40 / 68
39.混乱する王国
王国の混乱は、ある人物の発言から始まったのだという。その人物の名前は、ダプネー公爵があるひとりの若者を王城に連れてきたことからはじまったのだそうだ。
彼は、先代の王で名君と称えられたレオントドン国王陛下に瓜ふたつだったそうだ。私は、おじい様の肖像画などは見たことがなかったので知らないのだがダプネー公爵は、あまりのそっくりさとある疑惑をずっと抱いていたので間違いないと思って王城へ連れてきたのだという。
ダプネー公爵とは、現国王であるお父様を国王にするために後ろ盾となった人物であり、王国で国王すら逆らえないとされる老齢の忠臣だ。
私の記憶の中のダプネー公爵は厳しい人だが、真の通った人で多くのことを学んだ人でもある。ただ、そのダプネー公爵が頑なに妹のことだけは認めていなかったのがずっと不思議だった。
しかし、いくらダプネー公爵の発言でも、国王陛下はそれを認めはしなかった。おじい様に似た若者の年は妹と同じ。それがもし事実なら妹は入れ替えられた子供ということになるのだから。
話し合いは泥沼化し、ついには兄であるルーファス王子にも飛び火した。出生時に王国の者がいない状態で産み落とされたのだから偽物かもしれないと言われ始めたのだ。
しかも、なぜか今まで優秀だったルーファス王子が急に愚かになったことも入れ替わりなどがあったのではないかとされて国王陛下以外の血筋の者をすべて検査すべきではないかということになりそうになっているそうだ。
「……カオスですね。その混乱のせいでお兄様に連絡がつかない状態になっているのですね」
「それだけなら良いのだが……ルーファスの側には腕利きの男を置いている。いざとなればあの男ならなんとかなると思っていたのだが、連絡が途絶えてしまっている」
叔父様の言葉に、ファンの兄のウェイこそが兄の側に居た腕利きの男だと理解した。
「……お兄様の安否を確認する方法はないのでしょうか」
兄に対して、私はいまだに複雑な感情を抱えている。手放しに救いたいと思ってはいない。けれど、ファンのお兄さんは別だ。兄のためにその命を奪われるようなことがあるなら耐え難い。
「……なくはない。ただ……」
叔父様の表情が暗くなったのがわかった。なぜ、そんな表情をするのかわからず首をかしげる。
「それは、この国でルーナが双子であることを明かす必要が出るということになる」
その言葉に、この国が双子を忌む習慣があることを思い出した。その習慣により、母は歪んだ思考を持つようになったということも。
内心で、そこまでして兄を救いたいかと言えば申し訳ないが答えはNOだった。確かに気の毒だけれど私の中で兄への感情は複雑なままなのだ。
「……この国では双子は忌む者とされるそうですが、そもそも狼を祖とするなら子供は1回で沢山生まれるので奇妙に思うのですが……」
理想のモフモフ、もとい狼になることができるようになったノクスの言葉に、叔父様は決意したように語り始めた。
「ああ。この国の神話は双子を否定していない。しかし、帝国では双子を忌み子とした。その原因は、帝国の血筋には双子が多く生まれやすいことが原因だった。正確には双子が生まれて血なまぐさい争いが何度も起きたため、双子そのものを忌むようになり、生まれるなり殺してしまうようになったといのが事実だ」
「……そんな」
あまりのことに絶句する。なんて残酷な話だろう。双子に罪などない、しかし、皇位継承となった時、確かに双子とは諍いの原因になる。
「しかし、その悪習には終止符を打つべきだろう」
彼は、先代の王で名君と称えられたレオントドン国王陛下に瓜ふたつだったそうだ。私は、おじい様の肖像画などは見たことがなかったので知らないのだがダプネー公爵は、あまりのそっくりさとある疑惑をずっと抱いていたので間違いないと思って王城へ連れてきたのだという。
ダプネー公爵とは、現国王であるお父様を国王にするために後ろ盾となった人物であり、王国で国王すら逆らえないとされる老齢の忠臣だ。
私の記憶の中のダプネー公爵は厳しい人だが、真の通った人で多くのことを学んだ人でもある。ただ、そのダプネー公爵が頑なに妹のことだけは認めていなかったのがずっと不思議だった。
しかし、いくらダプネー公爵の発言でも、国王陛下はそれを認めはしなかった。おじい様に似た若者の年は妹と同じ。それがもし事実なら妹は入れ替えられた子供ということになるのだから。
話し合いは泥沼化し、ついには兄であるルーファス王子にも飛び火した。出生時に王国の者がいない状態で産み落とされたのだから偽物かもしれないと言われ始めたのだ。
しかも、なぜか今まで優秀だったルーファス王子が急に愚かになったことも入れ替わりなどがあったのではないかとされて国王陛下以外の血筋の者をすべて検査すべきではないかということになりそうになっているそうだ。
「……カオスですね。その混乱のせいでお兄様に連絡がつかない状態になっているのですね」
「それだけなら良いのだが……ルーファスの側には腕利きの男を置いている。いざとなればあの男ならなんとかなると思っていたのだが、連絡が途絶えてしまっている」
叔父様の言葉に、ファンの兄のウェイこそが兄の側に居た腕利きの男だと理解した。
「……お兄様の安否を確認する方法はないのでしょうか」
兄に対して、私はいまだに複雑な感情を抱えている。手放しに救いたいと思ってはいない。けれど、ファンのお兄さんは別だ。兄のためにその命を奪われるようなことがあるなら耐え難い。
「……なくはない。ただ……」
叔父様の表情が暗くなったのがわかった。なぜ、そんな表情をするのかわからず首をかしげる。
「それは、この国でルーナが双子であることを明かす必要が出るということになる」
その言葉に、この国が双子を忌む習慣があることを思い出した。その習慣により、母は歪んだ思考を持つようになったということも。
内心で、そこまでして兄を救いたいかと言えば申し訳ないが答えはNOだった。確かに気の毒だけれど私の中で兄への感情は複雑なままなのだ。
「……この国では双子は忌む者とされるそうですが、そもそも狼を祖とするなら子供は1回で沢山生まれるので奇妙に思うのですが……」
理想のモフモフ、もとい狼になることができるようになったノクスの言葉に、叔父様は決意したように語り始めた。
「ああ。この国の神話は双子を否定していない。しかし、帝国では双子を忌み子とした。その原因は、帝国の血筋には双子が多く生まれやすいことが原因だった。正確には双子が生まれて血なまぐさい争いが何度も起きたため、双子そのものを忌むようになり、生まれるなり殺してしまうようになったといのが事実だ」
「……そんな」
あまりのことに絶句する。なんて残酷な話だろう。双子に罪などない、しかし、皇位継承となった時、確かに双子とは諍いの原因になる。
「しかし、その悪習には終止符を打つべきだろう」
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】確かにモブ…私モブのはずなんです!
水江 蓮
恋愛
前世の記憶を持つミュリエルは、自分の好きだった乙女ゲームに転生していることに気がついた。
しかもモブに!
自分は第三者から推しを愛でれると思っていたのに…
あれ?
何か様子がおかしいな…?
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。