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ルイ様が帰ってきたら呼ぶようにお願いして部屋で本を読んでいると、思ったよりも早くお世話係さんが呼びに来てくれた。
私は急いで部屋を出て階段をかけおりる。
丁度ルイ様が邸宅の扉を開けたところだった。
「おかえりなさい、ルイ様」
「ただいま。わざわざ出迎えてくれるなんて嬉しいな。
でも階段はゆっくりね。落ちたら困るから」
「はい……、気をつけます。
あの、お怪我はされてませんか?」
聞いてしまってから、そんなことを聞くのは逆に失礼だったかもしれないと思ったけど、ルイ様は笑顔のまま答えてくれた。
「うん、ないよ」
「そうですよね、ルイ様ですもんね。よかった」
「心配してくれたの?」
「するに決まってます」
「ありがとう。
君も私がいない間に怪我をしたり体調を崩したりしてない?」
「大丈夫です」
「よかった。
そうだ、食事はもう済んだ?」
「いえ、ルイ様が戻られると聞いて待ってました」
「それは嬉しい、久々に一緒に食事ができるね。
着替えてから行くから先に行って待ってて」
「はい」
言われた通り先に広間に向かって大人しく待っていると、間もなくルイ様が入ってきて、いつもの定位置に座った。
「やっとひとりご飯から解放された」
食事をしながら久々にルイ様との雑談を楽しむ。
「私もです」
「私が留守の間、困ったことは無かった?」
「はい、大丈夫です。
あ、ルイ様のお部屋から勝手に本をお借りしちゃってます」
「あぁ、いいよ。好きな時に好きな本を持って行って」
「ルイ様のお部屋、本が沢山あって驚きました」
「私もほとんどずっとここにいるもんだから暇で、本を買ったり絵を描いてみたりいろいろやってみたんだ」
なるほど。だからお世話係さんが道具はあるって言ってたのか。
「ルイ様は絵も描けるんですか?」
「多少ね。そんなに上手くはないよ」
とか言っても多分上手いんだろうな。
「ルイ様って苦手なことありますか?」
「苦手なこと……。わからないけど、今まで何かが出来なくて不便に思ったことはないよ。魔法が使えないとたくさんありそうだけどね」
「そうですよね」
魔法が使えちゃうと大抵の事はできるもんね。
でも見ている限り、元のポテンシャルも高そうではある。
「君は?好きな物とかやりたい事があれば、できるだけ叶えてあげられるようにするよ」
「こうやって一緒にご飯食べて、この部屋で本を読むことを許してくれればそれでいいです」
「そんなことでいいの?」
「はい。そんなことができるのはルイ様のおかげなので」
忙しい両親とは別々に食事をすることも少なくなかったし、本は贅沢品だからそれらを読むことはなかった。
それに同じ空間で別のことをしていても、たまに声をかければそれに応えてくれて、目が合えば笑顔が返ってくるというような穏やかな時間を過ごすことも今まではなかったから。
「そっか。
まあ“そんなこと”なんて言った私も、今はそれが一番の楽しみなんだけどね」
「そうなんですか?」
「うん。ここに住んでる子は用がないときは部屋に籠ってるから、今まではひとりで住んでる感覚だったんだけど、今は君のおかげで人がいる気配がして、こういうのもいいなと思ってる」
「少しでもルイ様のお役に立ててる?なら嬉しいです」
「君がいるだけで空気が明るくなるから、いてくれて良かったよ」
「本当ですか?嬉しい」
ルイ様がそう思ってくれているとは知らなくて、ルイ様が私をここに置くメリットってあるのかなと思っていたから、少しでも役立てているのであれば嬉しい。
「……そういえば気になっていたんですけど、私以外にも今までにここに来た人間の方はいるんですよね?」
村では昔生贄にされた人の話は聞いたことがあるし、その人たちもここに来ていたはずだ。
ルイ様からその人たちの話を聞いたことはないけど、その人たちはここでどんなふうに過ごしていたんだろうか。
「いるよ。3人くらい来たかな。
みんな君みたいにたくさん魔力を持っているわけではなかったけど」
「皆さんも私と似たような生活を送ってたんですか?」
「いや、ひとりは魔物がどうしても怖くて引きこもってて、
もうひとりは魔力を持ってるってだけで強くなった気になって魔物に乱暴しようとするから、ちょっと躾けたら引きこもっちゃってた」
「あとひとりは?」
「その子は君みたいに魔物と仲良くしてくれたし、私ともよく話をしてくれたよ。
でも村での生活が恋しいって素振りをよく見せてて、ずっと戻りたいって思ってたと思う」
「いろんな方がいたんですね」
「そうだね」
「私はここでの生活が楽しいし、魔物さんたちはたまにちょっと怖かったりもするけど、村に戻りたいと思ったことはないなぁ……」
「以前迷子を送って行った時もそう言ってたね。
ここでの生活を気に入ってくれているなら嬉しい」
「とても気に入ってます」
私は急いで部屋を出て階段をかけおりる。
丁度ルイ様が邸宅の扉を開けたところだった。
「おかえりなさい、ルイ様」
「ただいま。わざわざ出迎えてくれるなんて嬉しいな。
でも階段はゆっくりね。落ちたら困るから」
「はい……、気をつけます。
あの、お怪我はされてませんか?」
聞いてしまってから、そんなことを聞くのは逆に失礼だったかもしれないと思ったけど、ルイ様は笑顔のまま答えてくれた。
「うん、ないよ」
「そうですよね、ルイ様ですもんね。よかった」
「心配してくれたの?」
「するに決まってます」
「ありがとう。
君も私がいない間に怪我をしたり体調を崩したりしてない?」
「大丈夫です」
「よかった。
そうだ、食事はもう済んだ?」
「いえ、ルイ様が戻られると聞いて待ってました」
「それは嬉しい、久々に一緒に食事ができるね。
着替えてから行くから先に行って待ってて」
「はい」
言われた通り先に広間に向かって大人しく待っていると、間もなくルイ様が入ってきて、いつもの定位置に座った。
「やっとひとりご飯から解放された」
食事をしながら久々にルイ様との雑談を楽しむ。
「私もです」
「私が留守の間、困ったことは無かった?」
「はい、大丈夫です。
あ、ルイ様のお部屋から勝手に本をお借りしちゃってます」
「あぁ、いいよ。好きな時に好きな本を持って行って」
「ルイ様のお部屋、本が沢山あって驚きました」
「私もほとんどずっとここにいるもんだから暇で、本を買ったり絵を描いてみたりいろいろやってみたんだ」
なるほど。だからお世話係さんが道具はあるって言ってたのか。
「ルイ様は絵も描けるんですか?」
「多少ね。そんなに上手くはないよ」
とか言っても多分上手いんだろうな。
「ルイ様って苦手なことありますか?」
「苦手なこと……。わからないけど、今まで何かが出来なくて不便に思ったことはないよ。魔法が使えないとたくさんありそうだけどね」
「そうですよね」
魔法が使えちゃうと大抵の事はできるもんね。
でも見ている限り、元のポテンシャルも高そうではある。
「君は?好きな物とかやりたい事があれば、できるだけ叶えてあげられるようにするよ」
「こうやって一緒にご飯食べて、この部屋で本を読むことを許してくれればそれでいいです」
「そんなことでいいの?」
「はい。そんなことができるのはルイ様のおかげなので」
忙しい両親とは別々に食事をすることも少なくなかったし、本は贅沢品だからそれらを読むことはなかった。
それに同じ空間で別のことをしていても、たまに声をかければそれに応えてくれて、目が合えば笑顔が返ってくるというような穏やかな時間を過ごすことも今まではなかったから。
「そっか。
まあ“そんなこと”なんて言った私も、今はそれが一番の楽しみなんだけどね」
「そうなんですか?」
「うん。ここに住んでる子は用がないときは部屋に籠ってるから、今まではひとりで住んでる感覚だったんだけど、今は君のおかげで人がいる気配がして、こういうのもいいなと思ってる」
「少しでもルイ様のお役に立ててる?なら嬉しいです」
「君がいるだけで空気が明るくなるから、いてくれて良かったよ」
「本当ですか?嬉しい」
ルイ様がそう思ってくれているとは知らなくて、ルイ様が私をここに置くメリットってあるのかなと思っていたから、少しでも役立てているのであれば嬉しい。
「……そういえば気になっていたんですけど、私以外にも今までにここに来た人間の方はいるんですよね?」
村では昔生贄にされた人の話は聞いたことがあるし、その人たちもここに来ていたはずだ。
ルイ様からその人たちの話を聞いたことはないけど、その人たちはここでどんなふうに過ごしていたんだろうか。
「いるよ。3人くらい来たかな。
みんな君みたいにたくさん魔力を持っているわけではなかったけど」
「皆さんも私と似たような生活を送ってたんですか?」
「いや、ひとりは魔物がどうしても怖くて引きこもってて、
もうひとりは魔力を持ってるってだけで強くなった気になって魔物に乱暴しようとするから、ちょっと躾けたら引きこもっちゃってた」
「あとひとりは?」
「その子は君みたいに魔物と仲良くしてくれたし、私ともよく話をしてくれたよ。
でも村での生活が恋しいって素振りをよく見せてて、ずっと戻りたいって思ってたと思う」
「いろんな方がいたんですね」
「そうだね」
「私はここでの生活が楽しいし、魔物さんたちはたまにちょっと怖かったりもするけど、村に戻りたいと思ったことはないなぁ……」
「以前迷子を送って行った時もそう言ってたね。
ここでの生活を気に入ってくれているなら嬉しい」
「とても気に入ってます」
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