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38:悪質なストーカーからの手紙のよう
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リアムは質の悪い笑みを浮かべた。ちょいちょいするこの顔が、実はあまり慣れない。
なんとなくリアムはもっとヘタレっぽい表情とかドMっぽい感じのイメージが強くあるせいかもしれない。
(ギャップ萌えなんか変態玄関マット魔術師にするはずない)
「どうしたの??マイ・クイーン」
「なんでもないわ。それよりさっさと教えなさい」
なんとなく腹が立ったのでリアムを睨むと、先ほどまでの表情は消えていつもの玄関マットに戻っていた。
「くううう、良いね、命令最高。玄関マット冥利に尽きるよ。もちろんさ、マイ・クイーン。側妃は正妃様にある嫌がらせをしているんだよ」
リアムはそう言って、とても恐ろしい話をはじめる。
「側妃側の息のかかった侍女が正妃様側にいるんだけど、その侍女が正妃様にお茶を出しているんだけど、紫色の珍しいそのお茶を正妃様はとても好んでいらっしゃる。ただ、あのお茶には子供ができにくくなる作用があるんだ」
「それって……」
「側妃のところへ陛下の渡りはない。ただ、アレク様がいるから一応は安泰だけれど、もしも、正妃様に男の子が生まれたらアレク様の立場も変わる可能性がある。唯一の皇子だからという理由で皇太子だけど、正直、正妃様の子供の方が権力的には、王位継承権は上だからね」
薄々は感づいていたが、側妃は自身のためならばどんなことでもするタイプの人間であることを再度確認した。前の時間軸で嫌悪剤の影響もあるが、彼女は私を嫌いたまに嫌がらせをしてきた。
それは、ルキヤンとふたり離宮に居る時に知ったことだった。離宮での生活は最低限の食事と物資しかなかった。それなのに、その食事や物資に定期的に嫌がらせがあったのだ。
例えば、少ない食事の中にたまに、完全にかびたパンのような食べることができない物が混ざっている。物資も新しい服には針が仕込まれていたり、一度とても綺麗なドレスがありびっくりしたけれど、嬉しくなり着たいと思ったところで、「これは間違いだった。お前にこんな良いドレスが来るわけない」と離宮の下女が薄ら笑いをしながら取り上げたのを思い出す。
このふたつは一見すると離宮の使用人の嫌がらせのようだったが、その裏に側妃様がいた。彼女が下女や下男にわざとそうするように言い渡していたらしい。
元々、下女も下男もストレスがたまる仕事だ。だからその生贄に私やルキヤンはされた。
(今、思いだしても腹が立つ、それに……)
前世の冤罪の決定打を下したのは側妃様だった。彼女が専門家に調べさせて私が毒を盛った事実を確認したと言っていた。
離宮から出ることができない私達に、できることなんかないのに全てのでっち上げをおこない私は地下牢へ処刑されるために連行された。
「確かにその情報は使えるわね。ただ、どう使うかが問題ね、私達が直接動くことは年齢を考えても危険すぎるし……」
「そうだね……」
リアムとしばらく考えていて、フッとマクシム様が浮かんだ。
「そうだ、そうよ。マクシム様よ。彼にこの情報と忌子の情報を両方流しましょう。そうすれば私達ではなくあの人が動くはず。正妃様は、マクシム様のお姉様だし、ただで済まさないはずよ」
「やはりそうなるか」
「問題は彼への情報提供方法ね」
私は難しい顔で頭を捻る。手紙はもっとも安全だが、他者に読まれるリスクがある。ただ、会いに行って会えるかは怪しい。なんせ子供とはいえ派閥が違うのだから……。
「マイ・クイーン。ちょっと荒業になるけどある方法をとればいけるかもしれない。実は僕は時を止める時に特定の方法で、止まった世界に任意の人物を呼べるんだ」
「なるほど、つまり時を止めてマクシム様と話すということね」
「ああ。ただ、それには膨大な力が必要で、あまり長時間は時を止められないことともうひとつ大きな問題がある。いきなり時が止まって目の前に見ず知らずの人物がいたらどう思う??」
「不審者だなと思って背後から殴るわ」
「いいね、ぜひマイ・クイーンに殴られたい。じゃなかった。そういうことだよ、僕と彼との間に接点がない、君も同じだとおもうけど……」
つまりは、リアムが時を止めてマクシム様に会えば問題ないが、そのためになんとか呼び出したりする必要は結局あるということらしい。
「やっぱり手紙を書くしかないわね」
「そう言われると思って一応先に手紙は書いたのだけど……ちょっと信用してもらえるかが不安でね」
何故かモジモジするリアムから、どこからともなく出した手紙を一旦受け取り読んでみたが……。
『マクシム様へ
今日、お前の部屋へ入ってやるぞフフフフフフフフ』
「なにこの悪質なストーカーからみたいな手紙は、気持ち悪いしストーカーでしかないわ。却下よ」
あまりに壊滅的な手紙のセンスにヤンデル殿下と同じにおいがした。
「うーん、だめか。ストレートに思いを伝えたんだけど」
「ストレート過ぎて気持ち悪いのよ。大体手紙に笑い声とかいらないわよ」
なんとなくリアムはもっとヘタレっぽい表情とかドMっぽい感じのイメージが強くあるせいかもしれない。
(ギャップ萌えなんか変態玄関マット魔術師にするはずない)
「どうしたの??マイ・クイーン」
「なんでもないわ。それよりさっさと教えなさい」
なんとなく腹が立ったのでリアムを睨むと、先ほどまでの表情は消えていつもの玄関マットに戻っていた。
「くううう、良いね、命令最高。玄関マット冥利に尽きるよ。もちろんさ、マイ・クイーン。側妃は正妃様にある嫌がらせをしているんだよ」
リアムはそう言って、とても恐ろしい話をはじめる。
「側妃側の息のかかった侍女が正妃様側にいるんだけど、その侍女が正妃様にお茶を出しているんだけど、紫色の珍しいそのお茶を正妃様はとても好んでいらっしゃる。ただ、あのお茶には子供ができにくくなる作用があるんだ」
「それって……」
「側妃のところへ陛下の渡りはない。ただ、アレク様がいるから一応は安泰だけれど、もしも、正妃様に男の子が生まれたらアレク様の立場も変わる可能性がある。唯一の皇子だからという理由で皇太子だけど、正直、正妃様の子供の方が権力的には、王位継承権は上だからね」
薄々は感づいていたが、側妃は自身のためならばどんなことでもするタイプの人間であることを再度確認した。前の時間軸で嫌悪剤の影響もあるが、彼女は私を嫌いたまに嫌がらせをしてきた。
それは、ルキヤンとふたり離宮に居る時に知ったことだった。離宮での生活は最低限の食事と物資しかなかった。それなのに、その食事や物資に定期的に嫌がらせがあったのだ。
例えば、少ない食事の中にたまに、完全にかびたパンのような食べることができない物が混ざっている。物資も新しい服には針が仕込まれていたり、一度とても綺麗なドレスがありびっくりしたけれど、嬉しくなり着たいと思ったところで、「これは間違いだった。お前にこんな良いドレスが来るわけない」と離宮の下女が薄ら笑いをしながら取り上げたのを思い出す。
このふたつは一見すると離宮の使用人の嫌がらせのようだったが、その裏に側妃様がいた。彼女が下女や下男にわざとそうするように言い渡していたらしい。
元々、下女も下男もストレスがたまる仕事だ。だからその生贄に私やルキヤンはされた。
(今、思いだしても腹が立つ、それに……)
前世の冤罪の決定打を下したのは側妃様だった。彼女が専門家に調べさせて私が毒を盛った事実を確認したと言っていた。
離宮から出ることができない私達に、できることなんかないのに全てのでっち上げをおこない私は地下牢へ処刑されるために連行された。
「確かにその情報は使えるわね。ただ、どう使うかが問題ね、私達が直接動くことは年齢を考えても危険すぎるし……」
「そうだね……」
リアムとしばらく考えていて、フッとマクシム様が浮かんだ。
「そうだ、そうよ。マクシム様よ。彼にこの情報と忌子の情報を両方流しましょう。そうすれば私達ではなくあの人が動くはず。正妃様は、マクシム様のお姉様だし、ただで済まさないはずよ」
「やはりそうなるか」
「問題は彼への情報提供方法ね」
私は難しい顔で頭を捻る。手紙はもっとも安全だが、他者に読まれるリスクがある。ただ、会いに行って会えるかは怪しい。なんせ子供とはいえ派閥が違うのだから……。
「マイ・クイーン。ちょっと荒業になるけどある方法をとればいけるかもしれない。実は僕は時を止める時に特定の方法で、止まった世界に任意の人物を呼べるんだ」
「なるほど、つまり時を止めてマクシム様と話すということね」
「ああ。ただ、それには膨大な力が必要で、あまり長時間は時を止められないことともうひとつ大きな問題がある。いきなり時が止まって目の前に見ず知らずの人物がいたらどう思う??」
「不審者だなと思って背後から殴るわ」
「いいね、ぜひマイ・クイーンに殴られたい。じゃなかった。そういうことだよ、僕と彼との間に接点がない、君も同じだとおもうけど……」
つまりは、リアムが時を止めてマクシム様に会えば問題ないが、そのためになんとか呼び出したりする必要は結局あるということらしい。
「やっぱり手紙を書くしかないわね」
「そう言われると思って一応先に手紙は書いたのだけど……ちょっと信用してもらえるかが不安でね」
何故かモジモジするリアムから、どこからともなく出した手紙を一旦受け取り読んでみたが……。
『マクシム様へ
今日、お前の部屋へ入ってやるぞフフフフフフフフ』
「なにこの悪質なストーカーからみたいな手紙は、気持ち悪いしストーカーでしかないわ。却下よ」
あまりに壊滅的な手紙のセンスにヤンデル殿下と同じにおいがした。
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