俺の恋人はタルパ様

迷空哀路

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29〔窓〕

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「……っい、やば……っ、ぬるぬるしてて、あった、か……っああ、溶ける、溶けちゃう……先っぽ、なくなっちゃう」
「気持ちよくて泣いてるってことでいいんですよね? でも心配になるので、あんまり泣かないでください。……大丈夫ですよ、なくなりませんから」
気持ち良さに訳がわからなくなって、何故か涙が止まらない。勝手に腰が動いてしまう。つい頭を押さえつけたくなるけど、それをすると苦しそうなので、手で自分の口を封じた。
「……っふー、んーっ、んっん」
「あれ、なんで声我慢するんですか……っ、今更恥ずかしくなったんですか」
違うと言いたいのに、それよりも先に勝手に声が出る。上へと高められる動きを何度も繰り返されて、目がチカチカし始めた。
「……は、やった。っはぁ……ちゃんと、できた」
呆気なく果てた後起き上がると、嬉しそうに手に付いたものを眺めていた。
「……っくち、はいらなかった、か?」
「ちょっと入りましたよ」
「……っ、ごめん」
「僕がしたかった事ですから。それにしても、確かに面白いですね。直に触れていると、貴方がどう感じているのか伝わってくる。この前貴方が夢中でこうしていたのも、今なら少し気持ちが分かりますね」
ティッシュで拭き拭きしているのを何も言えずに眺めていると、後ろの大きな窓が気になってきた。

「あ、あのさー……あそこって汚してもいい? 後でちゃんと拭くからさぁ」
「え? 窓ですか。別にいいですけど」
何をする気だと言いたげな視線の横を通り、全裸のまま近づく。手が触れそうな距離まで来ると、体が震えてきた。
「……はぁ、これは……っ、なかなかだなぁ。はは、良い景色だ」
「高所恐怖症? 大丈夫ですか」
「へへ、あのさ……ここで、したいんだけど」
「……そういうことでしたか。貴方の発想はなかなかに突飛だ」
指紋一つない綺麗な窓だったから忍びなかったけど、それも背徳感を煽る。
手を触れて、輝く夜景を眺めた。そこに反射する自分の姿が似合わなくて笑えてきた。
腰を突き出して、相手の股間に擦り付ける。煽らないでくださいと後ろから押されると、更に窓に近づいた。
「……ひぃ、んっ、冷たっ、あーこれっ……やばい、見えちゃうなぁ」
「見えますかね? 結構遠いと思うんですけど」
ひんやりとしたガラスに、敏感な先端がくっついて体が跳ねる。向こう側から見た自分を想像すると、奥の方も熱が上がってきた。
「実際には誰にも見られていないとしても、見られているかもと思い込むのが、いいんじゃねーかっ、はぁ……、うぅ恥ずかしい……見ないでっ」
「嫌なのか、そうじゃないのか……」
「なんだよ、お前は恥ずかしくないのかよ。ほら、向こう側で気づいた奴が、双眼鏡とか持ってるかもしれないんだぞ」
「ほとんど貴方で隠れていますし、別に見られたところで特には……」
「あっそー。いいよ俺は一人で公開羞恥を楽しむから。とっとと突っ込めよ」
「……そういう言い方はよくありませんね。僕は貴方を道具のようには扱いたくない」
だから優しくしますと言うと、手のひらで揉むように肌を撫でてきた。腹とか肩とか、直接強い刺激を感じるようなところではない部分を、じっくりと撫で回される。

「あ……耳、やめてっ」
指先で細かい部分を擦られて、だんだん力が抜けてきた。どこを触られても、じんわりと熱くて気持ちいい。
自分の熱で暖かくなったガラスに体を預ける。胸元をぎゅっと押しつけると、先端が擦れた。ああ、こんなに近くちゃ、本当に見えているかもしれない。声も外に聞こえちゃうかも。
それが気持ちよくて胸を押し付けていると、ぐっと尻を持ち上げられた。
「わっ……びっくりした」
「余裕がありそうなので、入れますよ」
ゴムを指に被せると、二本指でぐりぐりと奥に進んできた。ここ数日間は気分も盛り上がっていた為に、いつもより緩くなっているはずだけど、やはり人肌は違う。期待からか、ぎゅっと締め付けてしまった。
「……あ、そこ……っ、ちから、ぬける……っもう、入るからっ」
「優しくすると言いましたからね」
広げて、回して、二本ばらばらの動きをしたり、ゆっくりしたり早くしたり……しつこいぐらいに繰り返されて、脳が欲しいという快楽に支配された。ただそれのことしか考えられず、涎を垂らしながら半泣きで懇願する。
「っ欲しい……っ早く、入れてぇ、おねが……っ、ああっ、ひろげ、るのっ……だめ、ってば」
お尻を揉まれて、中が見えそうなほど引っ張られる。もう外から見えるとか関係なしに恥ずかしくて、それが興奮を更に煽る。
「あっ凄い……前触ってないのに。見てここ、全部貴方が出したやつですよ。こういうのが分かるのは面白いかもしれませんね」
擦り付けている先から、窓の下まで濡れているのが可視化されている。床にもぽたぽたと零れて、全てが見透かされているのだと思うと、それだけで全身にびりびりと刺激が回ってきた。
こうやって自分のはしたなさを咎められるような、やりとりが好きだ。だからイケメンドエス調教シリーズを覚えてしまうほど聴き込んだのだ。
何も触らなくてもヘブンへ飛んでいきそうで、息を荒げながら笑みを浮かべる。見ててくれ、夜景の一部になってくれているそこの光のやつ。これから俺の全てを曝け出すから、見守っててくれ。

「ああっ……あっ、あ――!」
初めに半分程入ってきた。すぐ引っ込んだと思ったら、次は一気に奥まで進められる。
繋がっている部分から体が前に押し出されて、縋り付くようにガラスに触れた。
中をぐりぐりと暴かれて、一番恥ずかしい部分を晒している。見られちゃいけないところを隠す間も無く動かされて、無意識に腰を揺らしていた。そうしたらもっと見られてしまうかもしれないのに、体が止まってくれない。
「……っはぁ、やっぱり凄い。中あっつくて、ふふ、確かに溶けて、なくなっちゃいそうだ」
一体化しそうなほど熱くなっていた。けれどその中から確実に突き上げてくる硬い感触が、更に奥へ進んでこようとしている。
「あ、ああっ……っあ、きちゃ、きちゃう……っ、中まで、分からせ、られちゃうっ」
もう少し楽しんでいたいと、なんとか飛びそうになる意識を掴んで、ぼやけてくる視界を見つめた。
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