悪役令嬢は地下牢でただこの世界の終わりを願っていたのに変態魔術師と人生をやり直しすることになってしまった

ひよこ麺

文字の大きさ
41 / 70

39:グー〇ル翻訳を再翻訳したような手紙とマクシム・ガルマショフ公爵視点

しおりを挟む
「そこは笑いがないとなんか無機質で、脅迫している感じがしたから加えたんだ。和やかな空気は大切だから……」

「和やかな空気ではなく、不審さに磨きがかかってるわよ。あと気持ち悪い」

とにかく、あの手紙はなしだ。あれを出すくらいなら私が不通に書くべきだと思った。

「マイ・クイーン、そのの部分がとても良かった。最近シリアスな展開が多すぎてこう、僕の心の玄関マットが泣いていたから、とても心に響いた」

「どこから突っ込めばいいか分からないんだけど」

心の玄関マットの意味がわからないし、玄関マットはそもそも無機物なので泣かないし、大体『気持ち悪い』が心に響くなどド変態である。

(すっかり忘れていたけど、よく考えたらドM変態魔術師だったわね)

色んな要素が付与されて、初心を忘れてきていた。とはいえこの真面目な場面ではいらないと思うけれど。

「いや、どんな時でも笑いは必要だからね。それと、実はもうひとつ手紙の文案を書いたんだよね」

「あんな感じだったら却下だから見せないでいいわよ」

「良いね、そのゴミ虫を見る目。マイ・クイーンに相応しい目だ。まぁ恍惚の時間は大切にとっておくとして……こちらになります」

凄く期待しないでその手紙を確認する。

『マクシム・ガルマショフ公爵様

お願いがあります。私が誰であるかはわかりませんが、役立つ情報をお届けします。
すべては宮殿の貴重なものを救うことです。

すべて正しく行われる可能性があります。あなたの部屋に行きなさい』

「ねぇ、リアム。なんでこの文章は無理やり翻訳した文章をさらに翻訳したみたいになってるの??もはやわけがわからないわよ」

「それは僕が、壊滅的に手紙を書くのが苦手だから、こう思考回路を翻訳して書いてくれる魔法を使ったんだけど精度の問題でなんか片言になってるね」

胡散臭いキラキラを全開にしているリアムを無視する。

「もう私が書くわ」

とりあえずその後、私は無難な手紙を書いて、その手紙はリアムが力を使いこっそりとマクシム様の執務室の目立つ場所に置いてきてくれた。

「ただいま。これで問題ないね、マイ・クイーン」

「おかえりなさい。そうね」

家に戻ってきたリアムを迎え入れる。

魔法を解いたリアムが伸びをした。
そしてその際に、私はあることに気付いた。

リアムの胸ポケットに確かに私が書いたはずの手紙、マクシム様の家においてきたはずのそれが見えた気がしたからだ。

「その胸ポケットに入っている手紙は……」

「ああ、これはマイ・クイーンに見せた僕が書いた手紙……じゃない!!えっ、これマイ・クイーンの手紙だ、置いてくる手紙間違えたかも」

とりあえず、この後、本気で玄関マットを踏みつけたのはいうまでもない。

**********************************************************************************
(マクシム・ガルマショフ公爵視点)

ある日、僕は執務室に見覚えのない手紙が置かれていることに気付いた。

(これは一体??)

自分をよく思わない勢力が居るため、ある程度は警戒するがその手紙からは邪悪さは感じなかったので開いてみた。すると、以下の内容が書かれていた。

『マクシム様へ
今日、お前の部屋へ入ってやるぞフフフフフフフフ』

その内容はとても気持ち悪かった。

内容的には変質的なストーカーの粘着的な何かを感じる。

しかし、何故か憎めない気もした。多分、その手紙の字が利き手と逆で書いたのではと見まがうほど汚く、なんだか子供が書いたように見えたからかもしれない。

(僕に子供、多分10歳位のストーカーがいるのかもしれないな。ルキヤンくらいのストーカーか……)

そう考えた瞬間、胸が自然と痛んだ。

ルキヤンは僕の姉の息子で本来ならこの国の皇子であり、正妃である姉の息子なのだから、皇太子になっていてもおかしくない。

しかし、その外見が黒い髪に赤い瞳だったため、古い忌子の伝承を盾に側妃派の陰謀で離宮に生まれて間もない日から閉じこめられている。

それについて、何度も抗議もしたし、ルキヤンを受け渡す様にも言い続けているが全く音沙汰がない。

だからルキヤンを救うために僕は国外の敵をなぎ倒しまくり国の英雄になった。

可愛い甥っ子を守るためならなんでもできた。

今でもはっきり覚えている。

まだ、ルキヤンが古い忌子の伝承で離宮へ閉じ込められる前、生まれて間もないのに美しい薔薇色の頬をした愛らしいあの顔を。僕に差し伸べた小さくて可愛い手を。

自分が守らなければいけない存在だと思ったことを。

国から英雄と認められたことで僕は公爵という立場以上に、この国での発言権を手に入れた。そして、そのかいあって、ついにルキヤンに会うために離宮へ赴く許可が出た時、想像以上の惨状を目の当たりにすることになった。

完全に育児を放棄されて、やせ細りぼろきれを纏うルキヤン。薄汚く黄ばんだベッドに眠り高熱を出しているのに誰も世話をしていない。うわ言のように、

「すくいぬしさま」と繰り返す姿に、僕は耐え切れなくなり一度そのままルキヤンを家に連れて帰った。

そうして、医者に見せて、的確な治療後、風呂にいれてあげて衛生的な服に着せ替えて、その後、重湯からゆっくりと慣れさせて固形物が食べられるまで回復させた。

なぜか僕を、神話の聖母ルキア様と勘違いしているらしいルキヤンは、「救い主様」と呼ぶようになっていた。

けれど、僕はそんな呼ばれ方よりも「おじたん」とか「マックスおじたん」とか呼ばれたいし、呼ばせたかった。それについては後ほど叶えるつもりでいる。

そのまま、僕の家で大切に大切にしようと思っていた矢先、陛下から「ルキヤンを離宮へ返すように」との達しが来た。

しかし、あんな劣悪な状態の場所に戻すつもりはなかったので、そのことで陛下相手に割とごねた。

ほぼ管理されていないことも、そこでやせ細りボロボロになっていたことも話したが、陛下はいまだにルキヤンを忌子とみなし恐れているようで全く聞く耳を持たなかった。

仕方ないので、無視して勝手に離宮の一部を直したり、中で働く人材を連れて行ったりした。

後、物資がまともに届くように整え、さらにひとり監視を置いてルキヤンを常に見張れる体制にしてから、離宮へ返した。

(陛下と本気ではやり合うつもりはないが、もしルキヤンがまた不幸になるならその時は……)

ただ、その後も側妃がルキヤンに嫌がらせをし続けていて、届くはずのものが半分程度しか入っていないことが監視から報告で上がった。

(もう、これは陛下への忠誠など無視してクーデターを起こしてでもルキヤンを救うべきだろうか……)

ルキヤンのためなら、国を滅ぼすことにも実は罪悪感はない。むしろ側妃も処刑して国をキレイキレイしてしまうのもよいかもしれない。

***************************************************
長いので一旦ここで切ります。
しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。 王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。 それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。 貧しかった少女は番に愛されそして……え?

【完結】番が見ているのでさようなら

堀 和三盆
恋愛
 その視線に気が付いたのはいつ頃のことだっただろう。  焦がれるような。縋るような。睨みつけるような。  どこかから注がれる――番からのその視線。  俺は猫の獣人だ。  そして、その見た目の良さから獣人だけでなく人間からだってしょっちゅう告白をされる。いわゆるモテモテってやつだ。  だから女に困ったことはないし、生涯をたった一人に縛られるなんてバカみてえ。そんな風に思っていた。  なのに。  ある日、彼女の一人とのデート中にどこからかその視線を向けられた。正直、信じられなかった。急に体中が熱くなり、自分が興奮しているのが分かった。  しかし、感じるのは常に視線のみ。  コチラを見るだけで一向に姿を見せない番を無視し、俺は彼女達との逢瀬を楽しんだ――というよりは見せつけた。  ……そうすることで番からの視線に変化が起きるから。

番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!? 貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。 愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はスミレ・デラウェア。伯爵令嬢だけど秘密がある。長閑なぶどう畑が広がる我がデラウェア領地で自警団に入っているのだ。騎士団に入れないのでコッソリと盗賊から領地を守ってます。 そんな領地に王都から番探しに王子がやって来るらしい。人が集まって来ると盗賊も来るから勘弁して欲しい。 お転婆令嬢が番から逃げ回るお話しです。 愛の花シリーズ第3弾です。

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

幸せな番が微笑みながら願うこと

矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。 まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。 だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。 竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。 ※設定はゆるいです。

処理中です...