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リラとロイド
出逢〜リラとロイド〜(後編)
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リラの学級委員としての振る舞いは皆の予想に反して、期待以上のものだった。
皆をまとめることも上手く、それでいて強制されているような威圧感が全くなかった。
成績も優秀で、人当たりもよく、授業のわからないところをリラに質問する生徒もいたくらいだ。
そんなリラは、生徒からだけでなく教員からの信頼も厚かった。
リラに任せれば問題ない、そんなことを教員たちも口にするくらいだった。
それは、まさにロイドが憧れとしている人物像そのものだった。
ある日の放課後。
ロイドはリラが分厚い書籍を数冊ひとりで抱えてよたよた歩く姿を見かけた。
ロイドは、危ないと思い咄嗟にその書籍を持ち上げた。
「殿下、ありがとうございます。ですが、この後もお忙しいのではないでしょうか。このくらい私ひとりでも大丈夫ですよ。」
リラはにこやかにそう答えるが、どう見ても女性ひとりで任すには些か多すぎる量であった。
「いや、女性にこのような重い物を運ばせるわけにはいかない。ひとりの紳士として、どうか、手伝わせてもらえないだろうか。」
リラは一瞬迷った表情を浮かべたものの、紳士の申し出を無碍にするのはできないと思い、ロイドに半分ほどの書籍を渡した。
「ふふ、ありがとうございます。殿下は、お優しいのですね。私のようなものにもお心遣いいただいけて有難い限りです。」
ロイドは、リラの褒め言葉が素直に受け取り照れ臭くなった。
ロイドに近づくものの大半は皇宮でもアベリア学園でも変わなかった。
多分に褒める教員。
何かと色目を使う令嬢。
冷ややかな視線の令息。
それは『皇族』として『皇子』としての自分がそうさせているのだろう。
誰しも疎まれ、期待される立場に産まれたのだから、仕方ないのかもしれない。
しかし、受け入れる器はまだロイドには持ち合わせていなかった。
そんな中で、リラだけは、自分に期待も嫉妬も執着も何も持ち合わせていないようだった。
目の前のリラは言葉以上の意味もなく、ただ一緒に書籍を運んでいるだけのことへの感謝を述べているのだろう。
「…ありがとう。それで、リラ嬢に聞きたいことがあったのだがよろしいだろうか。」
ロイドは恥ずかし気にリラに尋ねた。
「なぜ、リラ嬢は学級委員に立候補したのだろうか。」
ロイドはずっと気になっていた。
あのとき、リラはなぜ自分に微笑みかけたのだろうか。
不甲斐ない自分を見かねたのだろうか。
それとも、哀れな自分を助ける女神だったのだろうか。
そんな期待とは裏腹にリラは目をぱちくりさせた。質問が意外だったのだろうか。
「え?やりたかったからですよ。あ、もしかして、殿下…。」
リラは言葉を詰まらせた。おそらくロイドが本心では学級員をやりたかったと思ったのだろう。
ロイドは慌ててぶんぶんと首を横に振った。
「いや。そんな。リラ嬢が立候補してくれ、この上なく感謝している。どうやれば、そのように上手く皆をまとめられるのか学びたいくらいだ。」
ロイドは視線を逸らし頬を染めながらそう言った。
「え、そんな。殿下にお褒め頂けるなんて…至極光栄でございます。私も立候補しておきながら、自信がなかったので、とても安心いたしました。」
一方のリラはロイドの言葉を受け、こちらも俯き恥ずかしげそうにしていた。
そんなリラの愛らしい表情を見て、リラは女神でもなくただの人間なのだとロイドを安心させた。
「実は、恥ずかしながら、皇子であるいも関わらず人前がどうも苦手で、皆をまとめるなどやったこともなくて…。」
その言葉にリラは驚いた表情を浮かべつつも、ふふっと優しげに笑った。
決してロイドを嘲笑するものではなくロイドは嫌な気分は全くなかった。
むしろ、やっとを本音をぶつけられる友人ができたような心地だった。
「すいません。その、私もすごく苦手なんです!殿下も一緒だったのか、と思いましたら、なんだか嬉しくなってしまいまして。」
ロイドは、あまりにも意外なリラの発言に思わず立ち止まった。
「いや、しかし、あのように堂々と…。」
あのように堂々とした立ち振る舞いができるにも関わらず苦手など考えられもしなかったのだった。
「ふふふ。いつも教壇に立つ前は心臓がバクバクなんですよ。でも、自分でやると決めたのだからと、奮い立たせております。」
リラは無邪気にそう告げた。
成績優秀で誰にでも親切な非の打ち所のない優等生かと思っていたが、今は年齢よりも少し幼いくらいに見えた。
これが彼女の本音なのだろう。
ロイドは、その愛らしい表情にドキリッと心臓を掴まれた。
「では、なぜ、あのように機転が効くというか饒舌というか…。」
「あ、あれは。少しばかり他人より経験があるというか。」
リラは伏し目がちにそう応えた。
「お恥ずかしながら、私は我がアリエス領地の一部の管理を父から任せていただいておりまして。そのことで色々経験があるというか…。」
「領地の管理!?」
リラは恥じらいながら言葉を紡ぐがロイドは驚きと感心しかなかった。
自分と同い年の令嬢が、すでにそのようなことができるなど考えもおよばなかった。
「ただの令嬢が、そのような男性の真似事、恥ずべき行為なのは重々承知なのですが…。」
「いや、私は素晴らしいと思う!むしろ学ばせて頂きたいくらいだ。」
ロイドは熱い眼差しをリラに注いだ。
リラは、あまりの熱意に圧倒され、思わず笑みを溢した。
「ふふ、羊の飼い方にそんなにご興味がございますか?」
「いや、そうではなく…。」
楽しそうに冗談を言うリラに、ロイドは赤面しながら慌てて否定した。
「ふふ、わかってますよ。ちょうど図書館に向かってますので、お時間がございましたら、少しお薦めの書籍を紹介させていただきますね。」
リラはにっこり笑ってそういった。
ふたりが図書館に着くと、リラは書籍の返却を終え、ロイドのお勧めの書籍をいくつか見繕った。
それは心理学に行動分析学、統計学など多種多様であった。
「もし、すでにお読みになっておりましたら申し訳ありません。会議やスピーチなどに参考になりそうなものは、こちらですかね。あと、会議で出た数値について分析するには、こちらの書籍の考え方を学ぶのもお薦めいたします。私は片田舎の伯爵家ですので、十分な専門家からの指導がなく、このような書籍を参考にいたしました。」
「な、なるほど…。」
今のロイドに必要なものは『皇族』として、『皇子』として、どのように立ち振る舞えばいいか、その足がかりとなる何かが必要だった。
家庭教師は一般教養を教えてくれても、このようなことを教えてくれはしなかった。
また、他の家臣もロイドの『皇族』として、『皇子』としての立場がそうさせるの自分を褒め称えるばかりで何一つこのようなことは教えてはくれなかったのだった。
そんな中で、こんなにも端的に自分に必要なものを教えてくれたのが、まさかこのような令嬢とは誰が想像できただろうか。
ロイドにとっては目から鱗だった。
「もし読みづらいようでしたら、他にもわかりやすい書籍がございます。必要であればお申し出ください。」
ロイドは、そんなふうに自分を気遣うリラが眩しくて仕方がなかった。
『皇族』として、『皇子』としてではなく、ひとりのロイドという同い年の人間として接してくれるリラにロイドは沸々と湧き上がる恋情を抑えずにはいられなかった。
リラともっと話したい。
もっと一緒にいたい。
「その、何か礼をさせてもらえないだろうか…。」
そんな想いからロイドは自然と言葉が溢れた。
「いえ、大したことはしておりません。殿下は皇子とはいえ、今は共にアベリア学園で学ぶ、私の一人の学友だと僭越ながら思っております。困っている学友の相談に乗るのは必然ではないでしょうか。どうぞ、お気になさらないでください。」
ロイドはリラのそんな言葉に胸がいっぱいになり目頭が熱くなった。
今まで、自分が求めていたものは、まさにこれだったのかと痛感した。
「で、では、せめて学友であるならば、ロイドと呼んでもらえないだろうか。」
「そうですね。学友であるなら、お名前でお呼びするのが適切かもしれませんね。では園内ではそのようにお呼びさせていただきます。ロイド様。」
リラはそういうと屈託のない笑顔をロイドに向けた。
皆をまとめることも上手く、それでいて強制されているような威圧感が全くなかった。
成績も優秀で、人当たりもよく、授業のわからないところをリラに質問する生徒もいたくらいだ。
そんなリラは、生徒からだけでなく教員からの信頼も厚かった。
リラに任せれば問題ない、そんなことを教員たちも口にするくらいだった。
それは、まさにロイドが憧れとしている人物像そのものだった。
ある日の放課後。
ロイドはリラが分厚い書籍を数冊ひとりで抱えてよたよた歩く姿を見かけた。
ロイドは、危ないと思い咄嗟にその書籍を持ち上げた。
「殿下、ありがとうございます。ですが、この後もお忙しいのではないでしょうか。このくらい私ひとりでも大丈夫ですよ。」
リラはにこやかにそう答えるが、どう見ても女性ひとりで任すには些か多すぎる量であった。
「いや、女性にこのような重い物を運ばせるわけにはいかない。ひとりの紳士として、どうか、手伝わせてもらえないだろうか。」
リラは一瞬迷った表情を浮かべたものの、紳士の申し出を無碍にするのはできないと思い、ロイドに半分ほどの書籍を渡した。
「ふふ、ありがとうございます。殿下は、お優しいのですね。私のようなものにもお心遣いいただいけて有難い限りです。」
ロイドは、リラの褒め言葉が素直に受け取り照れ臭くなった。
ロイドに近づくものの大半は皇宮でもアベリア学園でも変わなかった。
多分に褒める教員。
何かと色目を使う令嬢。
冷ややかな視線の令息。
それは『皇族』として『皇子』としての自分がそうさせているのだろう。
誰しも疎まれ、期待される立場に産まれたのだから、仕方ないのかもしれない。
しかし、受け入れる器はまだロイドには持ち合わせていなかった。
そんな中で、リラだけは、自分に期待も嫉妬も執着も何も持ち合わせていないようだった。
目の前のリラは言葉以上の意味もなく、ただ一緒に書籍を運んでいるだけのことへの感謝を述べているのだろう。
「…ありがとう。それで、リラ嬢に聞きたいことがあったのだがよろしいだろうか。」
ロイドは恥ずかし気にリラに尋ねた。
「なぜ、リラ嬢は学級委員に立候補したのだろうか。」
ロイドはずっと気になっていた。
あのとき、リラはなぜ自分に微笑みかけたのだろうか。
不甲斐ない自分を見かねたのだろうか。
それとも、哀れな自分を助ける女神だったのだろうか。
そんな期待とは裏腹にリラは目をぱちくりさせた。質問が意外だったのだろうか。
「え?やりたかったからですよ。あ、もしかして、殿下…。」
リラは言葉を詰まらせた。おそらくロイドが本心では学級員をやりたかったと思ったのだろう。
ロイドは慌ててぶんぶんと首を横に振った。
「いや。そんな。リラ嬢が立候補してくれ、この上なく感謝している。どうやれば、そのように上手く皆をまとめられるのか学びたいくらいだ。」
ロイドは視線を逸らし頬を染めながらそう言った。
「え、そんな。殿下にお褒め頂けるなんて…至極光栄でございます。私も立候補しておきながら、自信がなかったので、とても安心いたしました。」
一方のリラはロイドの言葉を受け、こちらも俯き恥ずかしげそうにしていた。
そんなリラの愛らしい表情を見て、リラは女神でもなくただの人間なのだとロイドを安心させた。
「実は、恥ずかしながら、皇子であるいも関わらず人前がどうも苦手で、皆をまとめるなどやったこともなくて…。」
その言葉にリラは驚いた表情を浮かべつつも、ふふっと優しげに笑った。
決してロイドを嘲笑するものではなくロイドは嫌な気分は全くなかった。
むしろ、やっとを本音をぶつけられる友人ができたような心地だった。
「すいません。その、私もすごく苦手なんです!殿下も一緒だったのか、と思いましたら、なんだか嬉しくなってしまいまして。」
ロイドは、あまりにも意外なリラの発言に思わず立ち止まった。
「いや、しかし、あのように堂々と…。」
あのように堂々とした立ち振る舞いができるにも関わらず苦手など考えられもしなかったのだった。
「ふふふ。いつも教壇に立つ前は心臓がバクバクなんですよ。でも、自分でやると決めたのだからと、奮い立たせております。」
リラは無邪気にそう告げた。
成績優秀で誰にでも親切な非の打ち所のない優等生かと思っていたが、今は年齢よりも少し幼いくらいに見えた。
これが彼女の本音なのだろう。
ロイドは、その愛らしい表情にドキリッと心臓を掴まれた。
「では、なぜ、あのように機転が効くというか饒舌というか…。」
「あ、あれは。少しばかり他人より経験があるというか。」
リラは伏し目がちにそう応えた。
「お恥ずかしながら、私は我がアリエス領地の一部の管理を父から任せていただいておりまして。そのことで色々経験があるというか…。」
「領地の管理!?」
リラは恥じらいながら言葉を紡ぐがロイドは驚きと感心しかなかった。
自分と同い年の令嬢が、すでにそのようなことができるなど考えもおよばなかった。
「ただの令嬢が、そのような男性の真似事、恥ずべき行為なのは重々承知なのですが…。」
「いや、私は素晴らしいと思う!むしろ学ばせて頂きたいくらいだ。」
ロイドは熱い眼差しをリラに注いだ。
リラは、あまりの熱意に圧倒され、思わず笑みを溢した。
「ふふ、羊の飼い方にそんなにご興味がございますか?」
「いや、そうではなく…。」
楽しそうに冗談を言うリラに、ロイドは赤面しながら慌てて否定した。
「ふふ、わかってますよ。ちょうど図書館に向かってますので、お時間がございましたら、少しお薦めの書籍を紹介させていただきますね。」
リラはにっこり笑ってそういった。
ふたりが図書館に着くと、リラは書籍の返却を終え、ロイドのお勧めの書籍をいくつか見繕った。
それは心理学に行動分析学、統計学など多種多様であった。
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「な、なるほど…。」
今のロイドに必要なものは『皇族』として、『皇子』として、どのように立ち振る舞えばいいか、その足がかりとなる何かが必要だった。
家庭教師は一般教養を教えてくれても、このようなことを教えてくれはしなかった。
また、他の家臣もロイドの『皇族』として、『皇子』としての立場がそうさせるの自分を褒め称えるばかりで何一つこのようなことは教えてはくれなかったのだった。
そんな中で、こんなにも端的に自分に必要なものを教えてくれたのが、まさかこのような令嬢とは誰が想像できただろうか。
ロイドにとっては目から鱗だった。
「もし読みづらいようでしたら、他にもわかりやすい書籍がございます。必要であればお申し出ください。」
ロイドは、そんなふうに自分を気遣うリラが眩しくて仕方がなかった。
『皇族』として、『皇子』としてではなく、ひとりのロイドという同い年の人間として接してくれるリラにロイドは沸々と湧き上がる恋情を抑えずにはいられなかった。
リラともっと話したい。
もっと一緒にいたい。
「その、何か礼をさせてもらえないだろうか…。」
そんな想いからロイドは自然と言葉が溢れた。
「いえ、大したことはしておりません。殿下は皇子とはいえ、今は共にアベリア学園で学ぶ、私の一人の学友だと僭越ながら思っております。困っている学友の相談に乗るのは必然ではないでしょうか。どうぞ、お気になさらないでください。」
ロイドはリラのそんな言葉に胸がいっぱいになり目頭が熱くなった。
今まで、自分が求めていたものは、まさにこれだったのかと痛感した。
「で、では、せめて学友であるならば、ロイドと呼んでもらえないだろうか。」
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