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2話:悪意蔓延る町
05.チャット(2)
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じわり、と額に変な汗が滲む。僅か数秒がとてつもない長さに感じたものの、ややあってチャットに文字列が並び始めた。
『緑崎8:黒だ……!!』
『赤嶺10:都市伝説じゃなかったんだ』
『黄山4:黒とかチュートリアルで詰みそうで草生える』
『青田5:本人は草どころじゃなさそう……』
――何だ何だ、ちょっと騒がしくなってきたけども。
流れるレス、困惑する花実、更に騒がしくなるチャット。悪循環に終止符を打ったのは、一つの質問だった。
『白星1:初期神使は誰だった?』
問いに対し、花実では無くギャラリーが湧き始める。曰く、チャットの住民達も気掛かりらしい。無視するのも良く無いと判断し、返信を打った。
『黒桐12:最初の神使は烏羽でした』
『白星1:それはゲームを始められたのか? 始まった瞬間、終わりそうだが……』
この「白星1」というプレイヤーは烏羽を知っているようだ。その人物へと返信を打とうとしたが、タイピングの速い別のプレイヤーがその話題に食い付く。
『赤嶺10:なになに? 烏羽ってヤバいの? あでも、黒は大抵……』
『青水2:コラ! ネタバレ厳禁よ、気を付けて頂戴! 黒桐ちゃんはまだそこまで行けてないかもしれないでしょ!』
『赤嶺10:ごめーん』
会話を割り込ませるタイミングを見計らい、花実は素早く質問を投下した。Q&Aとか確認している暇もなかったが、恐らく大丈夫だろう。
『黒桐12:適応色の黒って珍しいんですか? 最近始めたばかりで何も分からないのですが』
『青水2:あら、丁寧にどうも。そうねえ、アタシのいるサーバーには1人もいなかったわ。それに、チャットでも黒が入ってる子は全然見掛けないわね』
『白星1:ゼロではないが。人数が恐ろしく少ないのは確かだ。ちなみに僕のサーバーにも一人いたはず。まあ、もう見掛けなくなってしまったけれど』
適応色には人数の偏りがあるようだ。そして、幸か不幸か自分が引き当ててしまった適応色:黒は人口が少ない――そこまではいい。ただ、やはり黒系の神使は鬼門なのだろうか。羨ましいとは一言も言われなかった。
『赤鳥6:あのぅ、黒桐さんに確認したいんですけど、烏羽連れてストーリーに入ったら、ぶっちゃけ変な事とか起きません? 割と連れている神使によって内容が変わったりするんですけど……』
『白星1:その話題はこの部屋でするには相応しくない。ネタバレ厳禁部屋だからな』
『赤鳥6:すいません、気になっちゃって……』
『青水2:でもアタシも気になっちゃうわぁ。ねえ、新しい部屋作るから、そっちでお話しない? ストーリー内容に触るなら、パスワード付けるから。どうかしら、黒桐ちゃん?』
一拍の間を置いて、花実は問いに対し返信した。
『黒桐12:私も気になっていたんですよね。ちょっと聞いて欲しい話があって。皆さんが良ければ、是非』
『青水2:オッケー。部屋とパスを作ってくるから、ちょっと待っててネ』
意気揚々と部屋から退室した青水2が戻って来たのは、およそ5分後だった。チャットが割と扱い辛そうなのに、この手慣れた感じ。流石は第2サーバーの民。最初期頃の同業者達はとにかく落ち着いている。
『青水2:ただいまー! パスワードは貼ってるから、これを使ってネ。部屋の名前は「黒桐ちゃんを支える会」にしておいたわ。不満があるなら、後々変えましょ。それと、特殊ルームだから入室前にルールの確認ヨロシクね』
『白星1:有り難う』
『青水2:あら、白星ちゃん参加するのぉ? 興味無いと思ってたわ。珍しい事もあるのネ!』
『白星1:僕だって興味のある話題くらい、あるさ。適応色・黒は存在がツチノコみたいな物だし』
プレイ時間の長さをどうこう言うつもりはない。が、攻略方法などまだ存在しない出来立てのゲームにおいては別だ。プレイ時間の長さが物を言う世界である。なので、誠に勝手ながら初期サーバーである白星1には是非とも参加して頂きたい。
とはいえ、若輩の戯れ言で機嫌を損ねては事なので黙って事の成り行きを見守る。なおも青水2と言葉の応酬を繰り広げていた白星1だが、気が変わる様子は無さそうだ。
『青水2:雑談ルームのみんなに迷惑を掛けちゃ悪いわ。アタシは一足先に例のルームに行くわね。寂しいから、早く来て頂戴よ!』
青水2の発言を皮切りに、『黒』に興味のある面々がゾロゾロと移動を始める。話題の性質上、自分がいなければ何も始まらない花実もまた慌てて移動し始めた。
奇抜なルームが数多くあるが、その中でも『黒桐ちゃんを支える会』は割とずば抜けて奇抜だ。まずそもそも、ルームの名前がなかなかの長さ。プレイヤー名とはいえ、自分の名前が使われているのは少々気恥ずかしい。
スマホを片手に若干、赤面しながらルームに入る。すると、雑談チャット時には表示されなかったパスワード入力画面が開いた。青水2が残して行ったパスを打ち込み、ルームの中へ。
ルームの管理者は『青水2』と表記されている。これもまた、雑談ルームには無かったシステムだ。
続いて、青水2が言っていた通りにルールを確認。赤字を使用された注意事項の一つが酷く目を惹く。
曰く――「黒桐12が進んだストーリーまでのネタバレあり。それ以降のストーリーはネタバレ厳禁」との事。滅茶苦茶に配慮してもらっているようで申し訳なさすらあるくらいだ。
ドキドキしながらも、ようやく花実は入室。最初の挨拶を掻き込むべく、緊張した面持ちで文字を入力した。
『緑崎8:黒だ……!!』
『赤嶺10:都市伝説じゃなかったんだ』
『黄山4:黒とかチュートリアルで詰みそうで草生える』
『青田5:本人は草どころじゃなさそう……』
――何だ何だ、ちょっと騒がしくなってきたけども。
流れるレス、困惑する花実、更に騒がしくなるチャット。悪循環に終止符を打ったのは、一つの質問だった。
『白星1:初期神使は誰だった?』
問いに対し、花実では無くギャラリーが湧き始める。曰く、チャットの住民達も気掛かりらしい。無視するのも良く無いと判断し、返信を打った。
『黒桐12:最初の神使は烏羽でした』
『白星1:それはゲームを始められたのか? 始まった瞬間、終わりそうだが……』
この「白星1」というプレイヤーは烏羽を知っているようだ。その人物へと返信を打とうとしたが、タイピングの速い別のプレイヤーがその話題に食い付く。
『赤嶺10:なになに? 烏羽ってヤバいの? あでも、黒は大抵……』
『青水2:コラ! ネタバレ厳禁よ、気を付けて頂戴! 黒桐ちゃんはまだそこまで行けてないかもしれないでしょ!』
『赤嶺10:ごめーん』
会話を割り込ませるタイミングを見計らい、花実は素早く質問を投下した。Q&Aとか確認している暇もなかったが、恐らく大丈夫だろう。
『黒桐12:適応色の黒って珍しいんですか? 最近始めたばかりで何も分からないのですが』
『青水2:あら、丁寧にどうも。そうねえ、アタシのいるサーバーには1人もいなかったわ。それに、チャットでも黒が入ってる子は全然見掛けないわね』
『白星1:ゼロではないが。人数が恐ろしく少ないのは確かだ。ちなみに僕のサーバーにも一人いたはず。まあ、もう見掛けなくなってしまったけれど』
適応色には人数の偏りがあるようだ。そして、幸か不幸か自分が引き当ててしまった適応色:黒は人口が少ない――そこまではいい。ただ、やはり黒系の神使は鬼門なのだろうか。羨ましいとは一言も言われなかった。
『赤鳥6:あのぅ、黒桐さんに確認したいんですけど、烏羽連れてストーリーに入ったら、ぶっちゃけ変な事とか起きません? 割と連れている神使によって内容が変わったりするんですけど……』
『白星1:その話題はこの部屋でするには相応しくない。ネタバレ厳禁部屋だからな』
『赤鳥6:すいません、気になっちゃって……』
『青水2:でもアタシも気になっちゃうわぁ。ねえ、新しい部屋作るから、そっちでお話しない? ストーリー内容に触るなら、パスワード付けるから。どうかしら、黒桐ちゃん?』
一拍の間を置いて、花実は問いに対し返信した。
『黒桐12:私も気になっていたんですよね。ちょっと聞いて欲しい話があって。皆さんが良ければ、是非』
『青水2:オッケー。部屋とパスを作ってくるから、ちょっと待っててネ』
意気揚々と部屋から退室した青水2が戻って来たのは、およそ5分後だった。チャットが割と扱い辛そうなのに、この手慣れた感じ。流石は第2サーバーの民。最初期頃の同業者達はとにかく落ち着いている。
『青水2:ただいまー! パスワードは貼ってるから、これを使ってネ。部屋の名前は「黒桐ちゃんを支える会」にしておいたわ。不満があるなら、後々変えましょ。それと、特殊ルームだから入室前にルールの確認ヨロシクね』
『白星1:有り難う』
『青水2:あら、白星ちゃん参加するのぉ? 興味無いと思ってたわ。珍しい事もあるのネ!』
『白星1:僕だって興味のある話題くらい、あるさ。適応色・黒は存在がツチノコみたいな物だし』
プレイ時間の長さをどうこう言うつもりはない。が、攻略方法などまだ存在しない出来立てのゲームにおいては別だ。プレイ時間の長さが物を言う世界である。なので、誠に勝手ながら初期サーバーである白星1には是非とも参加して頂きたい。
とはいえ、若輩の戯れ言で機嫌を損ねては事なので黙って事の成り行きを見守る。なおも青水2と言葉の応酬を繰り広げていた白星1だが、気が変わる様子は無さそうだ。
『青水2:雑談ルームのみんなに迷惑を掛けちゃ悪いわ。アタシは一足先に例のルームに行くわね。寂しいから、早く来て頂戴よ!』
青水2の発言を皮切りに、『黒』に興味のある面々がゾロゾロと移動を始める。話題の性質上、自分がいなければ何も始まらない花実もまた慌てて移動し始めた。
奇抜なルームが数多くあるが、その中でも『黒桐ちゃんを支える会』は割とずば抜けて奇抜だ。まずそもそも、ルームの名前がなかなかの長さ。プレイヤー名とはいえ、自分の名前が使われているのは少々気恥ずかしい。
スマホを片手に若干、赤面しながらルームに入る。すると、雑談チャット時には表示されなかったパスワード入力画面が開いた。青水2が残して行ったパスを打ち込み、ルームの中へ。
ルームの管理者は『青水2』と表記されている。これもまた、雑談ルームには無かったシステムだ。
続いて、青水2が言っていた通りにルールを確認。赤字を使用された注意事項の一つが酷く目を惹く。
曰く――「黒桐12が進んだストーリーまでのネタバレあり。それ以降のストーリーはネタバレ厳禁」との事。滅茶苦茶に配慮してもらっているようで申し訳なさすらあるくらいだ。
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