お師匠様は自由すぎる

星野 夜空

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お師匠様はこんな人です

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 初めましての方もそうでない方もこんにちは。あるいはこんばんは。おはようございます。
 私の名前はミリーラ・ボーテ。ミリーです。魔法使いの端くれです。魔法使いは魔法──魔術を使える人の中では一番下に位置します。
 私のお師匠様は、そんな魔術使いの中でもトップの「魔術師」を冠しております。とても凄い方なのですが、とても残念な方です。

「おーしーしょー様ぁ! いつもいつも申しておりますよね、使用している実験器具は分かりやすくしてほしいと! 何なのですかこれはぁ!」

 勢いよすぎて扉が嫌な音を立てましたが知りません。それよりも私の抗議をスルーして今なお研究に没頭しているお師匠様に肩を落としました。
 私の手は現在もふもふとしております。手は人の形をしているので野獣そのものと化しております。
 というのもお師匠様に「洗ってほしい」と頼まれた器具類に入っていた液体が運んでいる最中、手にかかりこの様な姿と相成りました。いつもは無害にして洗うよう指示してくれていることから、故意であることはまず間違いありません。
 お師匠様は時々、気まぐれを起こすかのように私を実験体にします。慣れましたが。なにせお師匠様ですから。
 ようやく顔を上げたと思いきや、目を──私にとっての悪い意味で──光らせて両手を触診してきました。

「手触り、感触は獣そのものだな。威力はどうだ、いや俺の手が壊れるな。ここで腕を振るわれたら大惨事。よし外へ行こう」
「その前にお師匠様? 何故この様なことをしたか教えてくださいませんか?」
「好奇心だ」

 一番タチの悪い理由でした。誰かに依頼された、数少ない友人さんに頼まれた、ならばまだ良いのです。お師匠様の気分が乗らない限り、歯止めをかけられる様ですので。
 しかしながら己の欲を満たさんとばかりに動く好奇心や研究心、興味関心その他諸々は別です。全てはお師匠様の思うがままに行動されます。弟子の私はそれに付き合うのみです。ええ、付き合うのみです。大事なことなので念押ししました。人間諦めるのが正しいです。

「何をしているミリー。早く外へ行くぞ」
「はいはい、分かりました。ところでこの手、治りますか?」
「……早く外へ行くぞ」
「今の間は何なのですか⁉︎ 戻りますよね⁉︎」

 訂正します。諦めたら大変なことになるようですので、人間根気強く付き合っていきましょう。
 たとえ相手が人間として駄目でも。
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