女剣士の道は険しい?

星野 夜空

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エピローグ

その笑顔が怖い

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 一体どういうことなのか聞くと、至極当然のように言ってきた。

「王宮のあれこれを監視するっていうのも楽しそうなんだけどね。同時に鬱陶しい奴らの相手がめんどくさいからなりたくないんだよ。でもマリがいるからって耐えてたんだけど」
「私は、ラナがいなくなるなら噂に聞く魔窟で過ごす勇気などありません! たとえアランがどんなに守ってくれたとしても!」
「……というわけで、チーム再編成がどうしても無理って人は辞めても構わない制度を利用して辞めてきた」

 あまりにもあっけらかんと言うものだから、一瞬そっかと頷いてしまった。直後、そんな簡単なわけにいくか! って反論したけど。短期間で辞めることを決意したから手続きとかめっちゃくちゃ大変だったのに羨ましいとか思ってない。思ってないぞ。
 しかもちゃっかりと二人して荷物まとめて持ってきてるし。何、ずっとこうなるかもって思ってたの? いくら何でも早すぎる所業に呆れるほかない。

「それで、これからどうするつもりなの? まさか他国で国人のような職に就こうとか思ってないよね?」

 図星で黙っているとマリに憐れみの目で見られた。アランからはため息をつかれた。うん、まあ、本当言うと無理だろうなってことは分かってるんだ。国の中枢に関わる仕事だから工作員スパイを疑われる以前の問題として、私が私である限り、この国と似たようなことは絶対に起こるってね。
 女性の攻撃系統が珍しくない国があれば良いけど、そんなの聞いたこともないしさ。もしかしたら知られていないだけであるのかもしれないけど、その国を探す手間を考えると現実的じゃない。
 それでも同じことが起こらない可能性を考えて、限りなく低い希望的観測でなろうと思っていたのだけども。

「……やっぱりなれない、よねえ」
「というよりは、ならない方が良い、かな。政治利用されるの嫌でしょ」
「当たり前だよねそれ」

 誰が好き好んで国の犠牲になるかっての。そこまで愛国心強かったら学園辞めないわ。命の危険があるなら尚更よ。
 ああでも、これで本格的に仕事をどうするか悩むな。
 当面の資金というか、元々他国へ流れるつもりでいたから旅費はそこそこ用意してある。防具類は学校支給のがあるから買わなくて済んだのは懐に大きい。剣は刃を潰したものしかなくて買わないといけないけど、隣国へ行くくらいならそこまで高価な物を買わなくて良いのもありがたい。
 と思っていたところに他国に行かない、っていう選択が生まれたということは、剣を買うかどうかという選択肢も生まれたわけで。極端な話、商売人や農業といった職を始めても問題ないわけで。それなら国を出なくてもやれるわけで。未来への道が様々に生まれたことは、ずっと一本しかないと思っていた私にとって逆に苦痛ともいえてしまうほど。
 唸りながら考えていると、それなら、とマリが笑顔で提案をしてきた。

「いっそのこと、冒険者になりませんか?」
「冒険者、ねえ……」

 その日暮らしのイメージが強くて、あまりなりたいと思えないんだよな。安定収入が一番じゃん。簡単に身分証明証が出来るって意味では確かに大きいけどもさ。
 でも、どうやらそう思っているのは私だけのようで二人は違うらしい。特にアランなんか悪どい笑みを浮かべてる。
 一体何を考えてるのか、聞くのが楽しみな反面怖い。
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