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39:グー〇ル翻訳を再翻訳したような手紙とマクシム・ガルマショフ公爵視点
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「そこは笑いがないとなんか無機質で、脅迫している感じがしたから加えたんだ。和やかな空気は大切だから……」
「和やかな空気ではなく、不審さに磨きがかかってるわよ。あと気持ち悪い」
とにかく、あの手紙はなしだ。あれを出すくらいなら私が不通に書くべきだと思った。
「マイ・クイーン、その気持ち悪いの部分がとても良かった。最近シリアスな展開が多すぎてこう、僕の心の玄関マットが泣いていたから、とても心に響いた」
「どこから突っ込めばいいか分からないんだけど」
心の玄関マットの意味がわからないし、玄関マットはそもそも無機物なので泣かないし、大体『気持ち悪い』が心に響くなどド変態である。
(すっかり忘れていたけど、よく考えたらドM変態魔術師だったわね)
色んな要素が付与されて、初心を忘れてきていた。とはいえこの真面目な場面ではいらないと思うけれど。
「いや、どんな時でも笑いは必要だからね。それと、実はもうひとつ手紙の文案を書いたんだよね」
「あんな感じだったら却下だから見せないでいいわよ」
「良いね、そのゴミ虫を見る目。マイ・クイーンに相応しい目だ。まぁ恍惚の時間は大切にとっておくとして……こちらになります」
凄く期待しないでその手紙を確認する。
『マクシム・ガルマショフ公爵様
お願いがあります。私が誰であるかはわかりませんが、役立つ情報をお届けします。
すべては宮殿の貴重なものを救うことです。
すべて正しく行われる可能性があります。あなたの部屋に行きなさい』
「ねぇ、リアム。なんでこの文章は無理やり翻訳した文章をさらに翻訳したみたいになってるの??もはやわけがわからないわよ」
「それは僕が、壊滅的に手紙を書くのが苦手だから、こう思考回路を翻訳して書いてくれる魔法を使ったんだけど精度の問題でなんか片言になってるね」
胡散臭いキラキラを全開にしているリアムを無視する。
「もう私が書くわ」
とりあえずその後、私は無難な手紙を書いて、その手紙はリアムが力を使いこっそりとマクシム様の執務室の目立つ場所に置いてきてくれた。
「ただいま。これで問題ないね、マイ・クイーン」
「おかえりなさい。そうね」
家に戻ってきたリアムを迎え入れる。
魔法を解いたリアムが伸びをした。
そしてその際に、私はあることに気付いた。
リアムの胸ポケットに確かに私が書いたはずの手紙、マクシム様の家においてきたはずのそれが見えた気がしたからだ。
「その胸ポケットに入っている手紙は……」
「ああ、これはマイ・クイーンに見せた僕が書いた手紙……じゃない!!えっ、これマイ・クイーンの手紙だ、置いてくる手紙間違えたかも」
とりあえず、この後、本気で玄関マットを踏みつけたのはいうまでもない。
**********************************************************************************
(マクシム・ガルマショフ公爵視点)
ある日、僕は執務室に見覚えのない手紙が置かれていることに気付いた。
(これは一体??)
自分をよく思わない勢力が居るため、ある程度は警戒するがその手紙からは邪悪さは感じなかったので開いてみた。すると、以下の内容が書かれていた。
『マクシム様へ
今日、お前の部屋へ入ってやるぞフフフフフフフフ』
その内容はとても気持ち悪かった。
内容的には変質的なストーカーの粘着的な何かを感じる。
しかし、何故か憎めない気もした。多分、その手紙の字が利き手と逆で書いたのではと見まがうほど汚く、なんだか子供が書いたように見えたからかもしれない。
(僕に子供、多分10歳位のストーカーがいるのかもしれないな。ルキヤンくらいのストーカーか……)
そう考えた瞬間、胸が自然と痛んだ。
ルキヤンは僕の姉の息子で本来ならこの国の皇子であり、正妃である姉の息子なのだから、皇太子になっていてもおかしくない。
しかし、その外見が黒い髪に赤い瞳だったため、古い忌子の伝承を盾に側妃派の陰謀で離宮に生まれて間もない日から閉じこめられている。
それについて、何度も抗議もしたし、ルキヤンを受け渡す様にも言い続けているが全く音沙汰がない。
だからルキヤンを救うために僕は国外の敵をなぎ倒しまくり国の英雄になった。
可愛い甥っ子を守るためならなんでもできた。
今でもはっきり覚えている。
まだ、ルキヤンが古い忌子の伝承で離宮へ閉じ込められる前、生まれて間もないのに美しい薔薇色の頬をした愛らしいあの顔を。僕に差し伸べた小さくて可愛い手を。
自分が守らなければいけない存在だと思ったことを。
国から英雄と認められたことで僕は公爵という立場以上に、この国での発言権を手に入れた。そして、そのかいあって、ついにルキヤンに会うために離宮へ赴く許可が出た時、想像以上の惨状を目の当たりにすることになった。
完全に育児を放棄されて、やせ細りぼろきれを纏うルキヤン。薄汚く黄ばんだベッドに眠り高熱を出しているのに誰も世話をしていない。うわ言のように、
「すくいぬしさま」と繰り返す姿に、僕は耐え切れなくなり一度そのままルキヤンを家に連れて帰った。
そうして、医者に見せて、的確な治療後、風呂にいれてあげて衛生的な服に着せ替えて、その後、重湯からゆっくりと慣れさせて固形物が食べられるまで回復させた。
なぜか僕を、神話の聖母ルキア様と勘違いしているらしいルキヤンは、「救い主様」と呼ぶようになっていた。
けれど、僕はそんな呼ばれ方よりも「おじたん」とか「マックスおじたん」とか呼ばれたいし、呼ばせたかった。それについては後ほど叶えるつもりでいる。
そのまま、僕の家で大切に大切にしようと思っていた矢先、陛下から「ルキヤンを離宮へ返すように」との達しが来た。
しかし、あんな劣悪な状態の場所に戻すつもりはなかったので、そのことで陛下相手に割とごねた。
ほぼ管理されていないことも、そこでやせ細りボロボロになっていたことも話したが、陛下はいまだにルキヤンを忌子とみなし恐れているようで全く聞く耳を持たなかった。
仕方ないので、無視して勝手に離宮の一部を直したり、中で働く人材を連れて行ったりした。
後、物資がまともに届くように整え、さらにひとり監視を置いてルキヤンを常に見張れる体制にしてから、離宮へ返した。
(陛下と本気ではやり合うつもりはないが、もしルキヤンがまた不幸になるならその時は……)
ただ、その後も側妃がルキヤンに嫌がらせをし続けていて、届くはずのものが半分程度しか入っていないことが監視から報告で上がった。
(もう、これは陛下への忠誠など無視してクーデターを起こしてでもルキヤンを救うべきだろうか……)
ルキヤンのためなら、国を滅ぼすことにも実は罪悪感はない。むしろ側妃も処刑して国をキレイキレイしてしまうのもよいかもしれない。
***************************************************
長いので一旦ここで切ります。
「和やかな空気ではなく、不審さに磨きがかかってるわよ。あと気持ち悪い」
とにかく、あの手紙はなしだ。あれを出すくらいなら私が不通に書くべきだと思った。
「マイ・クイーン、その気持ち悪いの部分がとても良かった。最近シリアスな展開が多すぎてこう、僕の心の玄関マットが泣いていたから、とても心に響いた」
「どこから突っ込めばいいか分からないんだけど」
心の玄関マットの意味がわからないし、玄関マットはそもそも無機物なので泣かないし、大体『気持ち悪い』が心に響くなどド変態である。
(すっかり忘れていたけど、よく考えたらドM変態魔術師だったわね)
色んな要素が付与されて、初心を忘れてきていた。とはいえこの真面目な場面ではいらないと思うけれど。
「いや、どんな時でも笑いは必要だからね。それと、実はもうひとつ手紙の文案を書いたんだよね」
「あんな感じだったら却下だから見せないでいいわよ」
「良いね、そのゴミ虫を見る目。マイ・クイーンに相応しい目だ。まぁ恍惚の時間は大切にとっておくとして……こちらになります」
凄く期待しないでその手紙を確認する。
『マクシム・ガルマショフ公爵様
お願いがあります。私が誰であるかはわかりませんが、役立つ情報をお届けします。
すべては宮殿の貴重なものを救うことです。
すべて正しく行われる可能性があります。あなたの部屋に行きなさい』
「ねぇ、リアム。なんでこの文章は無理やり翻訳した文章をさらに翻訳したみたいになってるの??もはやわけがわからないわよ」
「それは僕が、壊滅的に手紙を書くのが苦手だから、こう思考回路を翻訳して書いてくれる魔法を使ったんだけど精度の問題でなんか片言になってるね」
胡散臭いキラキラを全開にしているリアムを無視する。
「もう私が書くわ」
とりあえずその後、私は無難な手紙を書いて、その手紙はリアムが力を使いこっそりとマクシム様の執務室の目立つ場所に置いてきてくれた。
「ただいま。これで問題ないね、マイ・クイーン」
「おかえりなさい。そうね」
家に戻ってきたリアムを迎え入れる。
魔法を解いたリアムが伸びをした。
そしてその際に、私はあることに気付いた。
リアムの胸ポケットに確かに私が書いたはずの手紙、マクシム様の家においてきたはずのそれが見えた気がしたからだ。
「その胸ポケットに入っている手紙は……」
「ああ、これはマイ・クイーンに見せた僕が書いた手紙……じゃない!!えっ、これマイ・クイーンの手紙だ、置いてくる手紙間違えたかも」
とりあえず、この後、本気で玄関マットを踏みつけたのはいうまでもない。
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(マクシム・ガルマショフ公爵視点)
ある日、僕は執務室に見覚えのない手紙が置かれていることに気付いた。
(これは一体??)
自分をよく思わない勢力が居るため、ある程度は警戒するがその手紙からは邪悪さは感じなかったので開いてみた。すると、以下の内容が書かれていた。
『マクシム様へ
今日、お前の部屋へ入ってやるぞフフフフフフフフ』
その内容はとても気持ち悪かった。
内容的には変質的なストーカーの粘着的な何かを感じる。
しかし、何故か憎めない気もした。多分、その手紙の字が利き手と逆で書いたのではと見まがうほど汚く、なんだか子供が書いたように見えたからかもしれない。
(僕に子供、多分10歳位のストーカーがいるのかもしれないな。ルキヤンくらいのストーカーか……)
そう考えた瞬間、胸が自然と痛んだ。
ルキヤンは僕の姉の息子で本来ならこの国の皇子であり、正妃である姉の息子なのだから、皇太子になっていてもおかしくない。
しかし、その外見が黒い髪に赤い瞳だったため、古い忌子の伝承を盾に側妃派の陰謀で離宮に生まれて間もない日から閉じこめられている。
それについて、何度も抗議もしたし、ルキヤンを受け渡す様にも言い続けているが全く音沙汰がない。
だからルキヤンを救うために僕は国外の敵をなぎ倒しまくり国の英雄になった。
可愛い甥っ子を守るためならなんでもできた。
今でもはっきり覚えている。
まだ、ルキヤンが古い忌子の伝承で離宮へ閉じ込められる前、生まれて間もないのに美しい薔薇色の頬をした愛らしいあの顔を。僕に差し伸べた小さくて可愛い手を。
自分が守らなければいけない存在だと思ったことを。
国から英雄と認められたことで僕は公爵という立場以上に、この国での発言権を手に入れた。そして、そのかいあって、ついにルキヤンに会うために離宮へ赴く許可が出た時、想像以上の惨状を目の当たりにすることになった。
完全に育児を放棄されて、やせ細りぼろきれを纏うルキヤン。薄汚く黄ばんだベッドに眠り高熱を出しているのに誰も世話をしていない。うわ言のように、
「すくいぬしさま」と繰り返す姿に、僕は耐え切れなくなり一度そのままルキヤンを家に連れて帰った。
そうして、医者に見せて、的確な治療後、風呂にいれてあげて衛生的な服に着せ替えて、その後、重湯からゆっくりと慣れさせて固形物が食べられるまで回復させた。
なぜか僕を、神話の聖母ルキア様と勘違いしているらしいルキヤンは、「救い主様」と呼ぶようになっていた。
けれど、僕はそんな呼ばれ方よりも「おじたん」とか「マックスおじたん」とか呼ばれたいし、呼ばせたかった。それについては後ほど叶えるつもりでいる。
そのまま、僕の家で大切に大切にしようと思っていた矢先、陛下から「ルキヤンを離宮へ返すように」との達しが来た。
しかし、あんな劣悪な状態の場所に戻すつもりはなかったので、そのことで陛下相手に割とごねた。
ほぼ管理されていないことも、そこでやせ細りボロボロになっていたことも話したが、陛下はいまだにルキヤンを忌子とみなし恐れているようで全く聞く耳を持たなかった。
仕方ないので、無視して勝手に離宮の一部を直したり、中で働く人材を連れて行ったりした。
後、物資がまともに届くように整え、さらにひとり監視を置いてルキヤンを常に見張れる体制にしてから、離宮へ返した。
(陛下と本気ではやり合うつもりはないが、もしルキヤンがまた不幸になるならその時は……)
ただ、その後も側妃がルキヤンに嫌がらせをし続けていて、届くはずのものが半分程度しか入っていないことが監視から報告で上がった。
(もう、これは陛下への忠誠など無視してクーデターを起こしてでもルキヤンを救うべきだろうか……)
ルキヤンのためなら、国を滅ぼすことにも実は罪悪感はない。むしろ側妃も処刑して国をキレイキレイしてしまうのもよいかもしれない。
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長いので一旦ここで切ります。
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