【第1部終了】断罪されて廃嫡された元王子に転生した僕は救国の英雄の叔父に監禁されえげつない目にあうようです

ひよこ麺

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35.「ヤンデレ職人」のスキルの真価に気付くとき

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このタイミングで兄上が帰ってきたとしたらまずいし、マックスがいるのがバレるのも良くない。

「マックスたん、一旦このお部屋でまっててぐだちゃいね」

そう赤ちゃん言葉で、最高の癒しである可愛いマックスたんを泣く泣く個室に待機させて、僕は何食わぬ顔で外に出た。

部屋を出ると、グレゴリーが立って居た。彼はどうやら僕に食事を運んできてくれたらしい。

(そういえばこの家に来てから僕食事した記憶がないぞ)

兄上にお散歩(意味深)とキレイキレイ(やはり意味深)されたり、怖い目にあわされてすっかり食欲を失ってたいた。

でも、三大欲求のひとつは素直なもので、その良い香りにグーっと音が出てしまう。

「ルーク殿下、お加減はいかがですか?」

「……大丈夫」

グレゴリーが心配そうに僕を見ている。昨日、僕が兄上にリードを引かれて屋敷内をお散歩(意味深)しているのを、不幸にも目撃してしまっただろうから、グレゴリーの反応は正常の範囲だろう。

けれど、正直なんて答えるのが正解がわからないのでとりあえず無難に答えた。

(普通に明らかにやべぇプレイしている時に、心配で声かけられても何も言えないと思うんだよね。というか何言っても墓穴しか掘らないというか……)

グレゴリーは気遣わしげにしながらスープを準備していく。本来この国のマナー的には一番最初には『小前菜』、『前菜』が出てからスープというマナーなのだけれど、僕は野菜が割と苦手で、スープから飲みたいとよく駄々をこねていた。

それを覚えてくれているらしく、彼は枝豆のポタージュスープを最初に準備してくれた。

(グレゴリーは僕の狂信者だからか色々細かい部分に気が付いてくれる子だったよな)

ちなみに今準備してくれた枝豆のポタージュスープは、僕の一番好きなスープだ。枝豆の香りとポタージュのクリーミーな味わいが優しい感じがして幸せな気持ちになったのを覚えている。今もお腹にスープが入った瞬間やさしさに包まれたような幸福感に満たされた。

その他に出された料理も全てが全て、懐かしい王城のコックの味がする僕の好きなものばかりだった。そのせいか、何故だか涙が零れた。

無自覚だったけど、当たり前だった日常が突然変わってしまったことに対してストレスがたまっていたのかもしれない。

「ルーク殿下。こちらお使いください」

目の前に上質な白いハンカチが差し出された。僕はそれを有難く受け取り涙を拭った。涙を拭い終わったそれはグレゴリーが回収してくれた。小さな声で、

「ルーク殿下の涙が染み込んだこのハンカチは家宝にしよう」

と呟きさぇしなければ、100点でしたが、その呟きにより100点から-100点となりました。やはりグレゴリーは狂信者だね、怖いよ。

(この屋敷の人、大体怖いよな……)

ここに連れてきたエドワードもマーティンガチ勢のヤンデレだし、グレゴリーも狂信者というある意味ヤンデレの類だし、兄上はそのボスにふさわしい最恐ヤンデレだし……むしろ3人でヤンデレ同盟でも結んでいるのかしら。

いや違うな、僕のスキル「ヤンデレ職人」だわ。つまり僕が丹精込めて作っちまった怪物達キマイラたちでしたね。どうあがいても絶望。

「ルーク殿下、何かお困りではありませんか?」

リアルタイムで監禁されたり、かゆきもされそうで困ってますがとは言えない。

「うーん、このハーネスがあるとお部屋を動きにくくて辛いんだ。後ちょっと痛いかな」

後半の痛いは嘘である。どういう原理かわからないけど、ハーネスで拘束されているのに痛みはない。でも動きづらいし、いざ逃げる時に邪魔であるから外して欲しいという下心だ。

「申し訳ありません。本来なら外して差し上げたいのですが、今の段階ではレイズ殿下の許可もございませんので」

「そっか。兄上の許可がないと外せないなら仕方ない。ねぇグレゴリーにふたつお願いがあるのだけれど……」

僕はなるべく自分が美しく見える角度に首を曲げてグレゴリーを見た。ちなみに兄上と叔父様はこの世の至宝ともいえるほど類まれな美しさを持っているけれど、僕はそこまでではない。けれど美形かと聞かれたら一応美形らしいので中の中程度の美形と覚えておいて頂きたい。

けれど、グレゴリーは僕を至宝の美形と褒め称すほめそやす。むしろ僕をなんか神格化しているところがあるから、その角度は効果があるはずだ。

「何でございますか、ルーク殿下」

グレゴリーに効果てきめんだ。他の貴族からは『氷の貴公子』と呼ばれているグレゴリー。僕には尻尾を振るわんこ系狂信者に見える。今も僕の命令をそわそわしながら、嬉しそうに待っている。

「ひとつ目は、ヒマワリの種を準備してほしい。おやつに食べたいんだ」

これは可愛いマックスたんのご飯だ。マックスたんとはこのホラー屋敷での唯一無二の癒しの存在であり、いざという時は、僕の貞操を生贄に叔父様を召喚してくれるありがたい神のような存在でもある。もふもふとはとにかく正義。

なので、そのマックスたんのご飯がないというのは問題である。

「かしこまりました。すぐにご準備させて頂きます」

すごく良い笑顔で言われて、ああ、こういうところがグレゴリーって憎めないんだよねと思う。僕は動物にとても優しい男なので、ちょっとわんこみたいなグレゴリーは狂った言動さぇなければ普通に可愛いなって思う。

「もうひとつは、知っていたら聞きたいんだけど、僕がここに来た時に付けていたペンダントを知らない?シルバーに青い石がハマっているのだけれど……」

ペンダントのことを聞いた途端、先ほどまでわんこみたいに見えない尻尾、エア尻尾をぶんぶんしていたグレゴリーの動きが止まった。

(何か知っているみたいだな……)
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