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12.新しい世界が優しすぎる

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翌日、目を覚ました僕は無意識にいつもの癖で思いっきり伸びをした瞬間、体に激痛が走った。

「ひゅあああああ!!」

あまりの痛みに自分でもなんで出たんだみたいな叫び声が出た。今まで感じたことがないようなその痛みの正体を知るまでにしばらく時間が掛かった。

「あっ……ぼく……団長と……」

昨日の晩のことを思い出して、何故か顔が熱くなるのが分かった。

(絶対に男と寝るなんて嫌だって思ってたはずなのに……)

優しく団長に抱かれて突かれた記憶が、蘇る度にお腹の奧がキュッと妙な甘い疼きを覚えるのが分かる。そんな自分は間違えなく新しい扉を開いてしまったのだろう。

(これが『魔性のケツを持つ男』の実力なのか……それに『お嫁ちゃん』だなんてあんな甘い声で……)

、体痛いだろう??」

そうあの甘い声が耳元から聞こえてえて思わず腰痛を忘れてビクリと腰が跳ねた。

「いたっ!!」

「無理をさせてしまってすまない。薬持ってきたからまずは塗ろうね」

そう言って、大きく節くれだった手で優しく僕の腰に何かを塗ってくれた。そして……、

「これであたためよう」

とあたたかいタオルまで巻いてくれた。さらに、喉が痛いだろうと蜂蜜入りミルクという高価な飲み物まで出されて驚いているとまたとても優しく頭を撫でられた。

「辛いところや痛いところがあったら教えて欲しい」

「あっ……えっと……だいじょうぶでふ」

そう答えると少し寂し気に微笑んでそのまま額にキスを落とされる。

「……辛いだろう??ここもここも……」

そう言って、腰が痛すぎて全て忘れていた箇所に優しく薬が塗られたりしていく、女の子抱いた時にこんなことにはならないので男同士のそれが思ったより激しい行為だったのだと再確認して、急に恥ずかしくなり俯く。

「あっ……ん」

薬のヌルっとした感覚が突然乳首からして思わず変な声が漏れてしまい急いで口を手で覆うが……、

「お嫁ちゃん……可愛い、どうしてこんなに可愛いんだ……守りたい」

そう言って顔中にキスを落とされてそのこそばゆさと恥ずかしさにはわわとかなっていたその時だった。

トントン

部屋の扉、正確には多分この部屋と繋がっている隣の執務室側の扉がノックされたのが分かった。

「……お嫁ちゃん、少し待っていてね」

そう言ってもう一度今度は鼻先にキスを落としてから団長が出て行った。

(団長……)

ドアの方へ向かう背中に何故か寂しいと感じて思わずしがみついてしまった。

「なっ、な……」

「お嫁ちゃん……ごめんね、寂しかったか……では一緒に行こう」

そう言うなり、僕は団長にお姫様抱っこされたまま、ドアの前まで連れて来られた。

「誰だ??今取り込み中だが……」

先ほどまでの甘さのない厳しい声で返した団長に、聞き覚えのある声が答えた。

「団長ぉ、ちょっと昨日ここに連れて来た新入りのことで証言したいことがあるんですけどぉ」

(間違えない、この声は……)

昨日ここへ僕を連れて来た門番の声だった。
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