92 / 126
89.狂気親子を退けるためのルーク君の秘策
しおりを挟む
僕は部屋に戻り、あのふたりをなんとか一旦帰宅させるための秘策に必要なものの準備をした。それから、それを持ってインターフォン越しにやりとりしている叔父様の側に向かった。
「ルーク。危ないからダメだ、姿を見せてはいけない」
「大丈夫です、僕はふたりに伝えたいことがあって……わぷっ!!」
そう言った僕を叔父様が結構、強い力で抱き寄せた。そのおかげで叔父様の逞しい胸板に潰される。叔父様は、僕の耳元で囁く。
「僕の愛する花嫁を狂戦士に見せるのは嫌だ」
「ぷっ」
狂戦士の言葉に思わず吹き出した。叔父様もあのふたりのことをそういう目で見ていたんだと知ってちょっとほっとする。彼等は正気度吸引機だからね。僕の水たまり製造機と良い勝負の不名誉称号持ちだからね。
「マクス、一瞬ルークが見えたのに何故隠した!!」
「そうです!!神を岩戸に隠すのはおやめください、不敬です」
正気度吸引機達からブーイングが出てしまう、正直、ふたりは僕を取り戻すつもりで来ているから当たり前ではあるけれど。しかし、次の言葉にすくみ上る。
「マクス!!ルークを解放しなさい、ああ、もうこれはこの邪魔なドアを破壊すべきか?」
「そうですね、父上、我々とルーク殿下を隔てるこの腐れ扉を破壊すべきです。そうしなければ至純の宝が傷つけられてしまう」
とても不穏な話合いが聞こえて僕は急いでそれを止めるためにインターフォン越しに姿を現す。
「らめぇ!!ドア破壊は絶対にだめです。器物損壊は最低です、ふたりのこと嫌いになりますよ!!」
器物破損はダメ絶対、大体この屋敷は一応僕と叔父様のスウィートホームなのだから、例え叔父様が秒で修繕できるとしても傷つけたくない。
「すまない、ルーク」
「ルーク殿下、申し訳ございません」
神速で謝られた。とりあえず僕は作戦を続ける。
「ありがとうございます。実はふたりの言葉を聞いて、僕自身の想いを手紙にしたためました」
そう言って、先ほど書いた手紙をヒラヒラと見せる。白い封筒に入ったそれが良く見えるように画面に近付ける。
手紙をちらつかせた瞬間、完全に画面がアイスブルー色に染まる、つまり画面いっぱいに近付けて見ている親子ふたりの目がドアップで映し出されているということだ。怖い、完全に某ホラーだよ。赤い部屋ならぬ青いインターフォンとかそんな話になりそう。怖い。
「まだ2歳7ヵ月のルークが、この手紙を書いただって、もう文字が書けるなんてルークは天才だ」
「神からの素晴らしい導き、必ずや遂行いたします」
ベルダンディ公爵の中の僕がさらに1ヵ月ほど若返っていたし、何やらグレゴリーは僕の手紙を神の啓示か何かと取り違えているけれど、もうどうでも良い。考えたら正気を失う。
「この手紙がおふたりとも欲しいですか?」
ヒラヒラさせると、画面のアイスブルーの瞳孔がそれを追うのが分かる。素直な反応です。
「もちろん、ぜひ読ませておくれ」
「はい、必ず拝読いたしたく」
「なら、これから郵便受けからこちらをお渡しします。ただ、恥ずかしいので必ず一旦ご帰宅されてからお読みいただきたく、もしここで開いたら……」
僕はわざとらしく、そこで言葉を止める。すると「ごくり」の唾を飲み込む音がした。
(よし、これはうまくいけそうだ)
「嘘をつくようなおふたりのことを大嫌いになります」
既にだいぶ苦手意識があることはこの際、隠しておこう。
「嫌だ、ルークに嫌われたらおとうしゃまは生きて行けない」
「神から見放されたら死あるのみ」
ここで、最高のルークスマイルを作り、ふたりに向けて少し小首をかしげる。
「だから、必ず約束を守ってぴょん」
「必ず守る」
「絶対守ります」
(よし、なんとか狂人どもを誘導できる)
そう確信して、僕は例の手紙をふたりのいる扉についている郵便受けっぽい小窓から投げた。それを恭しく拾いベルダンディ公爵はそれはそれは壊れ物でも扱うように、大切そうに胸ポケットへしまい込んだ。
「ルークの大切な手紙を確認しなければいけない。グレゴリー、とりあえず一旦戻ろう」
「そうですね、父上」
ふたりが帰っていくのを見送り、僕はその場にへたり込んだ。
「べルダンディ公爵達への手紙には一体何を書いたのだい?」
叔父様が心配そうに聞いた。その表情から何か大切なことが書かれていると誤解させてしまったらしい。
「それについては、清書前の原文が残ってます。こちらと同じ文章なので見てください」
そう言って該当の文章を叔父様に渡した。
「これは……」
叔父様は、しばらく絶句していたが、その後、耐え切れなくなったように吹き出した。
「これは……これはいろんな意味ですごいな」
「いやーっ、ふたりにどうにか帰ってもらいたかったので……ただ、あの勢いだと明日も来そうですよね」
折角、叔父様と結婚したし、叔父様も休暇中なのでもっとふたりでゆっくりしたいし、初夜もちゃんとしたいのにとか考えて深いため息が漏れる。
そんな僕の髪を叔父様が優しく撫でた。
「もう少し、休んでからにするつもりだったが、新婚旅行に行こう」
「ルーク。危ないからダメだ、姿を見せてはいけない」
「大丈夫です、僕はふたりに伝えたいことがあって……わぷっ!!」
そう言った僕を叔父様が結構、強い力で抱き寄せた。そのおかげで叔父様の逞しい胸板に潰される。叔父様は、僕の耳元で囁く。
「僕の愛する花嫁を狂戦士に見せるのは嫌だ」
「ぷっ」
狂戦士の言葉に思わず吹き出した。叔父様もあのふたりのことをそういう目で見ていたんだと知ってちょっとほっとする。彼等は正気度吸引機だからね。僕の水たまり製造機と良い勝負の不名誉称号持ちだからね。
「マクス、一瞬ルークが見えたのに何故隠した!!」
「そうです!!神を岩戸に隠すのはおやめください、不敬です」
正気度吸引機達からブーイングが出てしまう、正直、ふたりは僕を取り戻すつもりで来ているから当たり前ではあるけれど。しかし、次の言葉にすくみ上る。
「マクス!!ルークを解放しなさい、ああ、もうこれはこの邪魔なドアを破壊すべきか?」
「そうですね、父上、我々とルーク殿下を隔てるこの腐れ扉を破壊すべきです。そうしなければ至純の宝が傷つけられてしまう」
とても不穏な話合いが聞こえて僕は急いでそれを止めるためにインターフォン越しに姿を現す。
「らめぇ!!ドア破壊は絶対にだめです。器物損壊は最低です、ふたりのこと嫌いになりますよ!!」
器物破損はダメ絶対、大体この屋敷は一応僕と叔父様のスウィートホームなのだから、例え叔父様が秒で修繕できるとしても傷つけたくない。
「すまない、ルーク」
「ルーク殿下、申し訳ございません」
神速で謝られた。とりあえず僕は作戦を続ける。
「ありがとうございます。実はふたりの言葉を聞いて、僕自身の想いを手紙にしたためました」
そう言って、先ほど書いた手紙をヒラヒラと見せる。白い封筒に入ったそれが良く見えるように画面に近付ける。
手紙をちらつかせた瞬間、完全に画面がアイスブルー色に染まる、つまり画面いっぱいに近付けて見ている親子ふたりの目がドアップで映し出されているということだ。怖い、完全に某ホラーだよ。赤い部屋ならぬ青いインターフォンとかそんな話になりそう。怖い。
「まだ2歳7ヵ月のルークが、この手紙を書いただって、もう文字が書けるなんてルークは天才だ」
「神からの素晴らしい導き、必ずや遂行いたします」
ベルダンディ公爵の中の僕がさらに1ヵ月ほど若返っていたし、何やらグレゴリーは僕の手紙を神の啓示か何かと取り違えているけれど、もうどうでも良い。考えたら正気を失う。
「この手紙がおふたりとも欲しいですか?」
ヒラヒラさせると、画面のアイスブルーの瞳孔がそれを追うのが分かる。素直な反応です。
「もちろん、ぜひ読ませておくれ」
「はい、必ず拝読いたしたく」
「なら、これから郵便受けからこちらをお渡しします。ただ、恥ずかしいので必ず一旦ご帰宅されてからお読みいただきたく、もしここで開いたら……」
僕はわざとらしく、そこで言葉を止める。すると「ごくり」の唾を飲み込む音がした。
(よし、これはうまくいけそうだ)
「嘘をつくようなおふたりのことを大嫌いになります」
既にだいぶ苦手意識があることはこの際、隠しておこう。
「嫌だ、ルークに嫌われたらおとうしゃまは生きて行けない」
「神から見放されたら死あるのみ」
ここで、最高のルークスマイルを作り、ふたりに向けて少し小首をかしげる。
「だから、必ず約束を守ってぴょん」
「必ず守る」
「絶対守ります」
(よし、なんとか狂人どもを誘導できる)
そう確信して、僕は例の手紙をふたりのいる扉についている郵便受けっぽい小窓から投げた。それを恭しく拾いベルダンディ公爵はそれはそれは壊れ物でも扱うように、大切そうに胸ポケットへしまい込んだ。
「ルークの大切な手紙を確認しなければいけない。グレゴリー、とりあえず一旦戻ろう」
「そうですね、父上」
ふたりが帰っていくのを見送り、僕はその場にへたり込んだ。
「べルダンディ公爵達への手紙には一体何を書いたのだい?」
叔父様が心配そうに聞いた。その表情から何か大切なことが書かれていると誤解させてしまったらしい。
「それについては、清書前の原文が残ってます。こちらと同じ文章なので見てください」
そう言って該当の文章を叔父様に渡した。
「これは……」
叔父様は、しばらく絶句していたが、その後、耐え切れなくなったように吹き出した。
「これは……これはいろんな意味ですごいな」
「いやーっ、ふたりにどうにか帰ってもらいたかったので……ただ、あの勢いだと明日も来そうですよね」
折角、叔父様と結婚したし、叔父様も休暇中なのでもっとふたりでゆっくりしたいし、初夜もちゃんとしたいのにとか考えて深いため息が漏れる。
そんな僕の髪を叔父様が優しく撫でた。
「もう少し、休んでからにするつもりだったが、新婚旅行に行こう」
10
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
塩対応の同室αが実は俺の番を狙っていた
雪兎
BL
あらすじ
全寮制の名門学園に入学したΩの俺は、入寮初日から最悪の同室相手に当たった。
相手は学年でも有名な優等生α。
成績優秀、運動もできる、顔もいい。なのに——
めちゃくちゃ塩対応。
挨拶しても「……ああ」。
話しかけても「別に」。
距離も近づけないし、なぜか妙に警戒されている気がする。
(俺、そんなに嫌われてる……?)
同室なのに会話は最低限。
むしろ避けられている気さえある。
けれどある日、発情期トラブルで倒れた俺を助けてくれたのは、
その塩対応αだった。
しかも普段とは違い、必死な顔で言われる。
「……他のαに近づくな」
「お前は俺の……」
そこで言葉を飲み込む彼。
それ以来、少しずつ態度が変わり始める。
距離は相変わらず近くない。
口数も少ない。
だけど――
他のαが近づくと、さりげなく間に入る。
発情期が近いと察すると、さりげなく世話を焼く。
そして時々、独占欲を隠しきれない視線。
実は彼はずっと前から知っていた。
俺が、
自分の運命の番かもしれないΩだということを。
だからこそ距離を取っていた。
触れたら、もう止まれなくなるから。
だけど同室生活の中で、
少しずつ、確実に距離は変わっていく。
塩対応の裏に隠されていたのは――
重すぎるほどの独占欲だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん<山野 石郎>改め【イシ】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中……俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない<覗く>という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
