5 / 17
お師匠様とそのご友人
しおりを挟む
「あ、サルカさん。こんにちは」
「おう嬢ちゃんこんちは。ルキアの野郎はいるか?」
「はい、いますよ」
そう言いつつ入ってきたのはお師匠様のご友人であるサルカさん。ルキアとはお師匠様のことです。
彼が来たということは、お師匠様はまた何かやらかしたということでしょう。いつものことながら呆れてしまいます。
「ただ、気をつけてくださいね。今のお師匠様、ムシの居所があまり良くないので」
「あー、だろうな。察しはついてる」
勝手知ったる何とやらで、お師匠様がいる自室兼研究室へと足を運ぶサルカさんを見つつ、頼まれた作業──というなの修行を再開しました。本日は調薬の練習成果を見せる日です。
アンカ草の葉と茎を繊維に沿ってよく揉み、柔らかくします。その後すり鉢で念入りに細かくするように擦ります。生草なので汁気が出てきたら火にかけます。この時焦げないよう煮込むのがポイントです。
汁の色が緑から半透明に変わったらルル草の雫を加えます。更に煮込んで透明になったら、いわゆるポーションの完成です。
ひと舐めして苦味やエグみがないことを確認して漉し、瓶に詰めたらおしまいです。
一時間という制限でしたが、我ながら上手くできたと思います。
さて、先程から騒がしいお師匠様のもとへ行きましょうか。出来上がったポーションの評価もいただきたいところですが……まあ、持っていかない方が良さそうですね。
ハーブティーを入れ香りに癒されながら向かいます。気分は憂鬱です。ええ、とても気が重いです。
「待て早まるな」「俺が悪いわけじゃないだろ!」「ふぎゃああ」と不吉な予感がします部屋へ今から向かわねばならないのですから。
「お師匠様、サルカさん。お茶をお持ちしましたが飲みますか?」
「ミリーか。丁度喉が渇いた頃だ、もらおう」
開いていた入口から声をかければいつもなら返答のないお師匠様から言葉をもらいました。機嫌が上向きになったのですね、良かったです。
左目の隅にプスプスと煙を立てるサルカさんへ内心頭を下げます。貴方の犠牲は忘れません。
となれば、もう遠慮はいりませんね。単刀直入に聞くとしましょう。
「今回はどんなことをしでかしたんですか」
「なに、国から俺の研究内容を詳しく知りたいと言われてな。それ自体は良いがどうも気が乗らなくてなー、無視したらこいつがきた」
「ああ、なるほど」
つまりはいつものことですね。とうとう犯罪を犯したかと思いました。
それならば尚のことご愁傷様と言うべきでしょう。南無。
「おう嬢ちゃんこんちは。ルキアの野郎はいるか?」
「はい、いますよ」
そう言いつつ入ってきたのはお師匠様のご友人であるサルカさん。ルキアとはお師匠様のことです。
彼が来たということは、お師匠様はまた何かやらかしたということでしょう。いつものことながら呆れてしまいます。
「ただ、気をつけてくださいね。今のお師匠様、ムシの居所があまり良くないので」
「あー、だろうな。察しはついてる」
勝手知ったる何とやらで、お師匠様がいる自室兼研究室へと足を運ぶサルカさんを見つつ、頼まれた作業──というなの修行を再開しました。本日は調薬の練習成果を見せる日です。
アンカ草の葉と茎を繊維に沿ってよく揉み、柔らかくします。その後すり鉢で念入りに細かくするように擦ります。生草なので汁気が出てきたら火にかけます。この時焦げないよう煮込むのがポイントです。
汁の色が緑から半透明に変わったらルル草の雫を加えます。更に煮込んで透明になったら、いわゆるポーションの完成です。
ひと舐めして苦味やエグみがないことを確認して漉し、瓶に詰めたらおしまいです。
一時間という制限でしたが、我ながら上手くできたと思います。
さて、先程から騒がしいお師匠様のもとへ行きましょうか。出来上がったポーションの評価もいただきたいところですが……まあ、持っていかない方が良さそうですね。
ハーブティーを入れ香りに癒されながら向かいます。気分は憂鬱です。ええ、とても気が重いです。
「待て早まるな」「俺が悪いわけじゃないだろ!」「ふぎゃああ」と不吉な予感がします部屋へ今から向かわねばならないのですから。
「お師匠様、サルカさん。お茶をお持ちしましたが飲みますか?」
「ミリーか。丁度喉が渇いた頃だ、もらおう」
開いていた入口から声をかければいつもなら返答のないお師匠様から言葉をもらいました。機嫌が上向きになったのですね、良かったです。
左目の隅にプスプスと煙を立てるサルカさんへ内心頭を下げます。貴方の犠牲は忘れません。
となれば、もう遠慮はいりませんね。単刀直入に聞くとしましょう。
「今回はどんなことをしでかしたんですか」
「なに、国から俺の研究内容を詳しく知りたいと言われてな。それ自体は良いがどうも気が乗らなくてなー、無視したらこいつがきた」
「ああ、なるほど」
つまりはいつものことですね。とうとう犯罪を犯したかと思いました。
それならば尚のことご愁傷様と言うべきでしょう。南無。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
それは立派な『不正行為』だ!
柊
恋愛
宮廷治癒師を目指すオリビア・ガーディナー。宮廷騎士団を目指す幼馴染ノエル・スコフィールドと試験前に少々ナーバスな気分になっていたところに、男たちに囲まれたエミリー・ハイドがやってくる。多人数をあっという間に治す治癒能力を持っている彼女を男たちは褒めたたえるが、オリビアは複雑な気分で……。
※小説家になろう、pixiv、カクヨムにも同じものを投稿しています。
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる