【完結済み】男装姫はお役御免になったので自由に生きるつもりがなぜか過保護なストーカーだらけになりました

ひよこ麺

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23.美しい(プルプラ視点)

私、プリプラ・アフロディーテは生まれた時から美しかった。美とは私のためにある言葉だと信じていたし、周りのすべてが霞んで見えるのが当たり前だった。

そんな私の自信を打ち砕いた人物は、この国の王太子ルーファス殿下だった。

初めて夜会で彼を目にした日、私は生まれて初めて感じる激しい嫉妬に襲われた。

何もしないのに、かの人からはまるで月の女神のような美しい気品が溢れていて今まで誰よりも自身があった自分の美しさに疑問を抱くようになってしまった。

そうして、私は初めて白雪姫の魔女の気持ちを理解した。

彼女は白雪姫が現れるまで確かにこの世界で一番美しかった。けれど、白雪姫が生まれた時からその座を奪われたのだ。

(……私はその座を誰にも譲るつもりはない)

そう思った時、私は、ルーファス殿下の妹であるローザ姫に接近していた。ローザ姫は全く美しくなかったがだからこそ一切嫉妬する気持ちが起きなかった。

そもそもルーファス殿下は男でありながらあまりに完璧に美しかった。

それが私の対抗心に火をつけてしまった。もし女の子であれば私は、むしろその美をただただ素直に称賛できただろう。

だから、ローザ姫と手を組んでルーファス殿下に嫌がらせをしたことがあった。私達が手を下したことは、バレなかったが計画は全裸で堂々とパーティーに参加するような野蛮な狼男によって防がれてしまった。

(……必ず、あの完璧な美しさを崩したい)

次なる作戦を練っていた時、突然ルーファス殿下がおかしくなった。

いや、見た目は変わらないはずなのに以前の輝きを完全に失い、さらに知性まで無くしてしまった。

理由が分からず、独自のルートとローザ姫にそのことを伝えると、今まで見たことのないような笑顔を浮かべたローザ姫が信じられない言葉を告げた。

「今までお兄様を演じていたのはただのなのよ。でも、お母様に口封じに殺されたそうよ」

、私が憧れた美の持ち主、今まで高貴な血筋だから嫉妬しながらもギリギリ許せていたその人物がだったという事実にショックを受けてしばらく寝込んだ。

そんな時、ローザ姫から評判の良い刺繍師がいるから国王陛下に贈る刺繡を依頼してほしいと言われた。

簡単にひれ伏させられるような平民だと聞いていたので、その人物に会いに行った私は絶句した。

そこに居たのはあまりに美しい人、ルーファス殿下に感じたのと同じ光を感じるこの世の者とは思えないほどの美の持ち主、ルーナと名乗ったが私が間違えるはずはない。

ローザ姫が死んだと言った、、そしてそもそも男ではなく美しい少女だったその人を見た瞬間、自分のものにしたくなった。

彼女のためだけに美しく飾った部屋に閉じ込めて、その美しい夕闇のような紫の瞳に自分だけを映してほしい。

しかし、その甘美な願いは隣国の皇族であるマルクス殿下の妨害で破れた。

のはずがなぜマルクス殿下が庇ったのか、不可解だったので調べると彼女に関する不思議な噂を耳にすることになった。

曰く、彼女は隣国の高名な貴族が買い取った家に暮らしているというのだ。そうして、ある仮説が浮かんだ。

などではなく、彼女はなんらかの事情で表に出られなかった王族、または隣国の高貴な身分の人物なのではないのだろうかと。

しかし、それは秘匿されている。そして、今の彼女の身分は平民。

私の中の悪魔が囁く。

「今ならその美を私だけのものに出来る」

そこからは突き動かされるままに彼女を攫わせた。表向きはローザ姫の願いとして、刺繍のこともあるし間違いではない。

その際に、ローザ姫から手伝いをする人員を送ると言われた。

しかし、そんなヤツらはこないままに、この国の裏で暗躍する一族、ケーセル公爵家の次男、アルバス・ケーセルにより阻まれてしまった。

アルバスはこの世界で、ルーファス殿下と僕の次に美しい男だが、実に喰えない人物でもある。

しかし、美のカケラもない野蛮な狼男に阻まれたあの日よりは屈辱は少ない。

「はぁ、私だけのルーナにしたかったのに……」

そうため息を吐いた時、アルバスに閉じ込められた牢獄へ繋がる鉄扉が開いた音がした。
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