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『エルフガーデン』が開店して1時間程度、空席はなく店は賑わいをみせていた。しっかりとドレスアップをしたウインリィは右手の拳を丸め、左の掌を右の拳に添えてポキポキと骨を鳴らし臨戦態勢に入る。レスリングで全国制覇した時と変わらぬルーティーン。
「3番席のサラちゃんご指名ですね。了解です。ではウインリィちゃんをつかせます。」
ルドルフ店長がインカムでやり取りするのが聞こえた。いよいよだ。
「ウィンリィちゃん3番席だ。頼んだよ。」
それまでずっと緊張した表情だったウィンリィはこくっと頷いた後、一転して太陽のような笑顔で3番席に向かって歩き始める。この店で店員と客を含めて人間はウィンリィただ一人。いつのまにか賑わいは静まり、エルフ達は全員が席に向かって闊歩するウィンリィを見つめていた。
「はじめまして。人間界から来ました新人のウィンリィです。よろしくお願いします。」
簡潔かつ笑顔でウィンリィはお相手となるイケメンの客に挨拶をしたが、そのイケメンエルフは目を丸くして口を開けたまま微動だにせず、『エルフガーデン』はしばしの静寂に包まれる。”あれ…?何かしらこの反応は…。やっぱり私…デカすぎたのかしら…?”ウィンリがそう思った次の瞬間――――、
「アメイジング!!!!」
微動だにしなかったイケメンエルフは突然絶叫した。
「アンビリーバボー!!」
「ジーザスクライスト!!」
イケメンエルフだけでなく連れのエルフ達まで絶叫し始め、その絶叫はやがて『エルフガーデン』に来ている客全員まで波及していった。やがて拍手が起こり、遠くの席にはスタンディングオベーションまでしているエルフまで見えた。
”これは一体……!?”ウィンリィは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたが、絶叫していたイケメンエルフはこう付け加えた。
「美しい!なんて美しい嬢だ!人間とはかくも美しいものなのか!まずその目!エルフの男は生物学的にMっ気を備えているからその目で見られるとゾクゾクして興奮する!そしてそのどこまでも続く肩幅は地平線の母なる大地を彷彿させ、さながら母の子宮に守られいるかのような安心感を我々は覚える!僕は未だかつて一目惚れという体験をしたことが無いが、今ならはっきりと言える。この生まれて初めて感じる胸の鼓動が一目惚れでないはずがないと!!」
イケメンエルフの演説が終わると、また拍手喝采が起こり、「アメイジング」や「ジーザスクライスト」が飛び交う。客のほぼ全員が歓声をあげているなか、ポケットからハンカチを取り出す客が居たが、その客は涙をハンカチでぬぐっていた。ウィンリィは恥ずかしいような嬉しいような気持ちになりどうしていいか分からず、ただ立ち尽くしていた。
「ささ!ウィンリィちゃんここに座って!ウィンリィちゃんの初めてのお相手は僭越ながらこのスミスが務めさせていただきますっ♪」
ウィンリィを気遣ってか、イケメンエルフのスミスはウィンリィを隣へ促し、ウィンリィはそのデカイ体躯をソファへ滑らせた。
「ウィンリィちゃん!次は僕のとこだかんね!」
「ウィンリィちゃん!アフター!アフター予約とかありますか!?」
しかし、騒ぎは収まらない。ウィンリィが座ったソファを中心にして店の客全員が付いているエルフ嬢そっちのけで取り囲むように集まる。
「じゃあウィンリィちゃんとの出会いに何かお祝いしないとね。こんな特別な日はロマネコンティしかないかな。」
心ここにあらずだったウィンリィだったがスミスのその声を聞き、はっと我に返る。不遇のカブキリティでの日々で培ったプロ根性のスイッチが入った。
「ルドルフ店長!ロマネコンティ入りま~す♪」
「喜んで~♪」
その日、『エルフガーデン』は閉店までウィンリィのお祝いが続いた。「初手でロマネコンティをキメる。」これは人間界と同様にエルフ界でも偉業とされる。同業のエルフ嬢達はそれが面白いはずもなく、遠くの席から睨みつけてくるエルフ嬢も居た。その視線を感じながらウィンリはスミスに注がれたロマネコンティを軽く口に含み、はあ~っと木造りのアーティスティックなシャンデリアがぶら下がっている天井を見上げた。それと同時に未だかつて体感したことのない感情が湧き上がってくる。
”これが―――――、勝利の美酒か―――――。”
「3番席のサラちゃんご指名ですね。了解です。ではウインリィちゃんをつかせます。」
ルドルフ店長がインカムでやり取りするのが聞こえた。いよいよだ。
「ウィンリィちゃん3番席だ。頼んだよ。」
それまでずっと緊張した表情だったウィンリィはこくっと頷いた後、一転して太陽のような笑顔で3番席に向かって歩き始める。この店で店員と客を含めて人間はウィンリィただ一人。いつのまにか賑わいは静まり、エルフ達は全員が席に向かって闊歩するウィンリィを見つめていた。
「はじめまして。人間界から来ました新人のウィンリィです。よろしくお願いします。」
簡潔かつ笑顔でウィンリィはお相手となるイケメンの客に挨拶をしたが、そのイケメンエルフは目を丸くして口を開けたまま微動だにせず、『エルフガーデン』はしばしの静寂に包まれる。”あれ…?何かしらこの反応は…。やっぱり私…デカすぎたのかしら…?”ウィンリがそう思った次の瞬間――――、
「アメイジング!!!!」
微動だにしなかったイケメンエルフは突然絶叫した。
「アンビリーバボー!!」
「ジーザスクライスト!!」
イケメンエルフだけでなく連れのエルフ達まで絶叫し始め、その絶叫はやがて『エルフガーデン』に来ている客全員まで波及していった。やがて拍手が起こり、遠くの席にはスタンディングオベーションまでしているエルフまで見えた。
”これは一体……!?”ウィンリィは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたが、絶叫していたイケメンエルフはこう付け加えた。
「美しい!なんて美しい嬢だ!人間とはかくも美しいものなのか!まずその目!エルフの男は生物学的にMっ気を備えているからその目で見られるとゾクゾクして興奮する!そしてそのどこまでも続く肩幅は地平線の母なる大地を彷彿させ、さながら母の子宮に守られいるかのような安心感を我々は覚える!僕は未だかつて一目惚れという体験をしたことが無いが、今ならはっきりと言える。この生まれて初めて感じる胸の鼓動が一目惚れでないはずがないと!!」
イケメンエルフの演説が終わると、また拍手喝采が起こり、「アメイジング」や「ジーザスクライスト」が飛び交う。客のほぼ全員が歓声をあげているなか、ポケットからハンカチを取り出す客が居たが、その客は涙をハンカチでぬぐっていた。ウィンリィは恥ずかしいような嬉しいような気持ちになりどうしていいか分からず、ただ立ち尽くしていた。
「ささ!ウィンリィちゃんここに座って!ウィンリィちゃんの初めてのお相手は僭越ながらこのスミスが務めさせていただきますっ♪」
ウィンリィを気遣ってか、イケメンエルフのスミスはウィンリィを隣へ促し、ウィンリィはそのデカイ体躯をソファへ滑らせた。
「ウィンリィちゃん!次は僕のとこだかんね!」
「ウィンリィちゃん!アフター!アフター予約とかありますか!?」
しかし、騒ぎは収まらない。ウィンリィが座ったソファを中心にして店の客全員が付いているエルフ嬢そっちのけで取り囲むように集まる。
「じゃあウィンリィちゃんとの出会いに何かお祝いしないとね。こんな特別な日はロマネコンティしかないかな。」
心ここにあらずだったウィンリィだったがスミスのその声を聞き、はっと我に返る。不遇のカブキリティでの日々で培ったプロ根性のスイッチが入った。
「ルドルフ店長!ロマネコンティ入りま~す♪」
「喜んで~♪」
その日、『エルフガーデン』は閉店までウィンリィのお祝いが続いた。「初手でロマネコンティをキメる。」これは人間界と同様にエルフ界でも偉業とされる。同業のエルフ嬢達はそれが面白いはずもなく、遠くの席から睨みつけてくるエルフ嬢も居た。その視線を感じながらウィンリはスミスに注がれたロマネコンティを軽く口に含み、はあ~っと木造りのアーティスティックなシャンデリアがぶら下がっている天井を見上げた。それと同時に未だかつて体感したことのない感情が湧き上がってくる。
”これが―――――、勝利の美酒か―――――。”
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