔力を取り込んだ魔物が何らかの変化を起こして魔石を落とすようになったと考えられる。
「魔物についてはいくら考えても分かりません」
「まあね」
取り敢えず、一通り理解できたかなと思う。
中々、複雑だったり細かったりとかしたが、大きな謎が少し解けたと思う。魔法少女の誕生や、原初の魔法少女。ラビの正体もそうだ。後はララもそうかな? ララは研究員だったみたいだし。
一先ず、これで一旦全てを整理する事にしたのだった。
□□□□□□□□□□
「今何処で何をしてるのかなぁ」
ぼんやりと、スクリーンを見ながらふとそんな事を呟く。
「日本に居そうな気がしたんだけど」
まあ、あくまでそんな気がしただけだけど。
今の私はかつての私ではない。魔法省の一人の技術者……と言っても、最近はこの地域での魔物が確認できてないので暇なのも確かだったりする。暇だからこそ、魔導砲の研究が進められるという利点もあるけど。
魔導砲。
魔石をエネルギーとして放つ大砲と言えば良いか。人類が魔物に対抗できるかもしれない一つの希望である。試作型のテストが以前、東京地域にて行われその有効性が認められた。
魔法少女と比べれば些細な物になってしまうが、それでも今まで手も足も出せなかった私たちが、魔物に対してダメージを与えられたのだ。
威力はまだ要研究だけど、それでも対抗手段が生まれるかもしれない。それだけでも、私たちとしては大きな一歩だ。依然と魔法少女たちに頼りきりではあるけど、いつかは私たちも共に戦えるようになるかもしれない。
「まあ、私は技術者だから前線には立てないかも知れないけど……」
技術者というのは、何処の国でも貴重な存在だ。
今や普通に走っている車や、空を飛ぶ飛行機や船……それらの便利な物があるのも技術者が居たからこそである。更なる発展を目指す事も出来るしね。
そんな技術者が戦いの場に出るのは、失うリスクが高いだろうし、何より技術は財産だから。
「少しでも彼女たちの負担が減れば良いな」
戦いには出られないだろうけど、技術で魔法少女たちを支える事は出来る。
魔導砲の試作型も出来上がっているので、後はテストなのだが……色々とあってまだ運転できてないのが現状。つい最近、Cの魔物が出たのでその時に魔法少女と共に一度だけ試運転が出来たくらいだ。
ここ最近、この地域の魔物は劇的に減少している。全く出現しない日も続いていたし……大晦日とか、以前のあの時の魔物の数は一体何だったのかという話だ。
でもまあ、前はこの地域では0体というのも普通にあったので、その時に戻ったという事でもあるけど。大晦日に出現した脅威度Sの魔物二体が影響しているのだろうか。
まあ、当然油断は出来ないので、引き続き警戒はしているけども。
因みに魔導砲の効果はそれなりにあったようで、脅威度Cの魔物には結構な打撃を与えられた。と言っても、データが一個しかないので何とも言えないけど。
同じ魔物でも特性が違ったり、耐性があったりとかある事が分かってるのでより多くの実験データが必要である。他の地域では減少傾向ではあるものの、普通に魔物が出現しているのでこの地域もまた後で出現し始める可能性は十分ある。
「備えあれば憂いなしってね」
油断できない状況。
時間がある今だからこそ、より良いものを作れるように頑張らねばならないだろう。
「ん? ……リュネール・エトワール、か」
偶々開いていたデータベースにその名前があり、操作を止める。
星月の魔法少女……隕石を降らせたり、熱線を放ったり、大爆発を起こしたりとてつもなく異常な強さを誇る野良の魔法少女。と言っても、聞いた情報でしか分かってないからあれではあるけど。
「あの子にそっくりだなー」
一人の魔法少女を思い浮かべる。
そう言えば彼女も、隕石振らせたりしてたな……他にも色々とやってた気がする。今も元気にやってるみたいだけど、何処かで暴れてないか心配。
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