【完結済み】男装姫はお役御免になったので自由に生きるつもりがなぜか過保護なストーカーだらけになりました

ひよこ麺

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39.混乱する王国

王国の混乱は、ある人物の発言から始まったのだという。その人物の名前は、ダプネー公爵があるひとりの若者を王城に連れてきたことからはじまったのだそうだ。

彼は、先代の王で名君と称えられたレオントドン国王陛下に瓜ふたつだったそうだ。私は、おじい様の肖像画などは見たことがなかったので知らないのだがダプネー公爵は、あまりのそっくりさとある疑惑をずっと抱いていたので間違いないと思って王城へ連れてきたのだという。

ダプネー公爵とは、現国王であるお父様を国王にするために後ろ盾となった人物であり、王国で国王すら逆らえないとされる老齢の忠臣だ。

私の記憶の中のダプネー公爵は厳しい人だが、真の通った人で多くのことを学んだ人でもある。ただ、そのダプネー公爵が頑なに妹のことだけは認めていなかったのがずっと不思議だった。

しかし、いくらダプネー公爵の発言でも、国王陛下はそれを認めはしなかった。おじい様に似た若者の年は妹と同じ。それがもし事実なら妹は入れ替えられた子供ということになるのだから。

話し合いは泥沼化し、ついには兄であるルーファス王子にも飛び火した。出生時に王国の者がいない状態で産み落とされたのだから偽物かもしれないと言われ始めたのだ。

しかも、なぜか今まで優秀だったルーファス王子が急に愚かになったことも入れ替わりなどがあったのではないかとされて国王陛下以外の血筋の者をすべて検査すべきではないかということになりそうになっているそうだ。

「……カオスですね。その混乱のせいでお兄様に連絡がつかない状態になっているのですね」

「それだけなら良いのだが……ルーファスの側には腕利きの男を置いている。いざとなればあの男ならなんとかなると思っていたのだが、連絡が途絶えてしまっている」

叔父様の言葉に、ファンの兄のウェイこそが兄の側に居た腕利きの男だと理解した。

「……お兄様の安否を確認する方法はないのでしょうか」

兄に対して、私はいまだに複雑な感情を抱えている。手放しに救いたいと思ってはいない。けれど、ファンのお兄さんは別だ。兄のためにその命を奪われるようなことがあるなら耐え難い。

「……なくはない。ただ……」

叔父様の表情が暗くなったのがわかった。なぜ、そんな表情をするのかわからず首をかしげる。

「それは、この国でルーナがであることを明かす必要が出るということになる」

その言葉に、この国が双子を忌む習慣があることを思い出した。その習慣により、母は歪んだ思考を持つようになったということも。

内心で、そこまでして兄を救いたいかと言えば申し訳ないが答えはNOだった。確かに気の毒だけれど私の中で兄への感情は複雑なままなのだ。

「……この国では双子は忌む者とされるそうですが、そもそも狼を祖とするなら子供は1回で沢山生まれるので奇妙に思うのですが……」

理想のモフモフ、もとい狼になることができるようになったノクスの言葉に、叔父様は決意したように語り始めた。

「ああ。この国の神話は双子を否定していない。しかし、帝国では双子を忌み子とした。その原因は、帝国の血筋には双子が多く生まれやすいことが原因だった。正確には双子が生まれて血なまぐさい争いが何度も起きたため、双子そのものを忌むようになり、生まれるなり殺してしまうようになったといのが事実だ」

「……そんな」

あまりのことに絶句する。なんて残酷な話だろう。双子に罪などない、しかし、皇位継承となった時、確かに双子とは諍いの原因になる。

「しかし、その悪習には終止符を打つべきだろう」
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