ガチャから不穏なキャラしか出てきません

ねんねこ

文字の大きさ
65 / 74
3話:都での流行病

09.初めての都(2)

しおりを挟む
 都について教えてくれる、とそう言った烏羽が淡々と説明を始める。これも台詞内にはないだけでチュートリアルの一環なのだろう。

「都は合計で五つございます。ええ、五つ。その内の一つがここ、黄都です」
「5ステージね……」
「都は中央を除き、最も主要な都市です。ええ、当然、配備されている神使も多いですよ。とはいえ、都には都守がいるので大差はありませんけれど」
「都守?」
「名前のままえにこざいますとも、ええ」

 おい、と前を歩いていた白菫が苦言を呈するように口を挟む。

「都守の事もきちんと説明しろ。召喚士様、都守と言うのは全ての神使のまとめ役。主神と召喚士の次に力ある立場の神使です」
「へえ、そうなんだ」
「……他人事のようですが、貴方様の連れている烏羽も都守ですよ」
「え!?」

 ――それはガチレア神使を最初に引いちゃったという事になるのでは!?
 一見するとレア度の概念がないガチャ。しかし、実際には神使の性能差が割とエグい。だがそれと同時に納得もした。人間が平等ではないように、神使もまた全く同じくらいの強さでまとめ役もおらず、それぞれがそれぞれで動いている訳ではない。
 設定ガン無視のソーシャルゲームではストーリー上での活躍はそんなにしていないのに、SSRだのURだのという、新規実装されたから高レアみたいなキャラクターがいる中、異様な設定の忠実さだ。
 成程、ストーリーだとかに忠実なのは良い事だ。良い事だが、そのせいで高レア帯が減ると集金できないのでは? 大丈夫? ソシャゲの民が最も恐れるのはサービス終了なのだが。ある程度金を稼ぐ意欲を見せろ。

 あと運営、もう一つ良いだろうか。
 ――チュートリアルガチャで、最高レアを排出するのは止めるんだ。リセットマラソン、略してリセマラで破綻する。
 都守という高レア帯は5人いると思っていいだろうが、裏を返せばレア保証されているキャラクターは5人しかいない可能性だってありそうだ。それがチュートリアルガチャから出て来れば大惨事待った無し。

 悶々と考え込んでいると、薄群青が白菫に疑問を投げかけ始めた。妙な沈黙が破られる。

「白菫サン、よくうちの主が召喚士だって即判断しましたね。俺もそうだけど、町に来た時は一瞬とは言え疑ったッスわ」
「フン。召喚術を転用して作られた術式の上に現れれば誰でも召喚士だと分かる。全ての主要地に置いた方が良いんじゃないのか、この術式」
「それはまあ、都守サン方で話し合ってもらって。こっちで決定できることじゃねッス」

 話をしている内に、気付けば地下から出て1階にやって来ていた。地下は無骨な石造りの部屋だったが、地上は小綺麗なものだ。木造建築、独特の香りが漂っている。このフロアは来客向けの外観だ。
 恐らくだが、あの地下は関係者以外、あまり訪れないのだろう。少し埃っぽくもあった。

「結構、広いなあ」

 何気なく漏らした花実の呟きに、すかさず烏羽が反応を見せる。

「それはそうでしょう。ここは都守の依拠。ええ、我等が主神の権威を見せ付ける為の施設です故。雑に建造したりは致しませんねぇ」
「別にそこまで深いコメントしてなくない、私」
「ええ、ええ! 存じ上げておりますよ、召喚士殿。いつだって貴方様の言葉は浅く広いですからね!」

 ――コイツ、ぶっ飛ばしてやろうかな……。
 会話を試みるようになった弊害。まるで相手がそこに存在しているかのようにレスポンスしてくるので、普通に苛つく。誰だ烏羽の性格を設計した奴は。苛つくプレイヤーを見てほくそ笑んでいるに違いない。

 そんな主人と神使のやり取りを見たからか、白菫が盛大な溜息を吐く。主神代理らしい召喚士がちんちくりんでウンザリしている、という意味だろうか。少し気難しそうな感じもするし。
 ただし、薄群青はそうは受け取らなかったらしい。多分、彼の方が花実より心が綺麗だったからだろう。

「お疲れッスね、白菫サン」
「ああ、まあ……。次から次に問題が起きてしまってな。黄系の神使は連携が取りづらいし、何故俺はここに配属されてしまったんだ……」
「弱音とか珍しいじゃないスか」
「はあ……」

 初対面なので何とも言えないが、白菫が疲れていたり弱音を吐くのは同僚から見ると『珍しい』状態に分類されるようだ。何かの伏線かもしれない。覚えておこう。

 ――と、件の白菫が部屋の前で足を止めた。

「来客用の部屋です。取り敢えず、ここで待機していて頂けますか?」
「あ、うん」
「どうぞ」

 自然な動作で戸を開けてくれる。花実はおずおずと部屋の中に足を踏み入れた。やはり和風RPGのようなので、畳張りの部屋に机が一つ。旅館の一室みたいだ。
 何とも言えない顔で室内の様子を見ていた烏羽が、無遠慮に座布団の一つに座る。そうして、疲れ切った顔の白菫に意地悪く微笑みかけた。

「ええ。では、白菫殿。黄都の状況について説明して頂けますか? ええ、ずっと黄都にだけ我等が召喚士殿が居座り続ける訳にもいきませんから! ふふ、何が出て来るのか愉しみですねぇ、はい」

 ――烏羽が活き活きしている時には碌な事がない。
 それを早々に悟ってしまい、花実はこっそりと溜息を吐いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

暗殺者の少女、四大精霊に懐かれる。〜異世界に渡ったので、流浪の旅人になります〜

赤海 梓
ファンタジー
「…ここは、どこ?」  …私、そうだ。そういえば… 「貴女、ここで何をしておる」 「わっ」  シュバッ 「…!?」  しまった、つい癖で回り込んで首に手刀を当ててしまった。 「あっ、ごめんなさい、敵意は無くて…その…」  急いで手を離す。  私が手刀をかけた相手は老人で、人…であはるが、人じゃない…? 「ふははは! よかろう、気に入ったぞ!」 「…え?」  これは暗殺者として頂点を飾る暗殺者が転生し、四大精霊に好かれ、冒険者として日銭を稼ぎ、時に人を守り、時に殺め、時に世界をも救う…。そんな物語である…!

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

悪役令嬢の騎士

コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。 異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。 少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。 そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。 少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

処理中です...