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最終章『妖精世界』
Act.45:妖精の本音と気付いた事
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「はあ」
特に何もないのにため息をついてしまう。
何もないと言うのは噓になるか……ついさっき、ブルーサファイアこと色川蒼に告白をされてしまった。告白される事なんて予想していたのに、結局は雪菜の時と同じで言葉が出ないで居た。
雪菜よりちょっとアグレッシブだった気がする。蒼ってあんな子だったかな?
そんなどうでも良い事を考えるのではなく、どうするのかを考えるのは先だろう。雪菜と蒼……わたしはどうしたいのだろうか?
雪菜についてだって、告白されてから少し経ってしまっているのに答えを見いだせないままだ。駄目だな……わたしは。
「これからどうしたら良いかな?」
夜空に向けて、そう問いかけるが当然答えは返ってこない。月と星はただただ夜空を明るく照らしているだけだ。
「ここに居たのですね」
「ラビ……」
「やっぱり、蒼さんからの告白でしたか」
「ん」
そんなわたしの側にやって来るラビ。もちろん、家なので人型の姿で。
自分の家の屋根の上……何時もなら変身してから来る所だけど、今回は変身は特にせず、この姿のまま座っていた。
どうでも良い事だけど、うちの屋根って二階から普通に簡単に登れるようになってるんだよね。登るために設計したかは分からないけど、取り合えず比較的簡単に屋根に登れる。
だから、アンテナが変な方向になった時とか梯子とか用意しなくても、屋根に登れる。
「何時か告白されるかなとは予想していたけど、実際されるとこうなるんだなって」
「……」
答えを出すべきなんだ。だけど、口から言葉が出せないのである。何故か? 関係が壊れるから? まあ、それもあるのかな?
断ってしまうと気まずくなるから? それはどうだろうね。彼女たちは、わたしでも分かるくらい決心したような雰囲気を持っていたし、断られる覚悟もあるのだろう。
肝心なわたしが答えを出せてないのが一番、駄目なのだ。
「それなら、司」
「ん?」
「反対に考えて見ませんか」
「反対?」
「はい。反対に……司の好きな人は誰ですか?」
「!」
わたしの好きな人……。
考えても見なかったな……わたしの好きな人は誰だろうか? 自分の胸に手を当てて目を瞑る。蒼? 雪菜? それとも……。
今までの中で関わりのある人たちを思い浮かべてみる。
「……分からない、かな」
「そうですか……」
誰を思い浮かべても、同じだった。
わたしに好きな人は居ないと言う事なのだろうか? でもまあ、良く考えればわたしは元はいい年したおっさんだった訳だし、そんなのに縁はなかったな。
「でもまあ、それならば……この場で言うのはどうかと思ったのですけど」
「?」
あれこれ考えていると、ラビがわたしの事をじっと見て来る。
「気付いてないですか? 実は私も好きなのですよ」
「へ?」
唐突に何の話題? ちょっと話についていけない。え? 何が好きだって?
「違う世界の存在なのに……私は最初色々と隠していましたが、それでも無理に聞こうとしてこなかったり、こんな私にも優しくしてくれたあなたが。今ではブラックリリーやララが発端ではありますけど、私の故郷である妖精世界の事だって……本当に」
「ラビ?」
「ここまで言っても分かりませんか? もう良いです、はっきり言います」
「……」
「私こと、ラビリア・ド・エステリア又はラビリア・ド・アルシーヴ・フェリークは如月司の事が好きです。優しいあなたが結構前から好きで居ました」
「っ!?」
「何時から、ですかね。こんな気持ちを抱き始めたのは……でも、私は気付いたら司の事が好きになってました。それは今までの相方や相棒というものではなく、彼女たちと同じく、恋愛的の意味での好きです」
誰が、ラビが、わたしを?
ちょっと待って……蒼に告白されたばかりなのに、今度はラビ? まってまって……ちょっと頭が付いて行けない。
「司に好きな人が居るなら、これを言う事はしませんでした。ですが、居ないようでしたので、私も素直に言う事にしました」
「ラビ……」
ラビとの関係は、恐らく一番長い。
わたしも、最初はあれだったけど今では普通に相棒と言えるくらいになっているし。ラビはどう思っているのか気になっていたけど……。
「答えを急かす事はしません。まだ一人、居ますからね、ふふ」
「え?」
最後何て言ったのか聞き取れなかった。
「何でもありませんよ。驚きましたか?」
「ん……」
「でも、これは本当の事です。私は司の事が好きですし、ずっと一緒に居たいとも思ってます。例えあなたが元が男であったとしても、私はその姿も知っている。全てを含めて、司と言う人柄に惹かれました。今の性別でも変わりません。私は司が好きなのですから」
流石にそこまで言われると恥ずかしい。
……わたしが、好き、か。
「……」
「更に悩ませてしまいましたかね? ふふ」
「ぅ」
「大丈夫です。私は司がどんな選択をしても恨んだりなんてしません。ですが、私を選んでくれたら嬉しいですね」
……。
わたしの好きな人、か。
わたしは、どうすれば良いのだろうか?
「唐突に告白した私が言うのも、可笑しい気はしますが……誰を選ぶかは司次第です。私たちは司が好きになったから告白したのですから。振られる事も考えてますし、全員が選ばれない可能性だって皆考えているはずですよ。全ては司次第、と言う事です」
「それは、分かってる……」
ぶっちゃけ言ってしまえば、好きなった人は告白やアプローチをするくらいしかやる事はないのだ。告白したとしても、選ぶのは告白された側なのだから。
そう、つまりわたしだ。
そんなわたしは、答えを未だに出せずに居る。彼女たちは勇気を持って告白してきたはずだ。それに対してわたしは……。
「司が一緒に居たいと思える子を選ぶのが皆にとっても良い事です。もちろん、誰も選ばないと言う選択肢だってあるのですから」
「ん」
「あはは……私が言う事ではないですけどね。私は司を好きになった側の人……妖精ですし」
一緒に居たいと思える子、か。
確かにわたしはラビが来る前は基本、家に一人だったな。長い休みの時に、妹である真白が定期的に帰ってきてたから、ずっと一人と言う訳ではないけど。
如月真白。
前はわたしの妹、今は姉である。この姿になったわたしの事を特に気にする事なく色々と教えてもくれたし、本当に真白が居て良かったと思うくらいだ。
「あ、一人ではなく二人でしたね……」
「え?」
「なんでもないですよ」
何か今ラビが呟いたような気がしたけど、気のせいだったかな? ……まあ良いか。
一緒に居たい人、好きな人。
分からない……正直、わたしは皆が好きだから。最初こそ、避けていたのはあったけどそれでも、今では変わってきてる。
一人より二人、二人より三人……。
そっか。
だから、わたしは選べないのか。
皆が、好きだから。
「……」
何か、ようやく分かった気がするよ。
分からない分からない言ってたのが馬鹿らしくなる。でも、皆が好き何て言うのは答えにはならないか……蒼や雪菜が変わったとか言ったけど、一番変わってるのはわたしなのではないだろうか?
人の事、言えないな。
「その顔は、何かに気付いた感じですかね?」
「ん。でもこれは答えじゃないから」
そう、答えではない。
皆が好きなのは間違いないが、求められている答えはこれではないだろう。では、わたしはどう返せば良いのか?
……。
「そうですか。ゆっくり悩んで、その答えを聞かせてください。答えを待っているのは私だけではないですから」
「うん」
ごめん、雪菜に蒼、ラビも。
もう少しだけ、わたしに時間をくれると嬉しい。きっと、答えを出して見せるから。告白されたからには、その答えを出すのが男の使命だ。まあ、今は違うけど……そこは置いておいて。
わたしは……。
特に何もないのにため息をついてしまう。
何もないと言うのは噓になるか……ついさっき、ブルーサファイアこと色川蒼に告白をされてしまった。告白される事なんて予想していたのに、結局は雪菜の時と同じで言葉が出ないで居た。
雪菜よりちょっとアグレッシブだった気がする。蒼ってあんな子だったかな?
そんなどうでも良い事を考えるのではなく、どうするのかを考えるのは先だろう。雪菜と蒼……わたしはどうしたいのだろうか?
雪菜についてだって、告白されてから少し経ってしまっているのに答えを見いだせないままだ。駄目だな……わたしは。
「これからどうしたら良いかな?」
夜空に向けて、そう問いかけるが当然答えは返ってこない。月と星はただただ夜空を明るく照らしているだけだ。
「ここに居たのですね」
「ラビ……」
「やっぱり、蒼さんからの告白でしたか」
「ん」
そんなわたしの側にやって来るラビ。もちろん、家なので人型の姿で。
自分の家の屋根の上……何時もなら変身してから来る所だけど、今回は変身は特にせず、この姿のまま座っていた。
どうでも良い事だけど、うちの屋根って二階から普通に簡単に登れるようになってるんだよね。登るために設計したかは分からないけど、取り合えず比較的簡単に屋根に登れる。
だから、アンテナが変な方向になった時とか梯子とか用意しなくても、屋根に登れる。
「何時か告白されるかなとは予想していたけど、実際されるとこうなるんだなって」
「……」
答えを出すべきなんだ。だけど、口から言葉が出せないのである。何故か? 関係が壊れるから? まあ、それもあるのかな?
断ってしまうと気まずくなるから? それはどうだろうね。彼女たちは、わたしでも分かるくらい決心したような雰囲気を持っていたし、断られる覚悟もあるのだろう。
肝心なわたしが答えを出せてないのが一番、駄目なのだ。
「それなら、司」
「ん?」
「反対に考えて見ませんか」
「反対?」
「はい。反対に……司の好きな人は誰ですか?」
「!」
わたしの好きな人……。
考えても見なかったな……わたしの好きな人は誰だろうか? 自分の胸に手を当てて目を瞑る。蒼? 雪菜? それとも……。
今までの中で関わりのある人たちを思い浮かべてみる。
「……分からない、かな」
「そうですか……」
誰を思い浮かべても、同じだった。
わたしに好きな人は居ないと言う事なのだろうか? でもまあ、良く考えればわたしは元はいい年したおっさんだった訳だし、そんなのに縁はなかったな。
「でもまあ、それならば……この場で言うのはどうかと思ったのですけど」
「?」
あれこれ考えていると、ラビがわたしの事をじっと見て来る。
「気付いてないですか? 実は私も好きなのですよ」
「へ?」
唐突に何の話題? ちょっと話についていけない。え? 何が好きだって?
「違う世界の存在なのに……私は最初色々と隠していましたが、それでも無理に聞こうとしてこなかったり、こんな私にも優しくしてくれたあなたが。今ではブラックリリーやララが発端ではありますけど、私の故郷である妖精世界の事だって……本当に」
「ラビ?」
「ここまで言っても分かりませんか? もう良いです、はっきり言います」
「……」
「私こと、ラビリア・ド・エステリア又はラビリア・ド・アルシーヴ・フェリークは如月司の事が好きです。優しいあなたが結構前から好きで居ました」
「っ!?」
「何時から、ですかね。こんな気持ちを抱き始めたのは……でも、私は気付いたら司の事が好きになってました。それは今までの相方や相棒というものではなく、彼女たちと同じく、恋愛的の意味での好きです」
誰が、ラビが、わたしを?
ちょっと待って……蒼に告白されたばかりなのに、今度はラビ? まってまって……ちょっと頭が付いて行けない。
「司に好きな人が居るなら、これを言う事はしませんでした。ですが、居ないようでしたので、私も素直に言う事にしました」
「ラビ……」
ラビとの関係は、恐らく一番長い。
わたしも、最初はあれだったけど今では普通に相棒と言えるくらいになっているし。ラビはどう思っているのか気になっていたけど……。
「答えを急かす事はしません。まだ一人、居ますからね、ふふ」
「え?」
最後何て言ったのか聞き取れなかった。
「何でもありませんよ。驚きましたか?」
「ん……」
「でも、これは本当の事です。私は司の事が好きですし、ずっと一緒に居たいとも思ってます。例えあなたが元が男であったとしても、私はその姿も知っている。全てを含めて、司と言う人柄に惹かれました。今の性別でも変わりません。私は司が好きなのですから」
流石にそこまで言われると恥ずかしい。
……わたしが、好き、か。
「……」
「更に悩ませてしまいましたかね? ふふ」
「ぅ」
「大丈夫です。私は司がどんな選択をしても恨んだりなんてしません。ですが、私を選んでくれたら嬉しいですね」
……。
わたしの好きな人、か。
わたしは、どうすれば良いのだろうか?
「唐突に告白した私が言うのも、可笑しい気はしますが……誰を選ぶかは司次第です。私たちは司が好きになったから告白したのですから。振られる事も考えてますし、全員が選ばれない可能性だって皆考えているはずですよ。全ては司次第、と言う事です」
「それは、分かってる……」
ぶっちゃけ言ってしまえば、好きなった人は告白やアプローチをするくらいしかやる事はないのだ。告白したとしても、選ぶのは告白された側なのだから。
そう、つまりわたしだ。
そんなわたしは、答えを未だに出せずに居る。彼女たちは勇気を持って告白してきたはずだ。それに対してわたしは……。
「司が一緒に居たいと思える子を選ぶのが皆にとっても良い事です。もちろん、誰も選ばないと言う選択肢だってあるのですから」
「ん」
「あはは……私が言う事ではないですけどね。私は司を好きになった側の人……妖精ですし」
一緒に居たいと思える子、か。
確かにわたしはラビが来る前は基本、家に一人だったな。長い休みの時に、妹である真白が定期的に帰ってきてたから、ずっと一人と言う訳ではないけど。
如月真白。
前はわたしの妹、今は姉である。この姿になったわたしの事を特に気にする事なく色々と教えてもくれたし、本当に真白が居て良かったと思うくらいだ。
「あ、一人ではなく二人でしたね……」
「え?」
「なんでもないですよ」
何か今ラビが呟いたような気がしたけど、気のせいだったかな? ……まあ良いか。
一緒に居たい人、好きな人。
分からない……正直、わたしは皆が好きだから。最初こそ、避けていたのはあったけどそれでも、今では変わってきてる。
一人より二人、二人より三人……。
そっか。
だから、わたしは選べないのか。
皆が、好きだから。
「……」
何か、ようやく分かった気がするよ。
分からない分からない言ってたのが馬鹿らしくなる。でも、皆が好き何て言うのは答えにはならないか……蒼や雪菜が変わったとか言ったけど、一番変わってるのはわたしなのではないだろうか?
人の事、言えないな。
「その顔は、何かに気付いた感じですかね?」
「ん。でもこれは答えじゃないから」
そう、答えではない。
皆が好きなのは間違いないが、求められている答えはこれではないだろう。では、わたしはどう返せば良いのか?
……。
「そうですか。ゆっくり悩んで、その答えを聞かせてください。答えを待っているのは私だけではないですから」
「うん」
ごめん、雪菜に蒼、ラビも。
もう少しだけ、わたしに時間をくれると嬉しい。きっと、答えを出して見せるから。告白されたからには、その答えを出すのが男の使命だ。まあ、今は違うけど……そこは置いておいて。
わたしは……。
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