2 / 3
2
しおりを挟む
人間達が暮らすエリアから北西へ数千里――――。広大なノアニ川と肥沃な土壌を有するエリアにエルフ達が暮らす『ノアニール』はあった。ウィンリィは『ノアニール』の繁華街にあるキャバクラ『エルフガーデン』を目指して歩く。エルフという種族の多くは自然との共生、あるいは晴耕雨読といったような生活を好む為、繁華街といっても人間界のような賑やかさはなく、キャバクラという娯楽も前衛的であったため、ウィンリィにとって『エルフガーデン』を見つける事は容易かった。木々がおおいしげり、雑居ビル等もなくポツポツと一戸建ての店が立ち並ぶ中に『エルフガーデン』の看板が見えた。
ウィンリはふぅっと深呼吸をしてから、キャバクラでは見慣れない木造りの扉を開けた。
「こんにちは。カブキリティから来たウィンリィという者ですが~。」
下調べで分かっていた事だが内装は人間界のキャバクラのような”イケイケ感”は少なく、それでいて証明や椅子等のデザインにはこの店のこだわりが垣間見えた。”イケイケ”というより”アーティスティック”な印象をウィンリィは受けた。
「おっ君が!待っていたよウィンリィちゃん。今日からよろしくね。」
奥の方から店長とおもわしき小太りで優しそうなエルフの男が出てきた。
「私の名はルドルフ。ここ『エルフガーデン』の店長をしている。何しろ我々エルフはキャバクラの世界に疎く、まだまだ発展途上だからウィンリィちゃんには期待してるよ!それにしても今回マイケル店長は凄い人材を選んでくれたもんだ。ひょっとしてウィンリちゃんってカブキリティのナンバーワンとかじゃあないよねぇ?向うも一時的とはいえ稼ぎ頭が抜けると痛いだろうしなぁ?人間界のキャバクラはハイスペックな嬢ばかりのようだねぇ!」
”私がナンバーワン!?痛烈な皮肉のつもりなのかしら…?でも…そんな事を言う人には見えないけど…。”
出会い頭に溜息をつかれる覚悟だったウィンリィは想定外の反応をするエルフの店長に拍子抜けした。そう言えば聞いた事がある…。人間界のアメーリカエリアではしゅっとした小顔ではなくエラの張ったジパング人の女性の方がモテるとか何とか…。
「じゃあウィンリィちゃん、私から特に言う事はないからいつも通りにやってくれていいから!むしろキャバクラを手探りでやってる段階の私達が学ばせてもらう立場だ。逆に何か用意するものとかあったら教えてほしいくらいだ。ガハハ。」
カブキリティの売上ワーストの私にそんなに期待されても困るのだが…。とにかくいつも通りと言われたのだから変に気負わず接客に努めよう…。
ウィンリィはふぅっと深呼吸してから椅子の配置や店内を見渡しイメージトレーニングを始めた。昨日覚えたメニューも頭の中で復唱して…。空を見つめてブツブツ独り言を言うウィンリィはふとルドルフ店長の視線に気づいた。
「えっと…、何かありますか?ルドルフ店長?」
「いっいや!本当綺麗だなと思って!ごめんねセクハラだよね!その目を見ていると本当殺されるんじゃないかってゾクゾクするよ!」
”殺されるかもしれない”という恐怖の感情がもしかしてエルフ界ではトキメキになる…?そんなわけの分からない仮説を立てる自分に「いやいや」と首を振った後、ウィンリィは口をきゅっと真一文字に結び『エルフガーデン』での初日に備えた。
ウィンリはふぅっと深呼吸をしてから、キャバクラでは見慣れない木造りの扉を開けた。
「こんにちは。カブキリティから来たウィンリィという者ですが~。」
下調べで分かっていた事だが内装は人間界のキャバクラのような”イケイケ感”は少なく、それでいて証明や椅子等のデザインにはこの店のこだわりが垣間見えた。”イケイケ”というより”アーティスティック”な印象をウィンリィは受けた。
「おっ君が!待っていたよウィンリィちゃん。今日からよろしくね。」
奥の方から店長とおもわしき小太りで優しそうなエルフの男が出てきた。
「私の名はルドルフ。ここ『エルフガーデン』の店長をしている。何しろ我々エルフはキャバクラの世界に疎く、まだまだ発展途上だからウィンリィちゃんには期待してるよ!それにしても今回マイケル店長は凄い人材を選んでくれたもんだ。ひょっとしてウィンリちゃんってカブキリティのナンバーワンとかじゃあないよねぇ?向うも一時的とはいえ稼ぎ頭が抜けると痛いだろうしなぁ?人間界のキャバクラはハイスペックな嬢ばかりのようだねぇ!」
”私がナンバーワン!?痛烈な皮肉のつもりなのかしら…?でも…そんな事を言う人には見えないけど…。”
出会い頭に溜息をつかれる覚悟だったウィンリィは想定外の反応をするエルフの店長に拍子抜けした。そう言えば聞いた事がある…。人間界のアメーリカエリアではしゅっとした小顔ではなくエラの張ったジパング人の女性の方がモテるとか何とか…。
「じゃあウィンリィちゃん、私から特に言う事はないからいつも通りにやってくれていいから!むしろキャバクラを手探りでやってる段階の私達が学ばせてもらう立場だ。逆に何か用意するものとかあったら教えてほしいくらいだ。ガハハ。」
カブキリティの売上ワーストの私にそんなに期待されても困るのだが…。とにかくいつも通りと言われたのだから変に気負わず接客に努めよう…。
ウィンリィはふぅっと深呼吸してから椅子の配置や店内を見渡しイメージトレーニングを始めた。昨日覚えたメニューも頭の中で復唱して…。空を見つめてブツブツ独り言を言うウィンリィはふとルドルフ店長の視線に気づいた。
「えっと…、何かありますか?ルドルフ店長?」
「いっいや!本当綺麗だなと思って!ごめんねセクハラだよね!その目を見ていると本当殺されるんじゃないかってゾクゾクするよ!」
”殺されるかもしれない”という恐怖の感情がもしかしてエルフ界ではトキメキになる…?そんなわけの分からない仮説を立てる自分に「いやいや」と首を振った後、ウィンリィは口をきゅっと真一文字に結び『エルフガーデン』での初日に備えた。
0
あなたにおすすめの小説
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる