お師匠様は自由すぎる

星野 夜空

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お師匠様の内緒話

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「で、何しにきた」
「酷いなぁ、旧友に会いに来ても良いじゃないか」

 微笑みながら彼に言うも苦々しい顔を見せるだけで何も言ってこない。うーん、随分と丸くなったな。一昔前なら掴みかかってくるほど短気な彼だったのに。面白みもない。

「来た理由を言え。言わないと白骨化させる」

 前言撤回。短気な彼は輪をかけて短気になってた。うん、そうでなくちゃ楽しくない。

「なに、近々この辺で起こりそうなを止めてほしいとの依頼をしにね」
「いくらだ? それによる」

 彼は何も聞かず、ビジネスとして関わろうとしてくる。そのスタンスは彼女でしがいても変わらないらしい。噂通りで何よりと幾枚かロソ硬貨を渡しながら思った。
 枚数が少ないと文句を言われ相場だ、いやこれは安いと交渉に入りつつふと疑問が浮かぶ。彼女はこの件に関わりを持っているのだろうか。いや、そもそも持たせる気があるのだろうか。
 交渉がひと段落してその事を聞いてみれば、何故隠す必要がある? と逆に聞かれた。

「いや、普通は隠したがるでしょ」
「あいつと会ったのは戦場だ。二つ名も町に行けば聞かれる。隠す方が変と言うものだろう」

 ああ、やっぱり理解できない。いや違う、彼はあくまでも彼女を弟子として扱い、僕やサルカのように友人として扱ってる。だから平気なんだろう、特別でないから。
 僕ならたとえ弟子でも、自分の悪い評価や負の側面でも見せたくないと思う。良い師匠でいたいと思う。それはきっと誰だって一緒だ。違うのはきっと彼のみ。
 彼は来る者拒まず去る者追わず。嫌われたら記憶の彼方に存在ごと消す。だから平気なんだろう。
 バケモノとして扱われているというのに。

「まあいい、報酬は受け取る」
「お、じゃあ受けてくれるんだね。いやー、助かるよ」

 正直ここから二、三日かかる場所とはいえ、彼以外に適任が見つからないのも事実だったから良かった良かった。……って、兵器のように話したら怒るかな? それとも……。
 うん、僕には関係ない話をしたってしょうがないか。
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