ヴェリテ〜賢竜帝様の番は過ちを犯し廃嫡されて幽閉されている元王太子で壊れていました

ひよこ麺

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56.始祖様と聖母ルキア様と……(竜帝様視点)

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ネコ科の造反とイヌ科の骨抜きにより、思ったよりずっと早く決着がついた俺達は首謀者のネコ科王子を捕縛した。とりあえず、彼を人質にしつつこの度の愚行については隣国に後ほど賠償など請求するとして、問題はあまりに早く片付きすぎたので今戻るとガトーの脇ちゅ~〇を見るという悪夢があり得るということだ。

「竜帝様、ガトーしゃんが危ないです。早く王城に戻りましょうにゃ!!」

そう涙目でミケが俺に言った。ガトーが危ないのも事実だが脇ちゅ~〇により連れて行った者がほぼ全員正気度を失うのとどちらがまずいかついつい天秤にかけてしまう。後、ガトーは玄関マットなのでむしろ焦らした方が良い気も勝手にしている。

「うーん、どうしたものか」

顎を撫でながら考えていた時、突然目の前に光が降りてきた。あまりに突飛な出来事に少し驚いたがこの光には見覚えがある。

「聖母ルキア様」

間違いない、竜人達の全ての母であり源であるその人だった。その雰囲気がなんとなく愛しのルーエリンに似ているなと今更思った。

「ドラクロア、相変わらずその外観や規格外の力がヨグにそっくりです。しかし性格は僕よりだと思っています。だからこそ大切な話をしなければいけません。さっさと王城に戻りなさい。ガトーが危ないです」

「危ないとは……、ヤツには人質も取らせてますが……」

「蛇の長である竜神がガトーの貞操を狙ってます」

なんだその地獄みたいな話は。あの全裸の脇ちゅ~〇のマタタビ竜人に欲情するとか、レベルが高すぎる。

「いや、いくら造詣がルキア様寄りでも、全裸の脇ちゅ~〇のマタタビ竜人はありえないとおもうのですが……」

「脇ちゅ~〇のマタタビ竜人でも第2夫人にしたいようです。なんにせよ、ガトーも僕の可愛い子孫です。ドラクロアはとても強い竜人なのだから助けてあげなさい」

ルキア様が、無表情だが少し怒ったように言葉を告げた時、再び光が降りてきました。ちなみにその光も俺には見覚えがあった。

「ティラノたん!!もう、なんでいきなりいなくなったの!!折角、また巣籠してエッチなことしようって話になってたのにって!!ドラクロア。えっ、まさかお前、番見つからな過ぎて僕似ているのをいいことにティラノたんにエッチなことしようとしたの??エロNTR同人みたいに!!」

そう、キングオブ変態である、我らが始祖のヨグ様がとんでもないこと言いながらやってきた。びっくりするほど見た目はそっくりだが、絶対にその内面は似ていて欲しくない竜神の筆頭だ。むしろ外観はともかく中身はガトーのが似ていると思う。

「番は見つかりましたし、ルキア様にはそういう感情は抱いてません」

「そんなこと言って。ドラクロアは僕の分身みたいな存在だからね、分かっているよ。でもティラノたんとのNTR展開はあくまでもそういうプレイとして事前に申請してもらわないといけないよ。いくら僕が変態の始祖と呼ばれる玄関マットでも番をエロ同人されるのは……」

「ヨグ、ドラクロアは外見は貴方の生き写しですが内面は貴方寄りではないので本当にきょとんとしてしまっているのでそれ以上はやめなさい。それよりガトーがおじいさまに娶られるのを阻止しないと……」

その言葉に、ヨグ様の空気が変わる。

「えっ!!ガトーたんに何する気!!あのクソじじぃ許さん!!」

そう言うなりそのまま消えた。本当に嵐のような変態である。それを呆れて見ていた僕にルキア様が不快ため息をついた。

「このままでは、貴方の城が危ないです。とりあえずアホの竜神2害、もとい2体とガトーを救ってあげてください」

「……はい。城を守ります」

「ガトーしゃんも俺と一緒に助けてくださいにゃ!!」

「なんかよくわかりませんが、ガトー兄さんの危機、絶対に私も参戦いたします!!」

いつの間にか、ミケとカオロも加わり結局王城に戻ることになった。

「ここの後処理は俺がしておくから安心してくれ兄上」

そう力強く答えてくれたヴィクトールの顔には「脇ちゅ~〇は俺は見たくない」と書いてあった。それでもひとり残すなら辺境伯のヤツが適任だ。

「分かった、お前に任せよう。では、王城へ戻って……」

そう瞬間移動しようとしたとき、突然足元に何かが寄ってきた。

「待ってくださいにゃ!!僕もマタタビ神様をお救いしたいにゃ」

それは小太りの小男の獣人、確かマヌルだったかだ。

「うーん、しかしお前が役に立つとは思えないが……」

正直、ミケも役には立たないが、ガトーの番であるから連れて行くのでありこの小太り小男を連れて行く理由は全くないと思ったときだった。

「竜帝様、その愛らしい子は誰ですか??」

「……愛らしい??」

小太り小男で確かにつぶらな瞳だが愛らしいとは言い難いマヌルを、カオロがその冷たい双眸が溶けるほど愛おしそうに見ている、つまり……。

「ああ、愛らしい君の名を教えておくれ」

「わたしはベンジャミン・マヌル・オールドともうしますにゃ。猫獣人最古の由緒正しい血筋を持つものですにゃ」

「ああ、素晴らしい血筋まで高貴なんて。間違いない。君こそが私の愛しい番……」

「わかった、もう面倒だからマヌルもつれて行こう」

とりあえず、俺は、ミケ、カオロ、マヌルを連れてルキア様が見守る中王城へ帰還したのだった。
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